三界萬霊等(さんがいばんれいとう)
施餓鬼会においては、必ず「三界萬霊等」の位牌を祭壇の中央に置いて、御先祖様の供養をします。
では「三界萬霊」とは、何でしょうか?
「三界」とは、私たちが生まれかわり死にかわりするこの世界のことで、「欲界(よくかい)」、「色界(しきかい)」、「無色界(むしきかい)」の三つの世界をいいます。
「欲界」は、もっとも下にあり、性欲・食欲・睡眠欲の三つの欲を有する生きものの住む世界です。ここには地獄(じごく)・餓鬼(がき)・畜生(ちくしょう)・修羅(しゅら)・人・天の6種の生存領域である「六趣(ろくしゅ)」、「六道(ろくどう)」があり、欲界の神々(天)を六欲天といいいます。
「色界」は、前記の三欲を離れた生きものの住む清らかな世界をいいます。絶妙な物質(色)よりなる世界なので色界の名があり、四禅天に大別されます。
「無色界」は、最上の領域であり、物質をすべて離脱した高度に精神的な世界をいいます。ここの最高処を「有頂天(うちょうてん)」といいます。
「萬霊」とは、欲界、色界、無色界などのそれらすべてを指します。
すなわち、「三界萬霊等」の位牌は、この世のあらゆる生命あるものの霊を、宿らせ供養するためのものです。施餓鬼会においては、連綿と続いている御先祖様のおかげで、今の私たちがあることに感謝して、合掌しましょう。
釣月寺施餓鬼棚にある 「三界萬霊等」の位牌 |
≪平成24(2012)年8月11日撮影≫ |
釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成24年8月13日(月):第484号】