1本目、まずは筆ん崎へいきます。昨日イソマグロがいなかったので、どうしても見たい(なんと贅沢な悩みだろう)という人がいたので、ギンガメよりもイソマグロねらいです。スタッフも、台風でいなくなったんじゃないかと気にしています。
手前のブイに船をつけて、エントリー。透明度も良く、うきうきしながら潜降していきます。ひとつ目の根を越えて、次の根を見はるかすと、青い水の向こうに次の根が見えます。ギンガメアジはまだ見えません。弱い流れを横切って次の根に進みます。Yの字の水路に入ってみると、おおっ何もいない。水路の反対側にもいませんでした。どういうこっちゃ。
さらに流れをさかのぼって水路の上手に進んでいきますが、うーんいませんね。仕方がないので目を下に向けると、けっこういろいろなものがいます。ベラの子供が多くて、特にツユベラの幼魚(オレンジと白のやつ)をあちこちで見かけますが、これがみんな大きめです。サンゴがあまりないのでスズメダイの仲間は少ないです。穴の底が砂地になっているところではオドリハゼの巣がありました。本来臆病な魚で、ふつうはすぐに引っ込んでしまうのですが、ここのは穴の上から見ているせいかもしれませんがなかなか大胆で、平気で顔を出しています。ハゼが平気なら共生エビも大胆になるようで、せっせと砂運びをしていました。
といっているうちに水路の終わりまで来てしまいました。そのままブイと反対に、三番目の根を回り込んで行ったところで群れを発見、しかしこれはテングハギモドキでした。たくさんいるので見応えのある群れなのですが、いかんせんここは筆ん崎です。だれにも見向きもしてもらえません。
そのまま通り過ぎて、流れに乗って根をまわっていくと、いたーっ。
やっと見つけたギンガメアジの群れです。それにしても遠かった。
でも遠くまで来たかいのある群れでした。やっぱりたくさんいるなあ。時間が早いせいか、あまり動きはありません。黒くなっている個体も見られず、わりとおとなしく固まっています。それでも分かれたり合流したりとゆっくりながら動いていて、群れの形は常に変わっています。
ふだんは胸びれを体にぴったりつけていますが、急旋回するときはひれを広げて体をひねります。西側から群れに集団で合流するものもいて、群れが大きくなっていきます。
朝の光の中で、でもやっぱり興奮の1本でした。
帰りに岩をなめるように近づくと、ハナダイが岩のそばで動き回っています。どうせキンギョハナダイだろうと思って近づいていくと、ん、ちょっと違う。尾びれの先端が赤くなっていて胴体に1本赤い横じまとくれば、カシワハナダイではありませんか。ということは周りにいるのはメスか子供かのようです。
戻る途中でどこかにいるかなーと思いつつ戻りますが、今日はどういうわけかバラや小集団のギンガメアジは見つかりませんでした。
2本目は気分を変えて、筆ん崎の沖にある4瀬という隠れ根に行きます。ここならマグロが来ているかもしれないというのですが、その分流れもきついらしく入る前からどきどきですが、期待も高まります。
筆ん崎のブイを横目に見ながら、波が立っている隠れ根の横でアンカーを打ちます。流れは、隠れ根の陰になるのであまりなく、そのまま潜降。水底で集合し、根の陰から出たとたんに流れ始めました。透明度は良いのですが、マスクの曇り止めを忘れたのであっという間にかすみがかかってきます。
根には大きなウミウチワ(とかそんなの、黄色っぽいオレンジのやつ)が生えていて、潮通しの良さを感じさせます。その間を流れに逆らって抜けていきます。上を見ると、ナポレオンの大きいのが2匹漂っています。ウミウチワに近づいてみると、いたいた、クダゴンベです。ウミウチワに見事にとけ込んでいて、ちょっと目を離すとあれれどこへいったかなになります。
根をまわって、少しだけ流れに乗ります。この先にもクダゴンベがたくさんいるところがあるのですが、途中で急にストップ。みんなの視線を追っていくと、銀色のでっかいものが動いています。あわててマスクを洗ってクリアすると、おおっイソマグロでした。親分の大きいのが1匹で、あとは小さいといってもくらべて見ればの話で、標準サイズですが、10匹くらいのかたまりで泳いでいくところです。近づいてくれるといいな、と思いながら見ていましたがそうもいかず、やがて遠くの水に溶け込んでいきました。
