十王経物語絵図(冥途旅行絵物語)
十王とは
十王の中で特に有名な大王が閻魔大王です。閻魔大王は、インドにおける冥界の王であったものが、仏教と共に中国に伝わり、中国固有の信仰と結びついて、冥界の住人の裁判官である十王を誕生させました。この十王の審判が七日ごとに行われるために、七日ごとの法要があります。この審判の日に遺族が供養することによって、その善行が故人にも及び、故人の魂が少しでも早く極楽に行くことができるという信仰からです。
それぞれの大王の名前と役割は次のようになっています。
初七日 泰広王(不動明王) 殺生について取り調べる。
二七日 初江王(釈迦如来) 偸盗(盗み)について取り調べる。
三七日 宋帝王(文殊菩薩) 邪淫の業について取り調べる。
四七日 五官王(普賢菩薩) 妄語(うそ)について取り調べる。
五七日 閻魔大王(地蔵菩薩) 六道の行き先を決定する。
六七日 変成王(弥勒菩薩) 生まれ変わる場所の条件を決定する。
七七日 泰山王(薬師如来) 生まれ変わる条件を決定する。
百箇日 平等王(観音菩薩)
一周年 都市王(勢至菩薩)
三周年 五道転輪王(阿弥陀如来)
( )内は、本地仏といいます。この姿が本来の姿で、十王に姿を変えてそれぞれの役目を果たしています。
閻魔大王が十王の中で特に有名な理由は、五七日担当で、前の四王の取り調べと合わせて、亡者(もうじゃ)が六道−即ち地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の六つの世界−の何処に生まれ変わるかを決定するという大きな力を持っているからです。この後、六七日担当の大王が、亡者が生まれ変わる場所の条件を決定し、七七日担当の大王が、亡者の生まれ変わる条件を決定します。
四十九日後、それぞれ定められた所に行くわけですが、悪趣(地獄、餓鬼、畜生、修羅)に行くことが定められた亡者も、百箇日、一周忌、三回忌と供養を重ねることにより誰でも極楽に行くことができるようになっているそうです。
この亡者がたどる道を絵にしたものが、次の十王経物語です。
- 冥途の迎え
- 血の海
- いやな烏
- 死出の山路
- 三途の川
- 秦広王(初七日)
- 初江王(二七日)
- 正途河婆
- 業関ノ関
- 業江
- 宗帝王(三七日)
- 五官王(四七日)
- 鉄丸処
- 閻魔大王(五七日)
- 変成王(六七日)
- 闇鉄処
- 泰山王(四十九日)
- どの鳥居
- 鉄氷山
- 平等王(百ヵ日)
- 都市王(一周年)
- 火炎地獄
- 娑婆の様子
- 五道転輪王(三周年)