塩狩〜美幌


 ボーッという汽笛とシュッシュッという力強い蒸気機関車の走り出す音で目が醒めた。
 午前7時20分である。急いで起きあがり顔を洗うのもそこそこに食堂へ直行。暖かいご飯をいただいた後出発の準備に入る。

 吉本と塩狩駅につくまでの間、今日はどこまで行くかを話し合う。選択肢は2つである。このまま、宗谷本線で稚内まで行ってみるのか、もうひとつは、一旦旭川に戻り、石北本線で網走方面に行くかである。今日からの泊まりは一切決めていない。したがって、時間と場所は気にする必要がない。

「稚内は寒いからさ〜、網走のほうにいこうや!!!」
昨夜の寒さにちょっと吉本は弱気になっている。
安足間駅
上川駅
 そんなわけで、8時36分の塩狩駅発の列車で旭川に出る。
 旭川で運良く上川方面に行く列車に乗換えができた。ただ,鈍行なのでやたらにとまる。
 愛別、愛山、安足間(あんたろま)と、「ア行」の駅が続く。
 この安足間に着いたのが10時05分、次の駅は上川である。問題は、上川で降りるのか、それともこのまま一気に網走まで行くのかということである。
 層雲峡に行く途中、大函、小函をみたいと思ったのである。
 ところが吉本が、
「今日は網走まで行けばいいじゃないか」
という。
 確かにその方法もあるのだが、そうすると、今日一日汽車に乗りっぱなしになる。やっぱり途中下車の旅の方が面白い。

 上川で降りて、今度は国鉄バスで層雲峡に向けて出発である。
 上川から1kmほど走ったところで道は二股に分かれる。左方に折れれば丸瀬布から遠軽を通り国道39号の瑞野に出る上川国道。まっすぐに行けば、層雲峡から石北峠を通り瑠辺蘂にでる大雪国道となる。
 われわれのバスは、まっすぐに行き、層雲峡を通り越して大函、小函を経て石北峠へ。ここで昼食である。
 さて、ここで困ってしまった。今夜の宿がまったく決まっていないのだ。吉本は、ここら辺りにでも泊まる所はないのかとガイドブックを見つめているが、所詮無駄である。だいぶ話したのだが、話がつかない。結局、今日は、車中泊にしようと、今来た道を戻ることにした。

 どういうことかというと、上川に戻って、さらに旭川まで行き、更に札幌まで戻って、札幌発最終の稚内行きに乗りこむ。
 鈍行があれば最高である。ゆっくりと稚内まで行けば、朝になる。そうであれば十分に眠れるし、寒くもない。泊まり賃はただである。
 これで上川駅に戻りついて、15時20分、札幌まで戻っても時間は余るほどある。
美幌駅
 ところが、たまたま前々日、長万部から室蘭まで一緒になった関西のD大学の3人と、この上川駅で再開することとなった。
「おーー、元気か!」
「今日は、どこへ泊まるんか?」
「まだ決めていないんだけども・・・・」
「ほな、僕たちと一緒にとまらへんか?」
こちらも思わず関西弁なってしまって
「どこや?」
「これから美幌ユースへ行くんやけれど、今日はあいてますー、ていうてたわ。」
てな感じで、急遽、予定を変更。
 早速美幌ユースに電話をすると空いていて泊まりはOKとなる。
 5人で一路、美幌へ向かう。
 上川から石北本線に乗って出発し、美幌ユースホステルにはだいぶ遅くなったが、無事に到着する。
 ミーティングの後、吉本と二人で明日の行動計画を立てる。

続く