−菊花賞当日−

一夜明けいよいよ菊花賞の日。私たちは9時に当日泊まるホテルに集合、荷物を置い て淀へ。しかし、淀の駅を降りると昨日とは打って変わって人だかり。まったく前に進ま ない。まずい、このままでは1Rに間に合わない。1Rが勝負レースという中村氏に焦り の色が。結局1Rには間に合わず。見事に中村氏が狙った熊ちゃんのブランドアズサが2 着に突っ込んでしまった。のっけから最悪の展開。一番人気エイシンブイブイとの組合せ は
690円。まずは 固めだけど取り頃の馬券を逃して残念、とその時はまだ余裕があった。

大激震は次の2R。
ご存知の通り20万馬券。コバテツ騎乗で連闘のライアン産駒オンワードフラッグが逃げ圧 勝。1分35秒4で走られては後続は届くわけない。2着に2番手を進んだ吉田騎乗のエレガ ンスステージが入り、
208170円
3R、2着ダンツプリンセスから入ったものの良血 タヤスレイヤを軽視し(だって調教の時計があまり遅すぎ)外れ。タヤスレイヤがまるで 人気なく9060円
4R、2番人気セカンドゲスからキュンティア、ホッコーアンバーへ。縦目、
5830円
このあたりから何か不穏当な雰囲気が場内に漂い始めていた。
次の5Rは荒れそうな予感がしていた組合せだったのだが、今度は一転して2番人気−1 番人気の決着。それでも
1110円つけたのは佐伯−久保田という鞍上によるものか。

そして圧巻は6Rかえで賞。中村さんが私にエイシンコービンについて聞いてきたことか ら、最も悪いパターンにはまってしまう。
私は本気でエイシンコービンで行けると思っていた。新馬を勝った時の内容が圧巻だった し、Storm Cat x Key to the Mintならスタープログラマーだって芝はこなしたのだから 同じ配合のMountain Cat産駒のこの馬も一介のダート馬ということはないはず、と牽強付 会。前走の敗因は距離、と決め付け、この馬の新馬勝ちがいかに凄かったかを熱く語って いるうちに中村さんもその気になってしまい、二人で思いっきり盛り上がってしまった。 (恐らくおおたさんが近寄りがたく感じられたのはこのせいだと思います。おおたさん申 し訳ございません。)
中村さんは「勝つのは決まっている、何馬身離すかだ」とまで言い切り、「4馬身馬券」 *6の購入を宣言する。
二人で「ここを逃すともう強いことがみんなに知れてしまって買えなくなるからここが最 後のチャンス」なんてこと言いながら、エイシンコービンがらみのオッズがやたらとつく ことに感激。それも当たり前、やっぱりこの馬ダート馬だった。全く見せ場なく大敗。
またもや1番人気は飛び、地方馬スバルマドンナとスイングボーイで
5670円

7R逢坂山特別になるともう断然人気のタマモプロモーターが飛びそうな気がしてならな くなっていた。で、逃げる小島ウララファミリーと行く気になれば行けるはずの武兄アー ティストターフで一点勝負。って300円だけど。
ところがアーティストターフは最後方から。何でじゃ武兄?柴田善ダイワゴウシュウが単 騎逃げるウララパープルをきっちり差し切って今日2本目の万馬券
10340円。
これを日没師がしっかりgetされていたのは既報の通 り。
やるなぁ、日没師。善臣へのアンビバレントな思いが詰まった万馬券getと言えるでしょ う。
「善臣で万馬券取ったのは初めてだ」*7とおっしゃってましたが、これも照れ隠しとみま す。

8R天王山特別は鞍上原田は気になるものの、テンパイの時計はずば抜けているのでこれ を切る訳にも行かず、まずはここから。
まず展開が向きそうなゴールデンチェリーとデジタルハイパーの4歳ミスプロ勢への目を 引き、アサカホマレとテンパイがやりあって共倒れという可能性も考えて縦目も抑えた。 レースはテンパイが出遅れ、外目を無理に追い上げ退く、という駄乗*8の見本のようなレ ースぶりで惨敗。四位ゴールデンチェリーが圧勝。武兄サウンドカスケードがなだれ込ん で2着。熊ちゃんのデジタルハイパーは最後よく追い込んだが頭差届かず3着。
7010円。かなり 熱い。もう回りは目に入っていない。
9R清水ステークスはもう何でもいいからと万馬券ばかり買う。キタサンフドーとナムラ キントウンとメイショウヨシムネとミナミノテスコの組合せ。どれでも万馬券。ミルキー ウィナーは流石に太いと感じて最後に消す。しかしさすがにインターフラッグは・・・。 この馬春先は2500とか走っていなかったか?何でマイルでこんなに走るんじゃ?今日3本 目の万馬券。
59390円

