五官王は四七日目。娑婆での行いで嘘をついてゐるか、この秤で直ぐ解る。秤石は五十丈の大石。亡者の体は五尺でも罪業の重さは軽く持ちあげると云ふ。
「悪い事もしましたが、私とてお寺へ寄付した事もございます。乞食にお金をやりました。さっきから伺っていましたが、それが出ませんが、もしや帳落でも・・」
「うーむ、如才のない事ぬかすの。うん、あるある。だが、俺が一番と自慢した。乞食の礼のいい様が悪いと怒った。ころは帳消じゃ。隣の子供に饅頭やった。その時何と言った。そこで食べんでおっ母に見せてから食べな。アホ。礼をいうてほしさと若いおっ母に気があってそういうやり方したからみーんな帳消しじゃ」