7月16日:ニース〜Eze




 今日はニースを通ってEze(エズ)に行くことになっている。
 元気に早起きし時計を見るとまだ午前6時30分である。
娘のアパートからみた青空
 窓の外を見ると素晴らしい天気で、道路を挟んだ前の家の橙色の瓦の上に青空が広がっている。
 今日の出発は早い。
 午前9時には長距離バスターミナルについていなければならない。
 食事はバゲットと牛乳、野菜サラダにチーズで済ませてシャワー、洗面etc..

 8時20分にはアパートを出発したのだが、店を開き始めたマルシェの雑貨屋で足を止めてしまった。
 ここでオリーブの壜の口に付けてスムースにオイルを流し出す器具があり、使い勝手がよさそうなのでこれを購入した。ひとつは壜の口の大きさに合わせてコルクが付いていてそのなかにセットされたステインレスの管を通ってオリーブオイルが流れるもの、もうひとつは、コルクにガラスの管が通してあってその途中に小さなフラスコが横付けについている。ここにオリーブオイルを貯めてから流しだすと大さじ1程度の量が計れるというものである。ひとつ5〜7ユーロであった。

 結局、バス乗り場についたのは9時ちょうど。焦りながら切符を買いバスに乗り込んだのだが、バスが出発したのは9時20分ころ。エクスの市内を通り抜けて、高速道路をかなりの速度で1時間ほど走り、そのあと一般道へ入る。
 起伏の激しい道を通りすぎてとりあえず到着したところがカンヌ。街に入ったばかりは両側に新しい建物が並び、印象としてはかなりごちゃごちゃした路の狭い街という感じである。あの有名な「映画祭」は何処でやっているのだろうと思うほどである。バスは、このカンヌ市内の中心地にあるバス停で3人を降ろした。その後も街の中を通る道が狭い。しばらくして市街地を走り抜ける。
ニースの海岸
 広い海岸沿いの道路を真っ直ぐにニースに向かって走る。というよりは、カンヌを抜けてしまえばそこはもう殆どニースなのである。

 右手に地中海、左手に豪華なホテル群という景観がずっと続いている。コートダジュールといわれるこのあたりの海の色は実に美しいものである。海側の歩道は車道よりも遙かに広い。そしてゴミ一つ落ちておらず非常に清潔である。
 その歩道に椅子をだして一人で座りながら海を見つつ本を読んでいる人がいる。日焼けを楽しんでいる人もいる。歩道が広くて空いているので自転車に乗る人がいたりブレードを楽しんでいる人もいる。皆、ゆっくりと夏の太陽を楽しんでいるようだ。
 海に入るには道路から石段を降りれば良い。道の下に続く砂浜の幅はせいぜい20メートル程度である。この海岸べりは砂浜もあるのだが、むしろ小砂利が多く水も砂を含まない分透明度があるようだ。ビーチパラソルに日焼けベッドを持ち込み海水浴を楽しんでいる人はそれほど多くなくゆったりとした状況である。こんな風景が数キロにわたって続くのである。

ニース市内の目抜き通り
 ニースについて最初にすることは、カメラとパソコンを繋ぐUSBケーブルを探して購入することである。
 バスを降りてから公園を抜け市街地に入っていく。
 平日の昼前だというのにすごい人の数である。観光客が殆どなのだが、ボヤッとして歩いていれば人にぶつかってしまうくらいの混み具合である。海岸沿いの道路のことを考えると想像できないくらい煩い街中である。
 最初に行ったのはデパートだ。その中にあるいわゆる「家電製品」売り場では全くそのようなものが置いていない。
 時間的には12時近かったのでここで昼食と考えたのだが、まだ目的のものが手に入っていない。
 次にパソコンショップを覗く。しかし、ここにもない。
 やむを得ず再度デパートに行ってみると、大型家電店(?)がこのデパートの2階〜4階にかけて入っている。
 そこでいろいろ説明したのだがカシオのカメラ用のUSBケーブルはないことがわかった。
 ところがデジタルカメラの展示コーナーで、コンパクトフラッシュのノートパソコン用のアダプターがあるのに気が付いた。自分のカメラからコンパクトフラッシュを取り出して、係員にこのアダプターを買いたい旨話すと、安いほう(14ユーロ:14×120円=1680円)のアダプターでOKだという。
 しかも説明によれば512メガまで対応済みであるという。
 若干マユツパ物であるが、ここでこれを買わないともう後がない。
 値段も安かったし、時間ももったいなかったのでその場でアダプタ^を買ってしまった。
 購入してさっそく試してみるとOKである。
 が、パソコンを持ってくるのを忘れてしまったので、実際に画像を取り込むのは今夜帰ってからである。