メインの菊花賞のことはもういいだろう。ヒダカブライアンがよく見えたことだけは書い ておこう。
1着はHyperion5本のマチカネフクキタル、2着は母母父リマンドのダイワオーシュウ。
3970円
終わって思わず「Bold Rulerは京都向きだった」との反省が口を突く。また一度消滅した はずの「腐ってもBlushing Groom」*9がまだ生きていることも教わった。実り多い京都遠 征であった。

最終レースはもうやけで菊でレースにならなかった河内から岸の逃げ馬に。河内は勝った が、岸はブービーだった。2着に秋山とかいうアンチャンの馬が入ったようで、
6760円つけたら しい。直線、岸の馬がズブズブになったところで半ば気絶していたようでよく覚えていな い。
結局私は淀の払戻し機に並ぶことはなかった。あれは府中と同じように富士通製なのだろ うか?それが気がかりである。

ズタズタになっていたのは私だけではなかった。駄買卿*10を襲名することとなった旧ダ ービー卿久賀氏も中村氏もノーホーラであったようだ。だからといって心は晴れないが。
告白すると、最終レースが終わった瞬間、私はもうどこかへ消えてしまいたかった。
持ってきたお金もほぼ底を尽き、妻や子供に合わせる顔がなかった。ここが京都でよかっ た。言い訳を考える時間が明日まである。

人の波を掻き分け駅へと向かう。当人たちはよく覚えていないのだが、どうも他の人の話 を聞くと、このあたり関東勢はかなり疲れていたようである。ご心配かけてすいません。 私や日没師は30も半ばに差し掛かっているわけで、きつくないわけはないのだ が、それを皆に感じさせるようではいかん、と反省。

ホテルにチェックインを済ませた後、皆が待つ2次会の会場へ。
鍋は旨かった。話も弾んだ。
私は酒はあまり飲めない。いや、実は正確に言うと十二指腸潰瘍があるため飲んではいけない、のであるが、この日は驚くほど酒が進んだ。自棄酒、というわけでもない。楽しい酒であった。
淀では熱くなり過ぎていて、他の皆さんとは殆どお話できなかった分、2次会では色々話せて楽しかったのだが、実は何を話したか余り覚えていない。多分Bold Rulerがどうしたとか、Woodmanの仔がどうしたとか言っていたのであろう。困ったものである。ここでは っきり覚えているのはギャロップの善臣の記事で盛り上がったこと。
「ダービーで俺が乗ってからフクキタル は成長したね」*11
「フクキタルはダイワオーシュウにとっ て手強い相手になると思うよ」
・・・見事な慧眼。善臣ファンとしては嬉しい限りであ る。
実は善臣以外にも話題の人物はいたのだが、ここではちょっと書けない。

おおたさんが帰られるので記念写真を撮り、午後10時前頃に2次会もほぼ恙無く終わる 。
しかしもう飛びまくっていた我々はもう止まらない。3次会へと突入してしまう。

3次会へと向かう道すがら、ちょっと気になった*12ので大須賀さんに大丈夫ですか?と 聞くと、大須賀さん「まだ電車はありますし、奥さんに迎えに来てもらうという手もある し・・・」
え〜!大須賀さん妻帯者だったんですか?
日没師曰く「やはり妻帯者は落ち着きが違うね」・・・あの〜、私らも一応妻帯ですけど 。
日没師「俺らは落ち着きがなさすぎるんだよ」。うむ、一緒にされるのは嬉しい反面ちょ っと心外。

てなことを言ってると、背中に
Chaka Kahn*13と大きく書かれたウィンドブレイカーを 来た爺さん(推定年齢75歳)が颯爽と自転車で走り過ぎていく。うーむ、あれは何だった んだろう?こんなところにも京都の奥深さが・・・。

