今月の掛軸 bQ0−南無梵天帝釈青面金剛童子
今月の掛軸は、今年の8月に釣月寺の檀信徒様が多い「塚島」集落から寄贈されたものです。「庚申様」という集落行事が取りやめになり、その行事で使われていた掛軸です。「南無梵天帝釈青面金剛童子」とあり、【平成23年12月11日(日):第238号】で紹介し、他でもたびたび登場する「足利紫山老師」の書です。足利紫山老師が書かれた掛軸が、なぜ、塚島組の庚申様で使われていたのかは不明ですが、当山にとって貴重な資産になりました。大切に保存していきたいと思っています。
「庚申様」は、60日に1回訪れる「かのえ・さる」の日で、この日に同じ集落の人たちが、当番の家に集まり、情報交換をする集いでした。釣月寺がある「双瀬(ならぜ)」集落でも、数年前までは行われていましたが、現在では取りやめになっています。
掛軸に書かれてある文字の意味は、次のようです。
「南無」:以下の仏様を深く信仰し、そのお教えを仰ぎます。【平成23年7月19日(火):第93号】も参照。
「梵天」:仏教における守護神。帝釈天と並んで一対で祀られることが多い。
「帝釈」:帝釈天の略。「梵天」と並ぶ仏教の守護神。帝釈天の縁日が「庚申」の日。
「青面金剛(しょうめんこんごう)」:帝釈天の使者である金剛童子。病魔を退散させる威力があるとされる。
このように神仏が混合され、日本の民間信仰である庚申信仰の中で独自に発展し、これらの神々が庚申様の本尊になったようです。
≪平成24(2012)年11月3日撮影≫ |
釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成24年11月4日(日):第567号】