旭川〜層雲峡


旭川出発

   旭川は夜もラーメンとした。駅前ビル(と言っても、やや左手にそれた古びた雑居ビル)の1階に たまたまラーメン屋があったので、飛び込んだわけである。既にホームページは更新してあったので 気が楽である。
旭川駅前午後10時
旭川駅前午後10時
 そこで先ず、ビールと餃子を頼んだ。餃子は美味かった。ビールとピッタリの相性で 丁度食べ終わる頃にビールも無くなった。こんどはラーメンである。ラーメンと言っても野菜ラーメン ・塩と言うのを頼んだわけである。出来上がったものは野菜のうまみを実に上手く出しており、塩味も 丁度いい。あえて言えば、麺の茹で方が30秒ほど足りない。が、麺も美味い。ただ、スープを飲むと 若干、口の中に脂が残こる。やや、脂がしつこい。ただ、全体として合格点であろう(何故、急に 自分がラーメン評論家となって、ここの店の批評をしているのかは不明。)。このあとホテルに戻り 午後10時過ぎに就寝。

 ところが、翌朝は4時20分に起床。6時間は十分に眠っているのだが眠り足りない。前夜が車中泊 のせいもある。それでも、ホームページへのアクセス状況を確認しつつ、今日の行動予定を考える。 天気はいまいちである。朝シャンをして、結局、6時15分にチェックアウト。
ここで驚いたのはこのホテルは駅と接続しており、駅とホテルの間にほんの少しの空間がある。 何とここに、バックパッカーが女の子一人を含め6人も野宿している。とても東京では見られる風景ではない。
 外に出てもっと驚いた。旭川駅の外の舗道に、10人を超す人間、すべて男であるが、野宿しているのだ。 全員、自転車を傍らに立て、寝袋にくるまって、じっと朝が来るのを待っている。う〜む!!何と羨ましいことか。 こんな風景を見て、次の目標は、「北海道単独自転車旅行」だと密かに決定した。実現がいつになるのかは不明である。
 さて、旭川を出たのは午前6時35分。市内で軽油を満タンにして出発である。

層雲峡まで

 午前7時10分、道の駅「当麻」に到着。ここで宿泊している車が多い。やはり24時間トイレが使えて 駐車場への出入りが自由で、水があるとなれば、これを使わない手はない。「道の駅」は北海道で50個所あり 夏季、スタンプラリーが行われる。いつかこれにもチャレンジしてみたいと思う。
 さて、当麻であるが、ここには有名な鍾乳洞がある。最初にここを訪れたのが、1973年の夏だから、 25年前となる。そして2回目は1990年で8年前となる。いずれのときも、しっかりと鍾乳洞を見た ので、今回はパスすることにした。

 こんなことを考えながら、車は上川を越え、今回の旅行の目的地の一つである層雲峡についた。
チングルマ
チングルマ
午前8時30分、車を上川町物産展示館前の駐車場に停め、300メートルほど歩いてロープウェイ乗り場へ。 往復1650円の大雪山層雲峡ロープウェイ搭乗券を購入、そして搭乗して、7分で一気に5合目まで登頂。

 ここからは、リフトである。リフトは正式名「大雪山黒岳リフト」といい、15分間の旅である。以前、訪れたときは ここのリフトは1人乗りであったが、今回きてみると、ペアリフトとなっている。リフトに乗ると、実に静かである。 風の音しか聞こえない。足元には、チングルマやワタスゲなどの高山植物が可憐な花をつけている。7合目に着くと 霧が出始め、細かい雨が降り始めた。当初は、ここから黒岳山頂までの約1時間の登山を楽しんでと、思ったのだが 雨が降ってはあきらめざる得ない。リフト乗り場の回りにいたエゾリスを撮影して戻ることとした。

 層雲峡発10時40分。行き先はまだ定まらない。



層雲峡〜津別〜屈斜路湖


津別まで、そして屈斜路湖!!

銀河の滝
銀河の滝、落差120メートル
 30分ほど走ったところで「流星の滝」、「銀河の滝」を見に行く。流星の滝は落差90メートル、 一方銀河の滝は120メートルである。ゆっくり眺めていたいのに、時間に急かされる。写真だけを撮って 再び国道39号に戻って留辺蕊を目指す。
 実は、この留辺蕊(「るべしべ」と読む。)に行く前に、一寸寄りたいところがあった。それが、 「道の駅 おんねゆ温泉」である。室蘭、芦別と富良野で利用すべき所を、時間の関係からまったく見ずに 通過してしまった経緯がある。どうしても、「おんね湯温泉」を確保しておきたかった(別にスタンプ ラリーを行っているわけではないが、できるだけ多くの道の駅を見ておきたかった。)。そんな訳で このまま39号線を行けば自然に左側に見えてくるはずである。
 道の駅 おんねゆ温泉に着いたのは、結局、12時10分。
 ここでしばらく考えた。網走へ行くべきか、それとも屈斜路湖へ行くべきか。網走は町として小さい。 観光名所は刑務所と流氷館等である。泊まる場所もまだ決めていない。屈斜路湖は、硫黄山、川湯、 摩周湖に近く、泊まるのは屈斜路湖の湖岸の砂湯温泉の駐車場である。翌日の行動を考えるとどうしても 屈斜路湖がよい。

