ダイエット
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なぜ腹が減る、どうして満腹になる?
食欲のメカニズムと
乱れの原因を知るダ
イエット
◎無理なダイエットプランを立てる前に。
まずは食べ過ぎの根本にある食欲調整の仕組みについて知っておく。
これからするのは、カボチャの中のキャラメルの話だ。
カボチャとは脳。ヒトの脳のサイ
ズは、おおざっぱにいって大きめのカボチャくらいである。
その真ん中ほどに埋まったキ
ャラメル1個ほどの器官がこのページの主役、視床下部である。
簡単にいうと、視床下部
は神経細胞(ニューロン)の固まりだ。
眠り、体温調節、セックス、ストレス調節、ホル
モン調節……。
キャラメル1個分のスペースで、これだけの仕事を一手に引き受けている
。
「心臓による循環と肺などによる呼吸機能を除いて、動物が命を保つために必要なすべ
ての仕組みに関わっている」(東海大学医学部の白石武昌先生)のだ。
興味深いことに、
ネコでもネズミでもヒトでも、視床下部を構成するニューロンの総数はほとんど変わらな
い。
それくらい動物にとって必要不可欠な存在なのである。
生きるのに欠かせないといえ
ば、もう一つ大切な機能がある。
それは食欲のコントロールだ。食べ物が目の前にあれば
、ヒトはいつでも食べるわけではない。
そこに「食べたい」という、衝動(食欲)が伴わ
ないと、実際に手は伸びない。
この気持ちを起こさせているのが、視床下部なのである。
こんな動物実験がある。4日くらい絶食させたネコの視床下部のある場所を刺激すると、
何にも食べてないのに前足をペロペロと舐める満腹動作をはじめる。
逆にエサをたくさん
与えて満腹状態にしておいても、視床下部の別の場所を刺激すると工サをどんどん食べ続
ける。
刺激でネコが満腹を感じた場所が腹内側核で、そこを満腹中枢(VMH)という。
刺激でネコが食べ続けた場所が外側野で、こちらは空腹中枢(LHA)だ。
満腹中枢と空
腹中枢をセットにして食欲中枢と呼んだりするが、そこには1万ほどのニューロンが集ま
っている。
食欲中枢が正しく機能しているからこそ、どんなに忙しくても毎日忘れずに食
事するわけだし、いかに空腹でも適当なところで食事をストップできるのである。
視床下
部はどうやって空腹や満腹を感じるのか。
そしてそのスイッチを、どんな仕組みで切り替
えているのか。キャラメルの包みをはぎ取って、その中を覗いてみよう。