8月の赤沢

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隠れ場所がなくて海藻のかげに隠れるマダコヒラメは相変わらず人相(魚相?)が悪い

いよいよお盆休みに突入、道も電車も混んでいます。でも一度赤沢に入ってしまえば、混んでいる道を見てみなさんごくろーさんと思いつつ、こっちは水の中で涼んでいられます。

天気も良くて、ちょっと南風が吹いて海面は波立っても、防波堤で守られたエントリーポイントでは静かそのもの、楽々エントリーです(でも干潮に当たって海までが遠くなるけど)。

そして水温も上昇、かと思ったのですが、意外や意外1度ほど下がってしまいました。エントリーするとちょっと冷やっとして、1時間も水中にいると上がってきたときの暑さがありがたく感じます。透明度はぐっと落ちてしまい、3mも離れるとぼや〜っとして、写真を撮っても霞がかかったようになってしまいます。でもこんな時だからこそ、思わぬ大物との遭遇を期待して、エントリーします。

透明度が悪いので、目はどうしても小物にいきます。でもそのおかげでタツノオトシゴを見つけられたのはめっけもんでした。でも探すのはかなり難しくて、見つけられたり見つけられなかったりします。何かいる、と思ってもただのハオコゼでがっくりしたり、残圧に追われて泣く泣くあきらめたりとむらがあります。

でも、そのついでというか、マハタの幼魚が岩穴の中にいるのを見つけました。黒い地に白の横じまが入っていて、つぶらな瞳が愛らしい魚です。でもあまり近づくと穴の奥に潜ってしまうので、ちょっと遠目で見ています。デジカメ向きの被写体ですが、タイミングが難しいでしょう。
なお、先週もいたコロダイの幼魚はまだ健在です。相変わらずくねくねしています。

さて毎年おなじみの(ムレ?)ハタテダイですが、今年は割と近いところで見られます。砂地にある四角い岩のまわりで十数匹がまとまっています。そんなに広がらないので、カメラのフレームにうまく入るのですが、向きがそろっている時は逃げるところなので後ろ向きになってしまい、動かないときは向きがばらばらと、悩み多き群れです。
そのハタタテダイの中に、細長い魚が一緒になっていました。黒い地に縦じまが2本すっと通っています。これはどうも遊泳性のギンポらしいぞと見当をつけて、あとで図鑑を引いてみると、やはりミナミギンポの幼魚でした。仲間がほしくていっしょにいるのでしょうが、泳ぎ方が全く違うので、かえって目立っています。
この岩の上には、スカシテンジクダイのまだ小さいのが、ベールのように岩をおおっています。透明度が悪いので遠くからは見えず、近くに来て初めてわかってその多さに圧倒されるという劇的効果があります。そして、これを目当てに魚食性の魚もやってきます。おもむろに現れたのはミノカサゴ。でもダイバーに見つかってしまい、逆にカメラに追い回されることになってしまい、ほうほうの体で逃げていきました。

砂地にかなり大きなヒラメがついています。化ける名人で、体の色は砂地にそっくりですが、目と口は隠しようがなく、あっさりと見つかってしまいます。逆に見つけにくいのはコチで、砂に潜っているので真上を通るまで気づかず、突然体の下から飛び出して逃げていきます。でも見つかってないんだから、そのまま砂の中に埋もれていればいいのにと思いますが、やはり自分より大きなものが真上に来ると脅威に感じるのでしょう。

たくさんいたメイチダイは、少し減りました。ただ、小さいのは減ったのですが、大きいサイズのものは逆に増えているようで、何匹か見かけます。まったく違う形なので知らなければ違う種類だと思うかもしれません。ちなみに、どちらかというと小さい方が形が整っていてかっこいいと思います。

珍しいところではウメイロモドキの幼魚らしきものがいます。といっても色ははっきりしていなくて、体はうすい青色で、しっぽのあたりがかすかに黄色がかっているかなあ、といってものです。ナイトダイビングで見るウメイロモドキに近い色です。黄色いモンツキハギと、あちこちにいるキタマクラと友達になっているようです。

カミソリウオはまだまだ健在で、場所も同じところにずっといます。かなり大きな個体が2匹で、形が微妙に違うのでオスとメスでしょう(どっちがどっちだったっけ)。大きさがあるので流れている海藻の切れ端のふりをするのが難しいらしく、カジメの内側に入るように漂っています。カジメの葉を持ち上げて、向きがそろったところで真横から写真に撮りたいのですが、タイミングが難しいです。デジカメだとこれにピント合わせの時間が加わるので、動きを読んでシャッターを押さないとピンぼけになるかフレームからはみ出してしまいます。

カンパチの群れは、一回だけ見かけました。まだ若い群れでしたが、透明度が悪いせいか遊んでくれず、濁り水のかなたに消えてしまいました。たぶん透明度が良ければこっちのはく泡に反応して、何回か回りをまわってくれるのですが、この透明度では残念ながら向こうも気づかないようです。

というわけで、あとは透明度が上がれば申し分ないダイビングになりそうなお盆前半の赤沢でした。


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