身体に効く栄養成分・食材・調理方法
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α−リノレン酸・γ−リノレン酸
●αーリノレン酸は体内でこんな作用をします
・体内でEPA、DHAを合成する。
・がん細胞を変化させ、増殖を抑える。
・血圧を下げる。
・血栓を解消し、血液の流れをよくする。
◆過剰症
特にないが、脂質は高カロリーなので、摂取工ネルギー過剰にならないように注意したい。
◆◆がん、アレルギーなど現代病を予防する
αー1リノレン酸はn−3系列の多価不飽和脂肪酸で、n−6系列のリノール酸と同様に
人間の体内で合成することができず、食品から摂取しなくてはならない必須脂肪酸(不可
欠脂肪酸)です。
しそ、えごまなど緑の濃い野菜に多く含まれます。体内に取り入れられ
ると、EPA、DHAへと代謝されるため、αーリノレン酸をとることで、EPA、DH
Aのもつ機能も期待できるわけです。
★リノール酸とは作用を抑制し合う関係
n−6系列の脂肪酸から体内でつくられるプロスタグランジン(ホルモンの一種)と、n
−3系列からつくられるプロスタグランジンは、体内の作用を互いに抑制し合う場合が多
いことがわかっています。
たとえば、アトピー性皮膚炎はリノール酸の過剰摂取によって
発症する典型的な症状のひとつですが、アトピーなどアレルギー症状を解消するのに最も
効果的な方法は、αーリノレン酸をとることです。生体内での作用を比較すると、n−6
系列よりもn−3系列のほうに好ましいものが多くみられます。
リノール酸などn−6系
列の脂肪酸の過剰摂取が問題になり、健康状態を良好に保つためには、なるべくこのn−
3系列をふやすことが求められています。
厚生省がl994年に発表した「第五次改定日
本人の栄養所要量」では、n−6対n−3の比率は4対1が望ましいとしています。医師
や研究者のなかには、n−3系列の比率をさらに高めてl対lにするべきだという人もい
ます。
★がんの発生を抑制する
ラットに2種の強い発がん物質を投与し、3群に分けて大腸がんの発生状況を比較した実
験で、αーリノレン酸の多いしそ油を摂取させた群のがん発生率は18%でした。
リノー
ル酸の多いサフラワー(紅花)油摂取群は47%、中間の大豆油摂取群では41%と、し
そ油にくらべてはるかに高率で、α−リノレン酸には大腸がん抑制作用があることを示し
ています。
また、乳がんの発生率はほかの群の約3分の2、肺がんは約半数と、いずれも
転移の割合ははるかに低い数字でした。
★脳・神経系のはたらきに閣与する
α−リノレン酸の重要性が認識されるようになったのは、1980年ごろのことです。
欠
乏した場合に神経系の異常があらわれることがわかりました。ラットによる笑験ではαー
リノレン酸が学習能力を向上させるという結果が確認され、これは脳に高濃度に存在する
DHAの脳細胞を活性化させる作用によるとみられています
★★加熱調理は避けるのが、α−リノレン酸の有効な使い方
αーリノレン酸を含む油は、非常に酸化しやすいので注意が必要です。
揚げ物や炒め物の
ように加熱する料理では使わずに、サラダに利用しましょう。
保存する場所も高温や光の
当たるところは避け、なるべく早めに使いきることです。古くなった油をいつまでも使う
のは、かえって。体内に酸化脂質をふやすことになります。
★「リノール酸とりすき症候群」を解消する。
「コレステロールを減らし、動脈硬化を予防する」といわれるようになってから、リノー
ル酸の多い油を大量に使う人がふえました。
リノール酸を薬のように考えて、「脂身つき
のステーキを食べても、サフラワー油入りのドレッシングをたっぷりかけたサラダをいっ
しょに食べれば大丈夫」だとばかりに、せっせとリノール酸をとったのです。
その結果、
