山口市内三ヶ寺

 本山めぐりの初日に訪れたのは、山口市内の名刹三ヶ寺です。

 常栄寺  場所の地図
 臨済宗東福寺派の寺院で山号は香山といいいます。
 山口で晩年を過ごしたといわれる画僧・雪舟が、築庭した庭園(名勝)が有名です。大内氏の別荘の庭として造られましたが、後に寺になり、常栄寺になりました。本堂北面に広がる庭園は、池の周囲に立石を配した池泉回遊式庭園です。中国大陸を象徴する三山五嶽の石組みは、広大なイメージを無数の石で表現しています。

 常栄寺と方広寺はつながりが深く、現常栄寺の住職は、方広寺管長である大井際断老師の命で、方広寺派の末寺である新城市井代にある宝珠院【第481号参照】の今井住職が平成22(2010)年に派遣されました。今井住職とは、それまで親しくおつきあいさせていただいておりました。今井住職とお会いすることが、今回の旅行の目的の一つでした。

山門 本堂 寺について解説する今井住職
国指定史跡及名勝 常栄寺庭園

 洞春寺  場所の地図
 臨済宗建仁寺派の寺院で山号は正宗山といいいます。

 元亀3(1572)年創建後幾度もの変遷をへて、明治元(1868)年萩城内から移した毛利元就の菩提寺です。もともとここは応永11(1404)年に建立された国清寺の跡で、どっしりとした四脚門の山門(重要文化財)は当時の遺構です。桟唐戸(さんからど)や花頭窓(かとうまど)が美しい観音堂(重要文化財)は大内氏ゆかりの仏殿を移築したものです。

 方広寺からのお参りということで、住職自ら寺坊についての解説をしていただき、さらに普段は見ることができない後本尊様の厨子を開帳していただき、御本尊様である聖観音菩薩を参拝することができました。

四脚門の山門(重要文化財) 本堂 桟唐戸や花頭窓が美しい観音堂(重要文化財)
般若心経を唱える参拝者 寺坊について解説する住職 御本尊様である聖観音菩薩


 瑠璃光寺  場所の地図
 曹洞宗の寺院で山号は保寧山といいます。

 文明3(1471)年に、現在の山口市仁保高野に創建した寺で、はじめ安養寺といっていたが、明応元(1492)年に瑠璃光寺と改められました。この地にあった香積寺は、慶長9(1604)年に萩に移され、その後にこの瑠璃光寺が元禄3(1690)年に仁保から移り来たものです。薬師如来が本尊で、防長屈指の大寺で、経文や画像など多くの寺宝が所蔵されています。国宝の五重塔は香積寺の遺構で、嘉吉2(1442)年ごろに完成しました。高さは312m、大内文化を伝える貴重な建造物で、国宝に指定されています。上層にいくに従って細くなる塔身と、優雅な反りを見せる檜皮葺きの屋根が優美な調和を見せています。春の梅や桜に始まり、新緑・ツツジ・紅葉と四季折々の風情も格別です。夜間はライトアップされます。

山門 本堂 池に映える五重塔奥の院
≪平成26(2014)年11月19日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成26年11月25日(火):第1318号】