8月7日:枝幸〜滝上〜留辺蘂
西興部まで
午前4時ちょうどに目が醒める。携帯電話のアラーム機能を使って目覚ましとしたのだ。もちろん蟹の解凍完了時間に合わせて起きたのである。
ただ、まだかなり早く、外はヒヤリとしているので、体調が整うまで10分程度の散歩である。多分、20度を割り込んでいるはずだ。起きた後に少し体を動かしたほうが、蟹が美味く食べられるからである。
千畳岩まで行き下に降りてみる。水際まで行くと、千畳岩を波が洗っている。実に静かである。聞こえるのは波の音と鳥の声である。波打ち際で少し手をつけたりしながら楽しんだ後、テントに戻る。
妻も起き出して食事の用意が始まる。といっても解凍した蟹を適当な大きさの皿に載せるだけである。蟹の足の小さいのを取り払い、味噌汁を作る。
気温20度以下で、熱々の蟹の味噌汁を飲みながら、毛蟹を頬張る。二人ともしばらくは黙ったままの食事となった。食事時間はぴったり1時間。これだけはかかってしまう。
店の女将さんが行っていたように、解凍時間は実に正確でちょうど解凍完了といった状況で、肉が蟹の殻の中にびっしりと詰まっていて、これは本当に美味しい。蟹味噌もたっぷりと楽しませてもらった。食べ物は歯と舌と喉と鼻で良し悪しを判断するのであるが、この蟹は何れもGoo!
食事を終わるころには昨夜から続いていた風もやみ少し気温が上がってきたようだ。荷物を再び片付けて車に乗せ、ウスタイベを出発である。
今回の北海道旅行の北限はこの枝幸のウスタイベである。あとは南下するだけなのだが、できるならば同じ道は走りたくない。そこで、枝幸まで国道238号線で戻り、更に2Km行ったところにある「ウエンナイ」から道道12号で歌登へ。この道を真っ直ぐ行ってしまうといずれ天北峠を超えて昨年のコースに出てしまう。そこで歌登から今度は道道120号に左折する。牧場や畑や森の中を抜けて、道は続く。途中何度も何度も止まって、花の写真を取る。
そして天の川トンネル。入り口に彦星の話しが、出口に織姫の話があり道の下にある公園に天の川とそれぞれの星の位置が示されている。しかし、このままでは一生会うことがない天の川のトンネルなのである。この天の川トンネルから20Km程度南下すると仁宇布という集落に出る。しかし、本当に自分だけの道を走っているという感じである。朝の通勤時間帯だというのに、少なくても20分以上も対向車に会わないのである。もちろん、追い越して行く車もない。この道は、かなり林の中や森林地帯を走るので、「熊」でもでてきやしないかと心配になる。花の写真を撮るときなども、車からあまり離れずに撮った次第である。
ここから道道49号に入る。途中美深峠を越える。標高は470メートルなので、それほど上がった感じはない。峠越えから10KmでT白にぶつかる。ここを左に折れて、ほんの少しだけ道道60号を下り幌内越峠を越えたところで迷ってしまった。
真っ直ぐ行けばダートの道路で奥幌内本流林道を通り「龍門の滝」を見ながらピヤシリ林道に入りそのままなよろ温泉を通り名寄市内に入ってしまう。ダートは走りたいのだが結果として昨年通った道を通ることになる。それでは面白くない。したがって、幌内越峠を越えたところで左折してそのまま道道60号を下川町まで走ることとした。この道はサンル川に沿って比較的平らな道を走るところである。「サンル」という名が幾度も出てきたのだが、最後に「珊瑠」という集落名でやっと漢字が分かった次第である。
下川町から再度左に折れて、今度は国道239号線に入る。目指すは取り敢えず西興部(にしおこっぺ)である。西興部に入る直前のところで、素晴らしいベルガモットの畑が見える。畑の向うは派手な作りの建物が見える。左側に大きな駐車場があるのでそのまま車を入れると、他にも1〜2台の車が泊まっている。建物の中に入ると、まだ未完成の状況ではあるがクーラーなどもしっかりと効いていてここは気持ちが良い。
森の中の休憩所という感じで、人が入るとそれを感知して、ホールの真中で木造の人形が笛や太鼓で歓迎してくれる。人形たちは両側にいるのでぐるりと回るのである。素敵な演出である。
庭に出ると遠くにベルガモットの畑が広がっているのが見えるのだが、工事中で大きなシャベルカーなどが一生懸命作業を続けている。
傍らで花を手入れしている人に、ベルガモットの畑まで言っても良いかと確認をすると、工事中で道が悪いが良かったらどうぞ、ということだった。
早速行ってみると、真中に大きなベルガモットの畑がありその周りにラベンダーが植えられている。このベルガモットの畑の真中に散策路があって、その両側に沢山のハーブが植えられているのである。最初はベルガモットの種類の多さに驚き、色の鮮やかさにびっくりしたのだが、ハーブの種類の多さにも驚いた。十分に楽しんでホールのほうに戻ると、この町の教育長という人がいて、「この場所は、村長に何度もお願いして実現したのですよ、まだまだ工事中ですから・・・」などと自慢していたが、本当に自慢してもよい施設であった。もしかしたら、来年の今ごろは素晴らしい観光施設となっているのではないかと思い、いつか再び訪れてみたい場所となった。
