8月の赤沢

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色使いがショッキングなオビアナハゼいつ見てもいかついオニカサゴ
背景に同化しているカサゴの子供ムスジコショウダイの幼魚。やっぱりくねくねしています
岩の上にちょこんとのったボウズコウイカ直径1.5mくらいあったゴンズイ玉

さて、お盆休み中盤の赤沢です。
水温は変わらず23〜24度で長く入っていると少し寒いです(特にワンピースのウェットスーツだと)。透明度も良くならず、3〜4mでずっと推移しています。深いほうは良いかと思いきや、やっぱり透明度は良くないそうです。

それでも魚にとってはなんのその、毎日いろいろな表情を見せてくれます。

砂地がヒメジの仲間の幼稚園状態になっています。長さ5cmに満たないような小さいのが、何匹か集まって砂の上にじっとしていたり、ひょいひょいと泳ぎまわったりしています。種類は混成で、いちばん多いのはタカサゴヒメジですが、それに次いでウミヒゴイ、ふつうのヒメジ、ヨメヒメジ、変わったところでは沖縄にもいるオオスジヒメジなどといったところが仲良くそろって泳いでいます。砂地の上をぎりぎりで意外に速く泳ぎまわるので、ついていくのはけっこう大変です。

ハタタテダイ(ムレハタタテダイの可能性が強まってきました)は見に行くたびに増えていて、ついに30匹を突破しました(デジカメ判定)。まだ小さいので怖いのか、中層を漂うことはなく、岩のすぐそばで群れになっています。だからあまり向きはそろっていません。写真に撮ったときは向きがそろっているほうがいいので、ちょっと追いかけてみると向きがそろうのですが、さて撮影となって止まるとまたばらばらの向きになってしまいます。アシスタントが欲しいところです。

ちょっと遠くにあるマツカサ穴(マツカサウオがいるが今は留守がち)の天井に、ちょっと変わった魚がはりついていました。形はアナハゼですが、模様がぼてっとした黒いまだらというか斑点というかになっていて、頭の上はピンク色の魚です。ここは便利なデジカメの出番と撮影し、調べてみるとオビアナハゼでした。図鑑の写真は全部伊豆半島のものなので珍しいものではないのですが、その模様の絵の具をそのまま落としたようなおおざっぱさはちょっと衝撃的でした。

去年はたくさん出たツノダシは、今年は1匹だけです。防波堤の内側の浅いところにぽつねんとしています。年によって増えたり減ったりするのはどういう理由かわかりませんが、今年はあの魚はどうだろう、そういえば去年はああだったと考えたり、思い出したりすることになります。ちなみに今年の当たり魚はメイチダイで、3cmくらいの幼魚から15cmくらいの成魚まで見かけます。でも成魚になるとおでこが出てきて不格好になるので、7、8cmくらいの若魚がいちばん絵になります。ただし正面や真横から撮るのは難しいですが。

そういやミノカサゴもほぼ毎回見かけます。このあたりの海で、たぶん大きいのが2匹、小さいのが3匹いるようです。何もない砂地にいることもありますが、ロープや岩などの目標物のそばにいることも多く、見つけやすさの原因になっています。たいてい砂地に大きなひれをへにゃっとたたんでうずくまっていますが、見つかるとひれを広げて逃げ出します。前にまわりこもうとするたびにぷいっぷいっと横を向いてしまい、正面を向いた写真はなかなか撮れません。

浅場ではヘビギンポの恋の季節がやってきました。いつものしましまから真っ黒に2本ラインに姿を変えたオスが、メスのそばに近づいていったり、他のオスとバトルが始まったりと、静かに、でも熱い行動が見られます。いつもは水面移動で通り過ぎてしまうような浅場ですが、その気で潜ってみるとなかなかにぎやかです。

シマアジの本格的な群れがやってきました。向こうからダイバーに近づいてきて、何回かまわりを回っていってくれます。ただ、透明度が良くないので群れの一部しか見られずに、群れの迫力にかけるのが残念です。本当にこの透明度はどうにかしてほしいのですが「潮が変わらないとだめだね(小林安雅氏談)」で、盆休みの間に回復するかどうかは微妙なところです。

ムレハタタテダイは着実に増えています。割と近いところにある岩のまわりでは30匹を超えました。沖の岩でも16匹ほどいます。他にも3匹や1匹と、細かく分かれています。これをどこか1カ所にまとめたら、さぞかしすごい群れになるだろうけど、捕まえるわけにもいかず、このまま自然に合流するのを待つことになります。

タツノオトシゴが1匹、先週見つけたのですが、まだ同じ岩についています。でもかなり大きな岩なので探すのにけっこう時間がかかります。見つけても海藻とそっくりなので、ふつうに持っているイメージとは違うようです。でも縁起のいい魚なので、これからも探し続けることになるでしょう。写真は・・・・かなり苦しいです。

砂地に黒い雲のようなものが、ぐるぐる回りながら動いています。近づいてみると特大のゴンズイ玉でした。おとなのゴンズイがからみながら、中に入ったり外に出たりをしながら全体がうごめいています。近くで長い間見ていると、酔うかもしれません。

というわけで、透明度は悪いものの楽しみはそこそこの赤沢の海でした。


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