 バス停に戻ってきたところでEze行きのバスが出るまでの時間を確認すると1時間近く時間がある。
 この時間を利用して食事をしながらビールを飲むことにした。
 早足でニース市内を歩き回ったのでのどがカラカラである。
 海岸近くのオープンカフェに入り生絞りビールを頼む。
 いわゆる地ビールが出てきた。
 かなり美味い。
 いゃ、日本のものとはまったくキレが違う。
 そして味も香りも良い。
 スーッと飲んでしまう。
 二杯を飲んでから、
「こんなに美味いビールは日本にはない、本当にここで飲めてよかった。」
とマスターに言うと
「味がわかってくれて嬉しい。おまえなら大歓迎だ、是非また来てくれ。」
と言われてしまった。

 やっと到着したバスに乗り込むと、すぐにニースの東側の山道を上り始める。
 道は良いのだかかなりの急坂を大型バスが登っていくのである。
 ニースの町が眼下に望める。
 峠を越えると素晴らしい景色が次々に飛び込んでくる。
 右手に大きな湾がありそこに客船が1隻、ヨットやクルーザーが沢山浮かんでいるのが見えるのである。
 そんな景色をカーブの先端、先端で望みながら次第に高度が上がっていく。
 が、しかし、Eze‐Villageには30分ほどで到着してしまった。
 バスを降りたところからは、すぐ上の方に教会と城壁を見ることができる。
 実はこの城壁に囲まれた村をEze‐Villageというらしい。
 階段をどんどん上がっていくと教会の前に出る。
 その教会の横の石のアーチを通りぬけるとEzeの村に入る。
 石を敷き詰めた舗道が続き、落差が激しい急坂のところは階段で上がるようになっている。
 村全体をぐるりと回る感じで上に登り、最後にサボテン公園のようなところに出る。
 ここからは有料である。
 入り口のチケット売り場で入場券を買って入るのだが、こまかい金が無くて50ユーロ紙幣を出したところ、お金が大きすぎると口頭注意・・・
「今度くる時にはもっと細かい金を持ってくること」
といっているらしい。
 サボテン公園内はかなりの急坂で、サボテンなどまったく見ずに登りつづける。
 ほんの数分で城の一番高いところに出る。
 Jardain−Exotiqueと呼ばれている場所である。
エズからの絶景、まさにコートダジュール \(^o^)/

 ここからの眺望は実に素晴らしい。コートダジュールの海岸沿いにあるこの村の家々のオレンジ色の屋根瓦の向こうに真っ青に広がる地中海がある。いつまで見ていても飽きない風景だ。人も少なく観光地なのに観光地らしさがない。

娘の計画では、この村のレストランで昼食を食べる予定だったらしい。
絶壁の上のオープンスペースのレストランで海を見ながら・・・、ということらしいのだが、時間は既に午後4時近い。
ニース発のプロヴァンス行きのバスは5時30分。
実質小1時間しかない。これでは無理である。
自分が、デジカメ用のパソコン接続コードを忘れたのがこんなところに尾を引いてしまった。残念。

 食事はあきらめて、十分に景色を楽しんだ後にバス停まで下り、再びニースへ戻ることになってしまった。

 結局、エクスにたどり着いたのは帰り道の渋滞などあって午後9時過ぎとなってしまった。
 エクスで一番美味しいといわれるピザ屋さんにより、熱々のピザを買ってアパートへ直行。
 ピザとビールで夕食。



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