いやな烏


頭の上でガヤガヤ急げ急げと催促するは、いやな烏でありまする。
「こんな五月蠅く言ふならば、なぜもっと早う言うてくれなんだ」
烏が言いますには、
「こりゃ亡者何を言ふ。その方の屋根の上で三日后に危ひから早くお念仏申せといったのに、『今日はえらい烏鳴きが悪い。隣の婆さん死ぬかもしれん。あそこへ砂糖を持っていけ』。貰った婆さん砂糖なめて喜んどるぞ。」
うらめしそうに暗中急ぐ新亡者。