ECHIGO, SHOの菊花賞観戦記
−菊花賞前日−
私はしがないサラリーマンである。
子供は3人いるし、借金は8桁ある。月の平均小遣いが2万4千円しかなく、その中から毎週競馬通信と競馬ブックを買って、馬券代も捻出している。私は煙草も酒も風俗もやらない。OASISやVERVEの新譜も欲しいけれど我慢している。第3期King Crimsonの伝説のライブが出たらし・「が、まだ買えない。そんな私だが、京都には行かなければならなかった。ここで御大といしまる氏に会わないで一生を過ごすわけにはいかない。そんなことになったらあとの一生をずっと後悔しながら過ごすことになっていまう。どんなに貧していても悔いの残るような生き方はしたくない。私は妻に土下座して京都へ行く金を工面してもらった。恐らくは8月末に生まれた第三子の出産お祝い金を充てたのであろう。妻は何も言わなかった。そのとき、私は確かに妻を愛していると実感できた。そして今月の小遣いを全て前借りし、組合から出た出産お祝い金も黙・チて持ち出し、もしものときに備えることにした(私はキャッシュカードを持たない。なぜなら、持っていると全部降ろして使ってしまうからである)。
今回、関東組(日没、中村、戸谷、久賀、有芝、拙:順不同、敬称略)はオフミ前日の朝、後楽園場外に集合ということになっていた。土日に馬券を買わないと手が震えるという馬券ジャンキーの某氏の発案である。だが、私は直接東京駅に向かった。寝坊したせいもあるが、お金が・ネかったのも事実である。指定の待ち合わせ場所で待っていると、他の5人が揃ってやってきた。何と私以外全員府中の馬券を買っていたのである。久賀ダービー卿(当時)に至っては福島まで全レース買っていたそうで、頭が下がる思いである。私はこんな人たちと一緒で大丈夫かと不安になった。
京都まで新幹線で2時間半。寝ていたのであっという間であった。
早速御大といしまるさんの待つ淀へ直行。初めて会う御大はまあ大体イメージ通り。しかしいしまるさんは・・・。きゃー!かっこいい(ハートマーク)。もっとオタクっぽい感じを想像してました。すいません、のりりん。
レースは9R八瀬特別。4歳裏3強*1のうち菊花賞を除外された小林翁の二頭が激突する菊花賞以上の注目のレース。
オースミジャイアン−フサイチキャプテンの3-5は2.0倍。さすがにこれしかないだろう、と思いながらも、これは買えない。フサイチの単を遊び程度に買ってみることに。
レースはスローで流れジャイアン、フサイチとも前々での競馬。4角でジャイアンは楽な手応えで逃げるグラチェを捕らえに行く。対してフサイチはやや押し気味。どうやら勝負はあったようだ、と私は自分の馬券についてはその時点で諦めたのであるが、そのあと、我々関東勢を戦慄させる出来事が起こった。フサイチの内にいたWoodman産駒ハッピーウ ッドマンが止まらない。
おかしい。
フサイチも必死に追いすがるが差はつまらない。
そんなはずが・・・。2400でWoodmanの仔がトニービンxアドラーブルに勝っていいはず がない。しかしハッピーウッドマンはフルキチを背にテツゾーの猛追を首差凌ぎきってしまった。*2
こ、これは・・・。
ふと、前に広がるストレッチを見ると、まっ平らではないか。
日没師が呟く。
「京都の直線は平らすぎる」。*3
思えば、これが翌日の伏線だったのだが、無邪気な私たちは誰一人としてそのことに気づいていなかった。幸せな人たちである。こんな直線まっ平らなところでやってる甘い競馬なんて、と半分馬鹿にしながら、その実甘い競馬に慣れきっていたのは私たち関東組の方だったことを翌日思い知らされることになる。
続くアンドロメダSが今日の勝負レース。何故か河北が乗るメガミゲランの印が軽い。
中間順調さを欠いた?そんなん三味線に決まってるやないか。鉄板や。
1分9秒台の時計しかないビッグサイクルなんて馬が一番人気になっている。こいつはおいしい(<-剽窃)。
メガミゲランからフィールドウェイとフミノパラダイス、プラウドマンへ。結果は絵に描いたような一着三着。
2着にはア、アベルクイーン?またフルキチやないか。ダート馬だと思ってたのに・・・。有芝さんは取ったそうです。おめでとうございます。
ファンタジーSは反対にフルキチの馬から行って撃沈。AR共和国杯の方は締め切り間に合わずに買えず(ま、ゲイリーイーグル軸ですから買えなくて良かったんですが)。最終もカモンマイハウスから入りながらレディータイクーンを外して駄目。何故か忘れたけどちょっと前までレディータイクーンの一族の話をしてたのだが。「ビューパーダンスは屑出さないね」「でもレディータイクーンは駄目だね」みたいな会話。誰かが「でもレディータイクーンもちょっと走ってきそうじゃない?」なんて言っていたような・・・。
とりあえず一日目のレースは終わった。その後女性陣*4も加わって軽く前日追いに出ることに。しかし、一人遅れていたかとう氏が追いついた*5あたりから、この前日追いはとんでもなくハードなものになっていく。15−15でいい、とテキにいわれたのに、馬に持っていかれて時計を出してしまうアンチャンのようであった。
ホテルに帰ったのは1時過ぎ。日韓戦のリプレイを何度も見せられて、眠りに就く。明日はいい日でありますようにと祈りつつ。まだ私たちは淀の怖さを知らない。
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*1:ここに出ていた二頭と、同じ日にアルゼンチン共和国杯に出ていたタイキエルドラド の3頭をさす。しょぼい内容ながら重賞勝ち馬になってしまったタイキエルドラドはもう 裏とは呼べず、替わってインターパンチが裏三強入りする、という話はない。
*2:実はハッピーウッドマンは母父Sadler's Wellsであり、あの追ってのしぶとさは母父 譲りであることが判明。また、勝ったオースミジャイアンはゲートで落鉄していたことも後日判明。着差以上の強さに唖然であるが、何にせよ勝って良かった。これでジャイアンまで負けていたら、私たち血統派は立ち直れないところであった。
*3:我々関東人の中央開催時の馬券作戦に平坦な直線という要素はインプットされていな い。頭では分かっていても、すぐには切り替えが効かない。実際に見ると驚くほど平坦であった。
*4:柴田さんと田崎さん。どういう経緯でいらっしゃったのかよく分からなかったのです が、気がついたら同行されていました。何か日没さんが携帯を使っていたような・・・ (^^;;;。
*5:かとう氏はお仕事の都合で、夜に一人で上洛されました。で、タクシーの運ちゃんに 違う店に連れて行かれたそうで、お疲れ様でした。
-菊花賞当日-に続く