施餓鬼会

 施餓鬼会は、字のごとく「餓鬼に施す会」です。「餓鬼」とは、地獄道の次に苦しい世界である餓鬼道に落ちていつも飢えと渇きに苦しんでいる亡者をいいます。食べ物があっても、餓鬼が食べようとしたとたん、たちまち炎となってしまい、飢えの苦しみを癒すことができません。そんな、自分の力ではどうしようもない餓鬼に飲食の施しをするのが「施餓鬼会」です。
 施餓鬼会の由来には、次のような逸話があります。
 釈尊の十大弟子の一人、阿難尊者(あなんそんじゃ)が一人で坐禅をしていると、突然目の前に餓鬼が現れました。その餓鬼から、「三日のうちにお前は死ぬ。そして私のような醜い餓鬼となるだろう」と告げられました。阿難尊者は驚き、釈尊に相談すると、釈尊は、「山海の新鮮な食物をお供えし、法要を営みなさい。お経の法力で供物は無量に増し、多くの餓鬼に施され、救われます。そして、施主であるあなたの寿命も延び、仏の道を悟ることができるでしょう。」とお答えになりました。こうして、阿難尊者が餓鬼を供養したのが、施餓鬼会の始まりだとされています。
 現代の施餓鬼会は、お盆に、ご先祖様の供養と同時に行われるうようになりました。中央に「三界万霊等」の位牌【第484号参照】を安置し、供養の行事を行います。「三界」とは、欲界・色界・無色界、生きとし生けるものすべてがめぐる世界のことです。餓鬼をはじめ、そのような三界すべての霊に施すものであります。そしてそのその功徳は、施主やそのご先祖様にもたらされます。「餓鬼」は、尽きることのない欲望の象徴であり、ゆらぎやすい私たちの心の側面でもあります。施餓鬼会で施す心を養い、そして同時に、施され、生かされているということを認識することも大切なことだと思います。
 14日に、近隣寺院の施餓鬼会の役僧として出頭しました。そこには、熱心にご先祖様をはじめとする三界万霊等の供養をされる多くの壇信徒様がみえます。きちんと荘厳された会場にて、厳粛に施餓鬼会を終えることができました。

施餓鬼棚 お参りする壇信徒様 導師回向
≪平成27(2015)年8月14日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成27年8月16日(日):第1582号】