再び流れに乗って、次の根のところにまたいました、ギンガメアジ。こっちは流れの中で苦労しているのに、平気な顔で群れています。流れがあると揃うっていいますが、そうでもなくて結構動きがあります。潮上から近づいているので、流されて群れにつっこみそうになるところを踏みとどまって、流れに逆らって離れてもう一度。その間にマスクが曇るので洗ってクリアして・・・なんか忙しい。
その間にガイドの望月さんはとっととクダゴンベのほうに行ってしまいました。ギンガメよりクダゴンベのほうがここでは貴重なようです(ちなみにこのポイントは年に10回くらいしか来ないそうな)。えっとクダゴンベは、と。あ、2匹いました。あっさりと見つかりますが、マスククリアの間に1匹消えてしまった。じっくり探せばみつかるでしょうが、それには流れがきついです。
ここからは流れに逆らって最初の隠れ根に戻ります。片手はカメラを持っているので、もう片手で岩をわしわし掴まえながら進んでいきますが、またマスクが曇ってきてクリアしている間に後戻りしたりしているのでなかなか進みません。それでもやっと根を回り込むと、そこにあったのはもう一つの根。下が大きくくびれていて、キノコのような形です。そのえぐれたところにはアカククリがいました。
ここからは流れに乗って、アンカーまで戻ります。一息ついたと思ったらもうアンカーが見えてきました。ハナダイやスズメダイが群れている中に白黒のチョウチョウウオ、ハクテンカタギが1匹ぽつんといます。こいつは日本ではあまり見かけないのですが、そういえば筆ん崎でも見たから、粟国にはけっこういるんだろうか。やっぱりここは他とは少し違うところのようです。
港に帰って休む間もなく、3本目に出発します。今度はSAKURA'95という、島の西側にあるポイント(そういや名前の由来を聞くの忘れてたな)です。筆ん崎をぐるっと回って20分ほどのところで、ブイが打たれています。
沖に向かってのびる根と、そこから岸側にある頭を出した根のあるポイントで、まずは沖側の深いほうに行って流れ者を待ちます。サンゴがたくさんあるところなのですが、死んで白くなっているものも多く、しかもオニヒトデ(今更だけど初めて見た)までいるというのがちょっと残念。
待つほどもなくイソマグロが2匹現れました。根の外側にそってゆっくりと泳いでいきます。いってしまったと思ったらまた戻ってきました。ふつうサイズなので迫力はありませんが流線型の体はいつ見ても魅力的です。
マグロが行ってしまったので、ちょっと降りて壁に何がいるか見ようとしてびっくりぎょうてん!!ハナゴンベがいっぱいいるではないかっ。ハナダイのなかまのくせにゴンベと呼ばれてしまっている変なやつですが、たしかに丸っこい体型は他のハナダイ類とは違います(でも、ゴンベには見えないんだけど)。いる場所が限られていて、しかもすぐに隠れてしまうのですが、ここにはいっぱいいて、しかも堂々と表に出てきています。全国のハナゴンベファンの皆さん(いるんかいな)、粟国はねらいめですぜ。
他にここで目立つのは、ヤッコの仲間です。ヒレナガヤッコ、タテジマヤッコ、ヤイトヤッコがやたらといます。オスとメスの模様が違うので、もっとたくさん種類を見たような気分になれます。
浅いほうの水面に頭を出している根のほうに移動して、サラシを見に行きます。ここは他ではあまり見ないスズメダイがたくさんいます。シマスズメダイとイソズズメダイはサラシの近くを出入りしているし、その手前の壁にはハクセンスズメダイやイワサキスズメダイがついています。下を見るとセグロスズメダイのこどもがちょろちょろしていたりと、スズメダイマニア(いるんかいな)なら2時間くらい遊んでいられます。
不思議なことに、こういうサラシによくいるゴマニザがぜんぜんいなくて、代わりにニジハギがサラシを出入りしていました。
帰ってくるともう6時。でも夏のことで、まだまだ明るいです。丸三民宿は食事の時間にあまりうるさくないので、ゆっくり器材を片づけていても大丈夫。夕焼け空に向かって宿に帰りました。