金封(きんぷう)・拝表(はいひょう)

 臨済宗の寺院間で、金銭を贈る場合、奉書紙(ほうしょがみ)を使用した独特の金封が使われます。
 金封の作り方は、次のようですが、すでに折り目が入った奉書紙も市販されています。
 1.530×394の奉書紙を半分に折り返します【写真@】。
 2、次に山側の幅を少し狭く6cmほどにし、3つに折ります【写真A】。
 3.3つ折りしたものの上下10cmを折り返し、100×185くらいの長方形にします。向きは折り返しの山が右側にくるようにします【写真B】。

 次に、1.5cmほどの紙帯を中央に巻きます。紙帯の色は、慶事の場合は赤色【写真C】、弔事の場合は黄色【写真D】を用います。
 そして、拝表に金銭の目的や贈り主の寺院名等を記述します【写真C】。なお、弔事の場合等は金封に直書きします【写真D】。
 拝表の書き方は、右上に欽上(上位者)または謹上と書き、中央上部にその目的を記します。これも臨済宗特有の言葉が使われます。一例を挙げると、菓儀(菓子に換えて金銭を贈る場合)、謝儀(じゃぎ:法要などに協力してくれた人に対する謝礼)、相見香(しょうけんこう:本山管長様等に面接するときに贈る場合)などがあります。また、拝表下部には、送り主の寺院名や僧名を書きます。これも独特の書き方をします。寺院名は、○○小住、僧名のあとに「九拝(きゅうはい)」と記します。「小住」とは、小さな寺院ですという謙遜で、「九拝」は、私はあなた様をたいへん奉っていますという意味です【写真C】。住職の場合は「小住」としますが、副住職の場合は「副住」、徒弟の場合は「徒弟」とします。昨日の【第861号】も参照してください。
 弔事である一般の葬儀に時の香奠にあたる「香資」は、金封に次のように直書きされます【写真D】。右上に「虔備(けんび:哀悼の意を表しますの意)」、中央上部に「香資」、下部の、○○小住 ○○九拝は慶事の場合と同様です。
 中に入れる紙幣は、半紙を1/4に折り、右側が山折りの状態で、上下を紙幣の大きさに折り返します。その半紙の表に金額を書きます【写真E】。この紙幣の入った半紙を、金封に入れ紙帯をつけます。 

【写真@】 【写真A】 【写真B】
 
【写真C】 【写真D】 【写真E】
≪平成25(2013)年8月26日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成25年8月26日(月):第862号】