3次会では皆様ご報告のとおり、よださんが熱く語っていた。いやあ、聞きしに優る熱さ である。あれで記憶がないと言われても困ってしまう
田崎・柴田両女史、及び原田氏が帰られるとき、手拍子つきのファンファーレで見送った ことは事実である。
だが、それはあくまで、実際には馬がいない状況でのものであり、ファンファーレでの手 拍子を推奨するものではないことはここに銘記しておく。或いは、あのような馬鹿げた乱 痴気騒ぎをすることで、ゴール前で手拍子をすることの馬鹿さ加減を世に知らしめようと したのかもしれない。さすがにDSMLメンバー。深い。

3次会の会場を出たのはもう12時を回っていただろうか。ホテルをとっていなかった有芝 、中村両氏はもちろん、いしまるさんももう帰れない誰からともなくラーメンを食いに行 こうという話になり、タクシーに分乗してラーメンを食いに行く。ここらへんで、私はい わゆるランナーズハイ状態になっていたようだ。スキップをしているところをいしまるさ んに見つかる。気まずい。

ラーメンは旨かった。ここでも皆話し続けている。もう何の話だかわからないけれど、何 を話しても楽しいユーフォリア状態。
ラーメンを食べおわり高野の交差点まで歩く道すがら、日没師と私は何故か
"Born to Run"*14を歌っていた。思えば日没師と懇意にさせていただくようになった きっかけも"Born to Run"であった*15。こうやって共に歌える日が来ようとは ・・・感慨深い。

さすがにここでホテル組はせっかくホテルをとっているのだから、ということでホテルに 帰る。有芝・中村両氏のことは心配だったが、あとは名幹事いしまるさんに任せることに した。
ホテルに帰ったら2時を回っていた。疲れているのだが、多少興奮していて寝付かない。 何故か寝るのが名残惜しいような感覚に苛まれる。身体はボロボロに疲れているのに。
本当にDSMLは競馬の好きな人の集まりなのだということを改めて実感。悔しいけれど、自 分もその一人なのだということも。

翌朝10:30、日没、戸谷、久賀氏とホテルのロビーで待ち合わせ。日没師はまだ別の友人 との約束があるらしい。タフである。
戸谷、久賀両氏は向日町競輪へ。こちらも懲りない人たちだ。
私は愛する家族が待つ北多摩へと直行である。妻に何と言い訳をしようか、と考えながら 。
終わり

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*6:勝つ馬は決まっているのだから、勝ち馬を当てる馬券は本来なら売っているはずがな いのである。
こういうケースでは何馬身離すかが賭けの対象になる。恐らくはOrmondeやSt.Simonの最 盛期にはこういう賭けも行なわれていたであろう。(山野浩一)<-嘘

*7:何を隠そう私はまだ中舘で万馬券取ったことがない。ヒモを間違えるんですよねぇ。

*8:(C)岡山@プータローさん。最早有名になった駄買というフレーズの元になった単語。

*9:昨年の春の天皇賞の前、距離不安を囁かれていたテイエムジャンボに対して、この私 が使ったフレーズでもある。
結果はビリ。ここから「Blushing Groomには2種類ある。良いBlushing Groomと悪い Blushing Groomである」という教訓が導かれた。良いBlushing GroomはRainbow Quest、 Nashwanで、悪いBlushing Groomはクリスタルグリッターズ、マラキム、ツータイミング である。

*10:この顛末についてはご本人からの詳しいレポートがあるので、そちらをご参照下さい 。
余談だが、私の妻はこの駄〜というフレーズがかなり気に入ったようで、外れ馬券を駄券 と呼ぶようになった。

*11:正確には「俺が降りてから」だと思うが、善臣の時代が来ようとしている今、そんな 小さなことは問題にしないでおこう。

*12:大須賀さんはとても物静かで腰の低い方で、ちょっとそのときの私たちのノリとは異 質な感じがしていました。で、無理にお付き合いいただくのは悪いような気がしたもので ・・・。

*13:"I Feel for You"(天才“元”Prince作曲)の全米No.1ヒットを持つR&Bシンガー。
あまり爺さんの聞くタイプの音楽ではない。

*14:ロック界の"the Boss"と呼ばれるBruce Springsteenの出世作。runaway American dreamとかsuicide machineといった大仰でアナクロなフレーズが泣かせる Rock'n'Roll anthemである。

*15:ここらあたりの経緯はDSMLアーカイヴ
の1996年9月http://www.k-ba.com/ml/derby/199609/ で[DSML6017]〜[DSML6098]あたりをご覧ください。



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