まずは朝一番のボートに乗って、筆ん崎に入ります。ブイに係留して、最初にガイド(マッキー牧野)が入るのを待って、さっさとエントリーして潜降します。後の人がちょっともたついているようなので、フライング気味に2の根の上までじりじりと進み、下をのぞきこんでみると・・・あれ、からっぽだ。そうこうしているうちに全員そろい、進み始めます。2の根から見下ろすYの字の水路は、反対側も含めてからっぽでした。
そのまま水路をさかのぼり、3の根の頭(北側の先っぽ)までいってもいません。ここで牧野さんが根の反対側を偵察に行きます。帰ってくるまでの間、その場で待っているはずなのですが、みんな待てないようでじりじりと前へ出ていきます。お、牧野さんが帰ってきましたが、ギンガメは・・・・・いない!
しかたないので戻りますが、ちょっとだけ反対側をのぞいてみると・・・昨日のハギの群れはいました。
Yの字のところまで戻って、その先の砂地のほうに出てみます。再びのハダカハオコゼなんかを見ながら流していくと、沖のほうにギンガメアジがーーーーーーちょっとだけいました。ちょっとといっても30匹くらいはいるのですが、いかんせんここは筆ん先、ものの数にも入りません。
結局、ギンガメはこれだけでした。これがラストのNさん@長期滞在はちょっとお気の毒でしたが、ギンガメもお別れが辛かったんだよーきっとまた来てねのメッセージだよーと変なフォロー入れたりして。
気を取り直す間もなく次の船が出ます。ギンガメが出なかったおかげで、フィルム交換はいらないのでそのまま行けます。
こんどはさっきとうって変わって港のそばの静かなポイント、「ハンガー」(そういやここも名前の由来を聞いてなかった)に入ります。チェックダイブによく使われるポイントで、粟国の1本目はここだったという人も多いと思いますが、それはそれ。楽しみはどこにでもあるよーと言いつつエントリーすると、おやおや粟国にあるまじき透明度と水の色です。岸に近いので、うねりの影響をかなり受けているようです。
といっても、ここでの売りはどちらかというと小物系なので、透明度はそれほど問題ではありません。共生ハゼが多いとのことで、顔を水底ぎりぎりに近づけて、じわじわと進んでいきます。知らないうちに近づきすぎてハゼを引っこますと恨まれるので、ガイドより先に出ないようにするのが鉄則です。
一発目は、クビアカハゼでした。他で見たことはありますが、こうやってみると、島が違っても周りの環境がそっくりです。サンゴの根がいくつも連なっている間の砂地で、さらさらの砂でなくちょっとガレているようなところがお好みのようです。他にも何匹か見かけたので、そうとう気に入った環境のようです。
次は、ぽこっと1mくらいの根で、クマノミを見ます。「えーっクマノミぃー?!」でも、粟国のクマノミは妙に黒いんです。しかも、クマノミのコロニーなのに、セジロクマノミの子供が1匹混ざっているし、ミツボシクロスズメダイの子供はたくさん同居しているしと、やけに同居人(魚だけど)が多いです。
粟国のクマノミは、心が広いんだろうか。
次はちょっとした穴に潜ります。といってもライトがいるほど長い穴ではありません。この穴の出口のところに岩が重なっているところがあり、その手前の砂がたまっているところがヒレフリサンカクハゼの巣になっています。背びれが長くのびていて、おもしろい形なのですが、体が地味なのでだいぶ損をしています。でもよく見ると背びれをぴんぴん動かすので、意外にはまってしまうかも。
ふと横の壁を見ると、先細りの糸こんにゃくみたいなのが揺れています。これはもしや!とのぞき込むと、当ったり〜のウコンハネガイでした。この貝はいる場所が決まっているので、ガイドに教えてもらうことが多いのですが、今日は自分で見つけたから好きなだけ見ててもいいんだかんに。
おー光ってる光ってる。
いったん穴から出て、少し離れたところでまわって戻ってくると、こんどはヤマブキハゼを見ます。白っぽい体に、山吹色の斑点が散っています。体の色は周りと同じでとけ込んでいるので、斑点で仲間を見分けているんだろうか。この手の共生ハゼって、思いっきり目立つか(ネジリンボウとか)、思いっきりとけ込んでるかのどっちかですね。同じような生態なのに、考えてみると不思議です。
砂地をつたって戻ります。アカハチハゼがけっこういますが、小ぶりです(でもちゃんとペアになっている)。やたらと目立つのがツマジロモンガラの子供で、あちこちにいます。でも恐がり屋さんなので近づくと隠れてしまいます。ただ、隠れるのがちょっとしたくぼみのところなので、全部が入りきらないのがかわいいです。
港に戻って、さあ昼食。宿に戻っている時間がなさそうだったので、弁当にしてもらいました。開けてみると、焼きそばだー。内地の焼きそばとはちょっと違いますが、暑いところで食べると妙に合います。暑い中を宿に戻らなくていいのも気に入ったので、次からは全部弁当にしてもらおう。
