函館〜登別
函館では見るべきところはたくさんある。
函館山も夕方には登りたいし、トラピスチヌ修道院も行きたい。
もちろん、朝市も一回は見ておきたい場所であった。
もうひとつ、石川啄木の足跡も訪ねたいと思っていた。
しかしながら、夕方までに登別につかねばならない。
というのも、今夜泊まるところは東京にいるときに既に予約してあるからだ。
旅行前に若干の不安があって、最初の3〜4日分は泊まる場所を決めておいたほうが良いのではないかということになり、わざわざユースホステルの会員になって、いくつかのYHに予約を入れておいたのである。
そんなこともあって、今日の夕方までには登別に行かなければならないのである。
『まあ、帰りにでもゆっくりと見学すればいいのか』なんてことを思いながら、急いで函館発室蘭行きの急行に飛び乗る。
ただし、今朝食べた立ち食い蕎麦一杯でここまで来ているので無性に腹がすく。
で、やむを得ず駅弁を買う。
これは高かった。
450円である。
それでも、列車に乗り込んで、席を確保した後に駅弁を頬張る。
DiscoverJapan長万部駅
|
長万部には13時15分に到着した。
ここで一旦下車し、町を歩いてみるということになった。
実は列車に乗ってここに来るまでの間に右手にずっと海が見えたものだから、一旦降りて海まで行ってみようということになったわけだ。
ところが、駅から海のほうに向かって歩くとすぐに大きな道路を渡ることになる。
国道5号線である。
これを渡って数十メートル行くと、十字路があり、左手に食堂があるのが見えた。
吉本が腹がすいたといいながら、その小さな食堂に入ると「イカ天丼170円」という看板が目に飛び込んできた。
二人ともイカ天丼を注文する。
これは実に美味かった。
貧乏学生であったので、今まで天丼など殆ど、いや、全く食ったこともなかったのだが、170円の天丼と知って何かとても新鮮な感じがして、あっという間に平らげてしまった。
イカだけの天丼というのも、実にシンプルで美味いものである。
しかも、ほんの1時間程度前に、高価な駅弁を食ったばかりなのにである。
イカ天丼の食堂を出ると、すぐその隣が蟹屋になっているのに気が付いた。
外から様子を見ていると、ちょうど茹で上げたばかりの毛蟹を店に並べはじめた。
値段を聞くとどれでも1匹180円だという。
天丼を食べたばかりではあったが、香りが良く、その赤い色にも、そして金額にも惹かれて、二人でそれぞれ1匹ずつ買い、紙の袋に入れてもらった。
こうなると、もう海など行かない。
掌の中で茹でたての蟹が暖かい。
早速、長万部の駅に戻り、登別方面のホームのベンチに座り蟹を食べ始めた。
汽車が来るまでにはまだ時間がある。
14時29分、蟹を食べながら長万部を発つ。
列車は空いていて、すぐに海が見える窓側に向かい合って席を取り、さらにしばらくの間、殆ど無言で蟹を食いつづけた。
結構大きな蟹だった。
お互い食べてる最中「こんな風に紙袋から取り出して食べるから美味いんだろうなぁ」といいながら、食べた殻を袋にしまってはまた新し殻を取り出して食べ続けた。
アカシア荘
|
室蘭駅についたのは16時20分である。
ここは、そのまま通過通過して、室蘭本線登別駅に着いたのは17時30分である。
国鉄登別駅で降りて、今度はバスに乗る。
今夜の泊まりは「アカシア荘」というユースホステルである。
ここまでのバスの料金は70円である。
室蘭からは鈍行であったので近いにもかかわらず1時間強と、ちょっと時間がかかってしまった。
DiscoverJapan登別駅
|
本当なら北海道周遊券を買ってきたので道内のバスはすべてタダになると思っていたが、たまたま乗ったこのバスは、国鉄バスではないのである。
周遊券を見ると「国鉄バスの利用のみ」と書いてある。
残念。
明日からは絶対に国鉄バスしか乗ラないぞと心に誓っての70円であった。
アカシア荘について、一連の手続きを済ませて、やっとベットで眠れる。
ただ、ここのYHはちょっと料金が高い。
泊まりが700円で、この他にシーツが100円、さらに風呂代としてさらに100円も取られてしまった。
まあしかし、2食付きで温泉に入れて、洗濯糊の良く効いた白いシーツで眠れて、まあいいか!!ということになった。
|