8月3日:糠平湖〜然別湖〜帯広〜十勝川温泉


然別湖まで

 午前6時に目が醒める。テントのメッシュの窓から見える空は晴天である。昨日に続き今日も暑くなりそうである。昨夜は放射冷却というのだろうか、かなり気温が下がったようだ。明け方は寝袋にすっぽりと包まって眠っていた。

糠平湖国設野営場

 外に出ると、夜露が激しい。歩くとすぐに靴が濡れる。ようやく太陽が差して来ると次第に草が乾く。午前7時にはかなりの部分に太陽が差してきていてかなり広い範囲で草が乾き始めた。朝食は昨夜の残り物とパンで間に合わせ、撤収作業にかかる。といっても、先ずは夜露に濡れたテントやタープを干すことである。もちろん、テント内のグランドシートや寝袋も干す必要がある。
 1時間くらいで干しあがりそれを畳む。昨夜はリヤカーを使ったのだが、今朝は余裕で手で持って車に運ぶ。昨日、幌加温泉で車が動かなくなったので、今日の状況が心配である。それでも3回ほどで運び込んだ荷物を整理して、更に、服を着替えての出発となった。幸いなことに、エンジンは一発でかかった。

 出発は午前8時45分。昨日、ここに入るために273号線に従ってきたのだが、今日は少し逆戻りをして、道道85号の鹿追糠平線にはいる。これであと10kmで然別湖である。

然別湖湖上から


 湖岸沿いに白樺の林の中を木漏れ日を浴びて走る。窓とスカイルーフを全開にして、さわやかな風を受けて走る。湖岸の岬をいくつか回ると、ネイチャーセンターのある然別湖畔温泉に到着。
 時間はまだ9時20分である。車を湖岸に近い駐車場に止めて、湖岸に出る。観光船が出ていたので乗ろうと思ったのだが、時間待ちがすごい。手早くということで、手漕ぎボートを借りて湖に出る。湖上は風が比較的冷たく、ボートを漕いでも汗が出ない。対岸まで達して、魚の泳いでいる姿をみて、水に手をつけてゆっくりとする。オールを留めて風にボートを任せる。う〜ん、暑い! 
 約1時間の湖上散歩を楽しんで、今度は道路際にあるお土産屋を覗く。ここの記念として、然別湖とナキウサギの彫られたキーホルダーを購入。妻は、いろいろ買い揃えている。確かにここにしかないものもある。

 10時30分出発。次に目指すのは帯広の「真鍋庭園」である。帯広を通過し国道241号線沿いに左方に真鍋庭園がある。

真鍋庭園


 入場料400円を払って庭園に入る。順路に従ってみて行くのだが、かなり広大なコニファーガーデンである。こんなに素晴らしい庭園が北海道にあるとは思わなかった。庭園の中心が針葉樹で形と色の変化が楽しめるのである。これでもかという程沢山のコニファーが植えられており、しかも、庭園には庭園散策路案内板があって、エゾリスコース(約30分)、キタキツネコース(60分)、ノウサギ(90分)となっている。

 しかし、時間はまだまだ余裕があるし、今日泊まるところは、後から決めてもいい。天気が抜群に良くてチョット歩くと汗がにじみ出てくるくらいだ。しかし、コニファーの日陰の中をゆっくり歩くのは気持ち良いものである。ここはなかに薔薇の植え込みがあったりして、香りにも変化がある。ぐるりと回ると大きな池を回る形で、結局、どのコースを回ったかは分からないのだが、充分に1時間は越えていた。
 最後は温室の前の芝生の椅子でゆっくりと時間を過ごして帰ることとした。

 真鍋庭園のあらましとして、リーフレットに載っているのは
 「この土地は明治29年真鍋佐市が香川県より移住開拓の一鍬より始まり、明治、大正、昭和の三代に渡って今日をきずいた。当時を偲ぶものとして周囲にハルニレの神木をはじめ、園内にはヤチダモ、ヤマグワの古木が保存され、アカエゾマツ、トドマツ、カラマツ、シラカバ、カエデ類があり、その他樹齢1000年以上のイチイ(オンコ)の古木や、ビヤクシンの巨木が移植されており道外からも五葉松、キヤラ等が数多く植えられている」
 となっている。

