8月6日:網走〜枝幸
枝幸まで
昨夜のお酒が全く影響なく、午前4時半前に目が醒める。
残念ながら、オホーツク海側は低く雲が垂れ込めていて日の出は見ることができない。ただ、しばらくすると雲の上から金色に輝きながら出てきた朝日を見ることができた。
朝食は昨夜炊いたご飯にクラムチャウダー(インスタント)、ウインナーの炒め物とトマトだけのサラダ。そして食後のコーヒーと進む。ゆっくりと片づけをすませ、一休み。
次に出発の準備にかかる。寝袋をしまい、タープとテントを畳み、全部車に積み込む。クーラーボックスは中身のいくつかが昨夜腹の中に入った事からかなり軽くなっている。それらも合わせて全部車にぶち込んで、出発である。午前9時ちょうどの出発となった。
最初はすぐそばにある北方民族資料館がターゲット。やっぱり北海道の深くてそして長い歴史の一端でも見ておきたい気がした。ただ、キャンプ場からは5分で行ってしまう距離なのである。ところが資料館は9時半の開館である。それまでの間は駐車場に車を止めてゆっくりと待つ。
9時30分、やっと開館。
北海道を始めとする北極圏で生活した人々の生の記録である。
服、靴から始まる「衣」から見学を開始した。そのあとは生活のためのいろいろな道具、武器、すんでいる家の模型、そして最後は移動手段のカヌーと、たっぷり1時間を楽しませてもらった。
10時半過ぎに再度出発。
網走駅前を通り、能取湖、サロマ湖と過ぎて行く。サロマ湖はもっと長い距離で湖が見えると思っていたのだが、そんなに長い時間見れるものではなく、意外に車道は湖から遠くを走るのである。
かなり走ったところで道の駅サロマ湖につく。
中のお土産屋などを覗いた後に外に出ると、香ばしい香りがする。香りにつられて少し先に行くと、生ホタテの炭火焼がある。道の駅の建物の外に出店があって、ここで取り立てのホタテ貝をそのまま炭火で焼いているのである。
既に行列ができるくらいみんなが集まっている。これはどうしても食べたいということで、行列に並びアツアツを買いこみ傍らのテーブルに腰を下ろして食べてみる。とても美味い。焼いているところを見ていると、先ず貝を良く洗って殻を両側とも外し、そのまま深いほうの殻を下にしてじっくりと焼き込む。途中、蓋を開けて中身をひっくり返して、充分に火が通ったところでできあがりである。この間、醤油も塩も何も調味料を使わない。
と、すると、このホタテの味は焼いている最中にホタテの中から自然に染み出してきたものなのだろうか。やっぱり新鮮な素材は自然が、そのままが一番美味い。一人2つの量だが、貝柱が大きくて重量感がある。充分満足したあと道の駅を出発。
しかし、少し走ると今度は右側に道の駅がある。「愛らんど湧別」である。先ほどとても美味いホタテを食べた後なのに、既に腹がすいている感じである。時間は12時を回っている。
「よし!昼飯だ、入ろう」。
結局ここで昼食をとることとした。枝幸まではまだ120Km以上ある。ここでしっかりと腹ごしらえをしてから一路枝幸千畳岩を目指すことにした。
ここでもホタテが入っていると思われる「ホタテカレー」を食べた。カレーは大好物だし、ホタテは産地である。ただ、残念なことに、ここのカレーは激辛でも中辛でもなく甘め。加えて、名前からいって、豚肉の替わりにふんだんにホタテを使って煮こんだもの、と考えていたのだがこれが全く違っていて、実態は、
カツカレーのカツをホタテにしただけ。ホタテの味は完全に無視されていて、食味も歯ざわりもさっき食べたものに比べればとてもかなわず、これには非常にがっかりした。
それでも全部を食べて満腹。あとはいくつかある道の駅でスタンプをもらいながら行けば良いのである。湧別を過ぎたところで、車の運転を替わってもらう。ここからはオホーツク海を右に見ながら北上すれば良い。道はしっかりと広くて車の数も少ない。天気もよいしあとは妻に任せることとにした。
結局この後、道の駅おこっぺ、そして枝幸にある道の駅マリーンアイランド岡島を通過して枝幸市街を抜けたところにある「ウスタイベ千畳岩キャンプ場」に到着。
8月6日の日曜日ということで、午後3時過ぎにもテントを張っている家族は少ない。むしろ我々がついたときには、帰り支度の家族などもいて、閑散という状況であった。
千畳岩が見えるところ、ここは、かなり海に近いところなのだが、にテントを張る。外は意外に涼しく、昼間の暑さがうそのようである。テントを張ったあとにタープを張り、早速昨夜と同様に寝袋やマットをテンとにぶち込み、テーブルとイスを組み立て、ランプなどを全部テーブルの周りにおいて、出発である。
今夜のお酒と蟹を買いに行かねばならない。枝幸までずっと蟹を我慢(あちこちで食べてきた。)してきたので、本場中の本場で、蟹を食べねばならないのだ。町まで出て、ビールやらを買付け、帰り道にある「ささき商店」で蟹を購入した。
当然「活蟹」を期待していたのだが、既に収穫時期は終了していて、どうしても美味しい蟹を食べるとなると、釜揚げした蟹をそのまま瞬間冷凍したものしかないという。冷凍することで、蟹の旨味がそのまま閉じ込められ、自然解凍することで、その旨味が戻るというのである。確かに、活きがには直ぐに処理しないとどんどん見が痩せていくことを聞いていたので、冷凍ものを買うことにした。
しかし、完全に冷凍してしまっているので、自然解凍するまでは時間がかかる。解凍方法を確認すると、「今日の天気ならば、そのまま外に出しておいて、6時間でぴったり」だという。
今すぐに戻ってやれば、夜の11時過ぎには食べることができる。しかし、それまでは持たない。今からキャンプ場に戻ってビールを呑みつつ食事をすれば、午後9時過ぎには眠ってしまう。
そうすると、寝る前までしっかりクーラーボックスに入れておいて、寝るときに外に出せば、翌日の午前4時には自然解凍完了となる。この方法をとることとし、明日は午前4時起床。そのため、今日はゆっくりとビールを楽しみながら時間を過ごすこととした。
キャンプ場に戻り、夕食の用意をしながらビールで乾杯。今日は北海道限定販売の「SAPPORO CLASSIC」とした。
このウスタイベキャンプ場は無料である。だからといって、手入れが悪いと言うことはない。
むしろ良く整備されたキャンプ場で、テントサイトは全面芝生。駐車場も充分な台数が入るように整備されている。ただ、みんな車を芝生の中に乗り入れてテントを張っている。それが許されているのだ。
トイレも掃除が行き届いていて気持ちが良い。更に、水場・炊事場も手入れが良く綺麗である。また、直火に対応しており水場・炊事場側の方に焼肉やバーベキューができるようにコンクリート製の焚火場もいくつか用意されている。したがって、間違っても、芝生の上で直火を焚くことはない。これは常識なのである。このように気持ちがよいキャンプ場が無料で使えるということは、多分、今まで利用してきた人たちのマナーがとても良かったのだろうと思った。
午後7時で気温は摂氏20度。直ぐ足元でオホーツクの打ち寄せる波の音が聞こえる。
遠くに枝幸の明かりが見える。
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