肥満、アレルギー、血栓などの症状が出た人も多く、リノール酸神話は崩壊しました。
こ
れらの症状を解消するには、リノール酸の多い油を滅らしてαーリノレン酸の多い油に置
きかえるのが最も有効だとされています。
しかし、αーリノレン酸も薬ではありません。
とりすぎれぱエネルギー過剰を招きます。何を食べるにしてもほどほどに、「いろいろな
食品をバランスよく」というのが、「リノール酸のとりすぎ症候群」が私たちに与えてく
れた教訓だといえましょう。
★食用油のαーリノレン酸・リノール酸含有量(単位%)
しそ油・・・・αーリノレン酸・・・64
リノール酸・・・・・12.8
えごま油・・・αーリノレン酸・・・56
リノール酸・・・・・14.9
あまに油・・・αーリノレン酸・・・47.7
リノール酸・・・・・22
菜種油・・・・αーリノレン酸・・・11.3
リノール酸・・・・・24.1
ひまわり油・・αーリノレン酸・・・11
リノール酸・・・・・69
サラダ油・・・αーリノレン酸・・・7.9
リノール酸・・・・・57
大豆油・・・・αーリノレン酸・・・7.5
リノール酸・・・・・53.7
オリーブ油・・αーリノレン酸・・・0.9
リノール酸・・・・・13.1
コーン油・・・αーリノレン酸・・・0.7
リノール酸・・・・・57.6
ごま油・・・・αーリノレン酸・・・0.3
リノール酸・・・・・43.8
サフラワー油・αーリノレン酸・・・0.1
リノール酸・・・・・78
γ−リノレン酸
★γ−リノレン酸は体内でこんな作用をします
・血糖値を下げる。
・血圧を下げる。
・血中コレステロール値を下げる。
・血栓を解消し、血液の流れをよくする。
◆適剰症
特にないが、油脂は高カロリーなので、摂取エネルギー過剰にならないように注意したい。
◆成人病予防に効果あり、人工的にも作られている。
γ−リノレン酸はビタミンFとも呼ばれ、生体内でリノール酸から合成されてできる脂肪
酸で、ジホモ・γ−リノレン酸を経てアラキドン酸に変わります。
ジホモ・γ−リノレン
酸は、生体調節ホルモンであるプロスタグランジンの材料となる物質です。
プロスタグラ
ンジンは、からだの各組織のはたらきを調節しているホルモンで、さまざまな種類があり、
ごく微量でも強い生理作用があります。
★血圧、血糖値、コレステロール値の改善など、全身に作用
プロスタグランジンには、血圧、血糖値、コレステロール値の降下、血液の凝固阻止、血
管拡張、気管支拡張、子宮収縮など多くの作用が認められています。
また、糖尿病の合併
症としての神経症に対する治療の可能性が期待され、生存率の低い膵臓がん患者の生存期
間を延長したという報告もあります。
もしもγ−リノレン酸が不足し、プロスタグランジ
ンが正常に合成されないと、からだの各部分の機能に支障をきたすことになります。
乳幼
児やお年寄り、動物性脂肪やアルコールを過剰摂取している人、加工食品の過食でミネラ
ルやビタミンが不足している人、糖尿病でインスリン不足の人などに、γ−リノレン酸の
合成が充分でない傾向があり、こういった場合には体外から直接補給する治療法がとられ
ています。
★天然には少ない脂肪酸をブドウ糖から製造
天然の食品にはあまり含まれていませんが、少量を摂取できるものとしては、母乳、限ら
れた地域の月見草の種子、一部の藻類などがあります。
人工的に生産する技術も開発され
ており、ブドウ糖など天然糖質を微生物によって発酵させる方法で高純度の製品が作られ、
ドリンクやゼリーに添加した製品も作られています。
★γ−リノレン酸はこんな人におすすめ
アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状のある人。アルコールを多く飲む人。偏食の人。
★γ−リノレン酸を多く含む食品
母乳
月見草油