 「よし!!  屈斜路湖!! 決定!!」
として、行く道を選び出した。本来ならば 留辺蕊から北見を通り、美幌峠を越えて屈斜路湖に入るのが一般的なルートである。しかし、この路は いままで何回も通ったことがある。今回は、思い切って、北見から右に折れて津別まで行き、津別から津別5湖、更に津別峠(全て津別が付く)を越えて屈斜路湖に下りる道を選んだ。もちろん、津別峠は、美幌峠と並ぶ名勝の地でもある。美幌が有名すぎる為、あまり知られてはいないが、抜群の眺めであり、観光客も ごく少ないことから、知る人ぞ知る、という場所となっているのだ。
 こうなると話しが早い。距離を測りながら車を走らせ、北見市内から津別方面に右に折れ、豊な田園風景の中を津別に。ここら当たりの作物の中心は、ジャガイモとビートらしい。ジャガイモは花の真っ盛りで どこまでも白い花の絨毯が広がっている。ビートもまだそれほど大きく大きくなっていないが青々とした葉を大きく伸ばしている。
 津別の町は国道240号線が走っているが、これとぶつかるように留辺蕊からの圏道27号線がある。 地図上では、ぶつかって直ぐに左に行き、100メートルも走ったところで右に曲がると「津別−屈斜路湖」線 に入るはずである。しかし、どこでどう間違ったのか、完全に津別町で迷ってしまった。ところが運の良いことに 津別郵便局の前に出たので、風景印をもらいつつ道を尋ねると非常に親切な対応で、屈斜路湖までの道を教えてくれた。 これでもう、迷わずにいける。

 後もう少しで標津峠というところで、突然『ホテルフォレスター 津別温泉 入浴だけなら500円、 ここから2キロメートル』という看板に出会った。まさに津別峠に行こうと車を左にハンドルを切った その時にこの看板が目に入った。思わず左に切ったハンドルを右に切り返し、やっとのことで温泉への道路に 入り込んだのだが、少し後ろを走っていた後続車がいやな顔をしていた。まっ! やむをえないか。
 ここの温泉は出来たばかりで、フロントで500円の入浴券を渡すと、そのまま温泉に行くことが出来る。 温泉は中が3つの浴槽に別れていて、左側に低温(60〜75度)サウナがあり、何といっても素晴らしいのは 露天風呂である。回りは、高い木で囲われているものの、森の真ん中の温泉という雰囲気で、石を枕に頭を乗せると 北の空を悠々と流れて行く雲が眺められ、一瞬、時間の流れもゆっくりとなった感じがする。湯に肌をつけると 滑らかになりそれが実に気持ちいい。露天風呂から上がり、サウナに15分入り、再び露天風呂。 風は20度前後、からっとしている。天気も持ち直し、青空が眩しい。う〜む、これほどの贅沢があるだろうか。
津別峠絶景(下は雲海)
津別峠、遠くに標津岳
 温泉を出てからは、 一気に屈斜路湖までと思ったが、途中、津別峠の展望台に登った。しかし、ざっ残念。雲が足下にあって、 絶景のはずの屈斜路湖全景がまったく隠れている。 遠くに標津岳がぽっかりと雲の上に頂を出しているだけだ。
 30分ほど待ったが雲が晴れる様子はない。あきらめて、屈斜路湖へ急ぐ。途中、蝦夷鹿が道脇で 草を食んでいたが、車の音に驚いて、高く飛びあがり森の中に一目散に逃げていった。

 屈斜路湖の砂湯駐車場に付いたのは、4時丁度。今夜はここで車中泊である。後部を整理し、アルミ蒸着マットを下にして、寝袋を延べればそれで出来上がりである。早速、売店からビールを買ってきて飲んでいるとやっぱり暑い。早速用意してあった、網戸用の網を窓の大きさにきり、これも用意してあった細い木と ガムテープをつかって窓に完璧な網戸を張った。これで今夜は窓を開けて眠っても蚊に悩まされることはない。 結局、砂湯駐車場では、午後6時に眠りに就いてしまった。今までの疲れが出たようだ。