のんびりする時間もなく次の船が出ます。今度は「野岩(やがん)」。島の西側にあり、昨日のSAKURAの近くです。筆ん崎を回り込んで(このあたり浅くなっていてけっこうきれい)ポイントにつくと、ブイは打っていないのでアンカーを入れます。サンゴの根がいくつも重なっている地形で溝やら穴やらがたくさんある場所です。
エントリーして、まずは船の前に行き、溝に入ります。上は狭いのですが底は少し広い砂地になっています。ここはタカラガイの殻がよく落ちているそうですが、探すのは後にしてまずは沖側に抜けます。抜けたところは深場に続いています。あ、でかいフグだ。逃げるかと思いきや、そばのくぼみに隠れました。といってもたいしたへこみじゃなく、奥に続く穴もなかったのでまごまごしています。
横に目をやると、ここにもハナゴンベがいます。
次は、ブリーフィングにあったエビ穴です。けっこう長さがあるので、ライトは必需品。先に入ったガイドの望月さんが途中のエビポイントで止まってライトで照らしてくれるのですが、そこにいたのは小さな赤いエビ。2匹いて、ライトの光の中で真っ赤な体が目立ちます。そのそばにはソリハシコモンエビが、こっちは透明な体です。しかし、実はその後ろの岩のすきまには、りっぱなイセエビ(たぶんカノコイセエビ)がひげをゆらゆら振っていたのでした。望月さんは、実は小物のほうが好きなのかもしれない・・・。
穴の中の定番魚、ツバメタナバタウオ・アオギハゼ・クレナイニセスズメの3点セットは健在です。クレナイニセスズメは珍しくもない魚ですが、ライトの光を当てて見るとびっくりするほどきれいな紫色になるので、どうぞお試しを。でもあまりしつこくやると嫌われるのでほどほどに。
ところで、他の島でこんな地形に入ると、アカマツカサの仲間がやたらといるのですが、粟国ではあまり見ないですね。赤いのがいたと思ったら、ホウセキキントキでした。
次の穴の入り口で、天井近くに青いものがちらり、としたので見に行くとやはりスミレヤッコでした。臆病な魚で、外には出てこないし見つかると隠れてしまうことが多いのですが、こいつはちょっと例外でした。いつでも隠れられるようにはしていますが、壁ぞいをひょこひょこしています。
どうしても全身を見たい、という人にはねらいめかもしれません(後でエビ穴にも1匹発見)。
いよいよ4本目。チェックダイブが終わった2本目のメンバー+希望者で、筆ん崎に行きます。というのに望月さんはブリーフィング(毎回船に乗る前にやる)に図鑑を持ってきて、「筆ん崎でマクロをやります」と宣言しました。えーーーーーーーー・・・。
というわけで今回の目玉は、アカホシカニダマシに決まりました。クマノミがついているイソギンチャクの裏によくいるそうです。
あまり期待しないでエントリーし、またたくさん泳がないといけないのかなーと思いつつ2の根を越えると、わっいたっ。ギンガメの群れが戻ってきていました。そのためすべての計画はここでチャラになり、ギンガメウォッチングになります。Yの字の水路の両側に群れているので、真ん中を通って少し前に出ます。
するとイソマグロっ、群れっ、でかいっ、のが通り過ぎるところでした。
少し遠いので、写真に撮ってもどうせ小さいだろうな。でもまた戻ってくるかもしれないので、その場で待ちます。ギンガメからは離れることになってしまうので、ちょっとした賭けです。
水路の先の青いところをじーーっと(あまり水ばかり見ていると平衡感覚をなくすので気をつけよう)みていると、その中に白っぽいつぶつぶが現れました。
見ているうちにつぶつぶは、少し太くなって長くなって・・・・・戻ってきた!マグロですっ。まぐろぉぉぉと叫んで(タンクをたたくのは魚がびびるので禁止)みんなに知らせる義理は果たし、一番前でマグロを待ちます。
ここで動いてしまうとマグロが逃げてしまうのでじっとがまん。マグロの群れ(写真で数えたら16匹いた)はちょうど正面を向いています。マグロが口ぱくぱくやってるのを見るのは初めてです。
なおも近づいてきます。先頭の1匹は2mくらいで、あとは1〜1.5mくらいのが大きささまざまで混ざっています。大きいのはものすごい貫禄で、何がきても止まらないぞっ、と言っているかのよう。いつのまにかコースが変わり、5mくらいのところでかわしていきました。飛行機のように旋回するので、腹がこちらを向きます。うーーん立派。人間でこんな腹だとかっこわるいけど、イソマグロはこれくらい腹がふくらんでないとかっこがつかないから得だよなーってこれは後で考えたのですが。
マグロが出たのでマクロはどうなったかというと、アカホシカニダマシはちゃんと見ました。