庚申様

 昨日は「塚島」集落における庚申様の本尊様である掛軸の紹介をしましたが、同じように「双瀬」集落での本尊様も釣月寺に寄贈されています。こちらは掛軸ではなく、祠に入った高さ30cmほどの仏像です。こちらも本寺において大切に保存しています。
 像は、青面金剛と三猿で、青面金剛は、帝釈天の使者であり、病魔を退散させる威力があるということは昨日紹介しました。恐ろしい形相をしている場合が多く、これは、庚申の夜祭を守護しているからだとも言われています。また手が何本もあって一度に沢山のものを作ることができるため福の神様ともいわれています。また、神道では「申(さる)」ということで、猿田彦神(さるたひこのかみ)を結び付けています。猿を庚申様のお使いにみたて、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿信仰にもなっています。多くの庚申様の本尊に、青面金剛と三猿が彫られているのはこのためです。
 庚申様の起源は、中国の民俗宗教である道教の伝説に基づくものです。人間の頭と腹と足には三尸(さんし)の虫がいて、いつもその人の悪事を監視しています。三尸の虫は庚申の日の夜の寝ている間に天に登って天帝(「閻魔大王」とも言う)に日頃の行いを報告し、罪状によっては寿命が縮められたり、その人の死後に地獄・餓鬼・畜生に堕とされると言われていました。そこで、三尸の虫が天に登れないようにするため、この夜は村中の人達が集まって神々を祀り、その後、寝ずに酒盛りなどをして夜を明かしました。これが伝えられて、現代の庚申様の集いになったようです。

≪平成24(2012)年11月3日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成24年11月5日(月):第568号】