有名な死出の山路は長さ八百里、雲突く様な山を見上げ、亡者が申します。 「お役人様、私は娑婆におる間、中気で三年寝ておりました。とてもこの山越せません。」 「こりゃ亡者何を言う。みんなそなたの覚えの山じゃぞ。隣の畠も薮の道もみんなわれの所へ買ひこんだ欲の山ぢゃ。さあ登れのぼれ」 さぼれば鬼の鉄棒が。