8月の赤沢

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種々の事情により、お盆から3週連続(13〜16日、21〜22日、28〜30日)週末に赤沢に行っていました。合わせて24本潜ったのですが、全部ビーチダイビングで同じ場所だし、記憶もまぜこぜになっているので、3週ぶちぬきでまとめ書きしました。


豪雨の中にダイバーが見たものは・・・

それは、「ツキチョウチョウウオ」でした。図鑑をお持ちのかたは引いてみてください。できれば大きな図鑑のほうがいいです。この魚は、日本ではほとんどまれにしか見ることのできない、珍しい魚なのです。山と渓谷社の「日本の海水魚」によれば、「わが国からの出現報告は極めて少ないが、体色の類似したクラカケチョウチョウウオなどと混同されていることも考えられる。(似てないと思うけど:筆者所感)他の海域でも多くはなく、食性については知られていない。」とあります。食性すらわかっていない、謎の魚でもあるのです。今回は計4回見ることができました。最初の3回はただ通りすぎるだけでしたが、最後の1回は水底の岩を突っついて食餌中で、じっくりと見ることができました。遠目で見ると、普通のチョウチョウウオに似ているのですが、体の色の黄色が強いこと、目の後ろの白帯が上の端ですぼんでいること、尾びれに黒い帯があることなどで区別できます。なお、この魚が見られたのは、今回が初めてではなく、今年の1月にもほぼ同じ場所で見られています。別の個体とも考えにくいので、温帯で越冬できることと(つまり死滅回遊ではない、ただし繁殖については不明)、餌はこの海域でとることが できること(大きさは充分成魚のもの)は確かなようです。小林安雅さんによると、去年からいるという噂はあったようです。


小林安雅さん(水中写真家)赤沢に

21日の夜に、赤沢でスライドショーが開かれ、ゲストとして小林安雅さんがいらっしゃいました。内容は、ごみを住みかにした生き物をメインに、様々な生態を紹介するものでした。これに先だって、数日前に下見で潜られていましたが、ツキチョウチョウウオを追いかけていたとのこと。
翌日はいっしょに赤沢を潜る会でした。残念ながら一緒には潜れませんでしたが、上がってきた小林さんは「チダイって前からいた?」。マダイならたくさんいますが、そういえばチダイは見ないですね。魚屋ではマダイのほうがえらいのですが、海の中での希少価値はチダイのほうが高いようです。気をつけて潜ってみると、いたいた、確かにマダイよりずっと少ないし、見た目は立派(背びれの前のほ うが長くのびる)ですね。よほど気にいったのか、この後2回、赤沢の撮影にいらっしゃいました。

小林安雅さんのホームページ
http://www.nature-n.com/ocn_odsy/index-j.htm


そういえばテレビカメラが回っていたなあ

21日・22日は、テレビの取材もありました。障害者のIさん(頚椎損傷)がダイビングの講習を受けるので、その様子が中心でしたが、普通のダイビングシーンもかなり撮っていきました。まあ実際に使うのは少しだけなので、どれだけ放送されるかはわかりませんが。
(テレビ神奈川で9月26日に「勇気の海」のタイトルで放送されました)


ムレハタタテがやってきた

ムレハタタテダイの群れ(ちとくどい)は夏から秋の定番ですが、今年もやってきました。全部で3ヶ所いて、それぞれ1匹、2匹、14匹います。1匹しかいないのは、もしかするとただのハタタテダイかもしれません。こいつは、もっぱらカワハギ専門のクリーナーとして生活しています。2匹のほうは、わりと中層を漂っているので、いないと思っても上を見ると見つかります。14匹は、名前の通りに群れています。場所は、ちょっと沖のほうです。ただ、まだちょっとまとまりがなくて、集まっていても向きはばらばらです。図鑑の写真のように、みんなそろってというわけにはいかないようです。でも、ばらばらのほうが、1匹1匹の個性が出るので、面白いです。


シマアジ、カンパチ、そして・・・

シマアジの群れは、いく場所にもよりますが、2回に1回は見られるようになりました。まだ小ぶりですが、群れてぴかぴか光っています。ムロアジの群れも2回見ることができました。カンパチは、今年は少なめです。それでもときどき回ってきては、ダイバーのまわりでぐるぐるしています。特にこどもカンパチはダイバーを恐がらないので、びっくりするほどそばに寄ってきます。12cmくらいのこども7匹と会ったときは、いる間ずっと近くで遊んでいました。わかものカンパチも数は少なくなりますが、寄ってくることがあります。砂地につきでた岩で細かいもの探しをしていると、25cmくらいのが2匹やってきて、まわりを回り始めました。これくらいなら刺し身にしてもいいかなーと見ていると、もう1匹、カンパチじゃないのがくっついています。アジの仲間だけど、ひれがとがっていて体が四角っぽい・・・これってナンヨウカイワリだ!(またはクロヒラアジの可能性も)そう、赤沢は意外な回遊魚ポイントでもあるのです。そういえば去年は、ギンガメアジに囲まれたっけ。


本日のダテハゼおよび同居人

水深10mくらいのところに、ダテハゼの巣穴が3つまとまっているところがあります。で、それぞれの巣穴に、ハナハゼ(はい図鑑出して〜)が共生しています。特に、一番手前の穴は、ハナハゼもペアになっているので、面白いです。
近くにきたら、まず5m手前で一時停止します。これくらいの距離だと、まだ警戒していないので、底から1mくらいのところを漂っています。でも見るほうは、青くて長いのがひょろひょろしているのしか見えないので、もう少し近づきます。
じわじわと、ゆっくり、少しづつ寄っていきます。ハナハゼから目を離してはいけません。ハナハゼの動きをよく見ましょう。近づいていくと、ハナハゼはだんだん下におりてきます。下りてくる動きがゆっくりならいいのですが、飛び出すような速い動きが見られたらそこで止まりましょう。
ハナハゼが落ち着くまで待ちます。動きがゆるやかになったら、またじわじわっといきます。そろそろハナハゼの細かいところが見えてきます。ここで、ハナハゼの真下の砂地をよく見てみましょう。しましまのあるハゼがいましたか。何匹いますか。これはダテハゼで、2匹いるのがわかりますか。2匹は時によって反対向きだったり並んでいたり、交差していたりします。もっとよく見てみると、ダ テハゼのそばを、小さなエビが動きまわっているのも見えます。テッポウエビです。
もっと近づいてみると、さすがにハナハゼが底近くにきて、そろそろ穴に隠れたそうなそぶりをします。まず、最初に1匹がすっと穴に入ります。もう1匹は、すぐには続かず、しばらくは泳ぎ続けます。さらに近づくと、穴に入りました。でもまだダテハゼがいます。
ここのダテハゼは度胸がいいのか、かなり近づいても穴に隠れません。あまり恐がらせてもいけないので、このへんで終わりにします。


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