滝上ハーブガーディン
西興部は官公庁の建物などなかなか派手な作りのものがおおく目立つのだが、その西興部を過ぎて南下すると札久留峠を越える。そして滝上まちに入る。
ここは、芝ザクラで有名なところである。少なくとも5月下旬から6月上旬に掛けて滝上公園はピンクの芝ザクラ1色となる。この時期にも是非来たい場所である。
ところが、今回の夏の目的は「ハーブ園」なのである。滝上の町の中で若干迷ってしまったのだが、迷っている最中に郵便局を見つけ、そこで風景印をもらいながら道を尋ねてやっとハーブ園に。
滝上ハーブ園は山腹に3層に分かれたハーブ園で入場料はなし。全体は大量のハーブと薔薇園で構成されている。多分、このハーブ園は、北海道では最大のものであろうと思われる。そしてその最上層にレストランなどがある。これは下に車を置いて登りながら見るよりも、先ず最初に頂上まで行ってゆっくり降りながら見たほうが楽である。
左の写真はそのレストランであるのだが、手前のピンクと白い花は、オレガノである。白花オレガノを見るのは始めてだったが、清楚な感じで実にかわいい花をつけていた。
全体を見る前に、先ず腹を満たさねばと言うことで、レストランの裏側に車を止めぐるっと回って入っていくと、庭では大量のマウンテンミントの収穫を行っていた。その収穫を横目に見つつ、レストランへ。
いろいろな料理がある中で、私はバジリコスパゲッティにレモングラスティー、妻はバジリコのピザパイにマロウティ。
しかし、一人で全部食べるわけには行かない。お互い味見をしたいのである。取り皿をもらって互いに味見。う〜ん、美味しい。とても美味しい。
バジリコスパゲッティはバジルの緑が実に鮮やかで、香りもよい。口に含むと、アルデンテのスパゲッティにからみついたバジルがオリーブオイルの香りとわずかなガーリックの香りを含んでいる。これにはタバスコもパルメザンチーズもいらない。「素」の味だけで充分である。
ビザは、熱々で生地がカリッと焼けていてこれだけでもOK。チーズのかかり具合にバジリコの使い方とで美味しいものとなっている。
となりのテーブルに座った老夫婦を見ると「バジルライス」を食べている。緑濃いまさにスパゲッティのライス版である。これはあとで食べれば良かったと反省しきりのメニューだった。
ハーブティとして頼んだレモングラスティは、これはまるで自分の家で飲んでいるときと同じ香り・味である。材料が同じであるので、変わりようがないのだが、自分の家での味を確かめるのにも良いのである
マローティは、例のごとくレモンのスライスが付いてくる。これがミソなのである。
軽く食事をしたあと、いよいよハーブ園の見学である。先ず、最初はここも今が盛りと咲いているベルガモット。ここにも色だけだと3種類のものが咲いていた。そして、オレガノ。オレガノを見終わって再び車に戻り今度はしたにあるハーブ園に行く。
ここには実に沢山の種類のハーブが植えられており、数も多い。
最初はハーブの体験実習館の「キューパレス」にはいる。大人一人200円。館内を見学してやっぱり外のほうが良い、外のほうが良いということで、ハーブ園に。ハーブの中を歩くといろいろなハーブの香りがする。その香りを楽しみながら、最後は薔薇園。薔薇の花は終わりかけていたのだが、香りはしっかりと残っており、十分楽しむ事ができた。
結局、1時間以上をかけて滝上のハーブ園を満喫した。
留辺蘂まで
滝上を出て直ぐに道の駅「たきのうえ」がある。ここでスタンプをもらい直ぐに再出発である。
国道273号線を紋別に向けて走っているのだが、この道の駅から2キロメートルほどのところを右に曲がり。中立牛を更に右に折れて丸立峠を越えて丸瀬布に至る道を選んだのである。ところが、中立牛で丸立峠は道路不良で通行禁止となっている。そこで、ダートではあったが、ウチャンナイ林道の白樺峠を越えて・・・と走り始めたが今度は、白樺峠が通行止めとなっている。
やむを得ず、再度中立牛に舞い戻り、上渚骨を抜けた旭集落から紋別・丸瀬布線にのって、丸瀬布に行くこととした。道は良すぎるくらいよい。ただ、金八峠の前後2〜3キロメートルが久しぶりのダートであった。
丸瀬布からはJR石北本線沿いに走る国道333号線で遠軽に。遠軽市内には入らずに、国道242号線の置戸国道に右折。生田原町を通って、金華峠を越えて留辺蘂に入る。留辺蘂から今度も右折をし滝ノ湯温泉を目指す。
今日の最後は滝ノ湯温泉なのである。特に予定はしていなかったのだが、いくつか電話を掛けていたら、町立の「滝ノ湯センター」で泊まれるという。早速、予約をして行ってみた。
全体に質素な作りであるが、2階の角の部屋がとれ、窓を開けると風が涼しい。
このセンターに到着したのが午後5時半ころ。6時から食事というのであせって温泉に入りに行く。大浴場でゆったりと浸かり疲れを癒す。
ここは名前の通り「つるつる」なのである。直ぐそばに「塩別つるつる温泉」というのがあって、近所の人たちはこの両方を掛け持ちして入っているようだ。
食事に壜ビールを2本のみ、満足して就寝。
|