 相当満足して、気分良く車に戻り、さて今日はどこへ・・と考えながらキーを回す。
「シュルシュル、ブルンブルンブルン」
何回やっても同じである。昨日の幌加温泉の再現となった。
20分ほど待って、再度キーをまわす。「シュルシュル、ブルンブルンブルン・・・」
もうだめである。
JAFに電話をかける。札幌のセンターにかかり帯広の現住所を連絡し、車の状況を説明、しばらく待った後、後30分でそちらに到着するよう手配した旨の回答があった。
 しょうがないなぁと思いながら、キーをまわすと、エンジンがかかった。すぐにJAFに連絡、取り敢えず近場のトヨタまで行く旨を伝え修理の車の手配を取りやめにしてもらった。
 地図でトヨタを調べると、帯広から西の方角にトヨタがある。そこまで行くかどうか分からないが、取り敢えず出発。無事にトヨタに入り、整備士に状況を説明。早速車を工場のほうに持って行った。
 30分ほど過ぎたころに、戻ってきて「エンジンのなかに軽油の噴射を認識するセンサーがついているのだが、このセンサーが不良で、停止時や停車時に自然にエンジンが止まる可能性があり、また、エンジン始動時にエンジンがかからなくなることがある」旨の説明と、純正部品は現時点では道内で調達できず、取り寄せまで1週間はかかるという。
 しかし、1週間もわけのわからない情況で乗りたくはない。再度、探してくれるように依頼したところ、10分程度の後、同じ帯広の「デンソーティック」にあり、そこで取り換えられるという。距離にして約1Km。エンジンを掛けっぱなしの愛車に乗って、地図で教えられた「デンソー」に急ぐ。
 デンソーではあらかじめ話しをトヨタから聞いていて、到着するとすぐに、交換作業に入ってくれた。事務室で待つこと約1時間。担当の整備士の人から「もう大丈夫ですよ」の保証をもらって、出発することとした。

 時間を確認すると、午後4時を回っている。今日は、釧路までの途中にあるキャンプ場に泊まろうと思っていたのだが、自動車の故障で疲れきってしまい、十勝川温泉に泊まろうという事になった。  あらかじめ携帯電話に沢山のホテル等の番号を入れてあったので、その中からいくつか選んで電話をしたが、この時間からは無理なようで、何れも満室で断られてしまった。
 最後の一つとして簡保の宿に電話をしたところ、ツインが空いているという。和室と洋室いずれが良いかと聞かれ「洋室で・・」と言ったところ、少なくとも5時過ぎにはホテルに入って欲しいとのこと。現在地を連絡し、30分程度で到着すると伝え、一路、簡保の宿を目指した。


夕食

 正式名称は「簡保の宿 十勝川」というのである。もちろん十勝川温泉なので、モール温泉である。宿に着いて部屋に入って驚いた。20畳間以上の部屋であろうか、入り口のスペースも余裕があり、室内に洋室でありながら4畳半ほどの畳の部分があり、ここにお茶の道具と座卓と机、更にテレビが置いてある。
 テーブルも広くノートパソコンを置いたうえで、いろいろな関連機器を載せてもまだ余裕がある。もちろんベッドはセミダブルが二つ、余裕を持って配置されている。
 窓の外は、ビート畑が遠くまで広がり北海道の風景である。窓が大きな1枚ガラスなので室内から見ると、大きな絵のような感じである。室内も清潔で実に気持ちがよい。

 早速モール温泉に行く。ゆっくりと湯に浸かり、露天風呂も充分堪能した。
 風呂から上がって今度は食事である。
 夕食は、大広間でのということだったが、衝立などを配し、あまり気を使わなくても良いようになっている。席に着くと、膳が運ばれて、なべに火が入る。



追加料理

 先ずは乾杯である。生中ジョッキーで乾杯、料理の追加をお願いする。一つは十勝牛のたたき、もう一つは帆立のみそ焼きである。
 ビールを呑みながらの、夕食は、どんどん進んで行く。進んで行くのはビールである。いろいろな料理に舌鼓を打ちつつ、結局ビールを5杯も開けてしまった。
 帆立は、新鮮そのもので、チョット火が通ったところが柔らかくて美味しいとのこと。確かに美味い。小皿に取り分けてアツアツのスープ(味噌スープ)をかけこれは実に美味かった。

 一方、十勝牛のたたきは、レモンを絞って、スッキリ冷たいところが売り物で、これもビールに合ってしまう。
 やはり牛は地方地方の特徴が出ていて、その土地で食べるのが一番である。
 十勝牛のステーキもと考えたのだが、半生の状況で周りにレアに焼き色をつけた“たたき”が、味を確認するにはなかなか侮れないものなのである。
 たたきは、焼いたときの香りがまだ残っているし、また、焼いた部分の味が確かめられる、中の生の部分を味わうことで肉そのものの美味さが分かる。ここで出された十勝牛は充分美味しかった。
 特にたれなどがかかっていると味がわからないことが多いのだが、このようにシンプルな形で出されると、美味さがジワッと舌にのり、歯で噛んで楽しみ、肉汁を口全体で確かめながら喉越しのときに香りを楽しめるのである。

 結局、7時半くらいまでゆっくりと食べかつ飲み、そして部屋に。
 少し休んだ後に、また露天風呂を楽しみいき、更に部屋で、風呂上りのビールを楽しんだのである。