8 月11日
天塩川温泉〜美深〜名寄
−−− 道の駅「びふか」まで −−−
午前4時45分起床。ほぼ日の出と同時刻である。テントのチャックを開け外を見ると一面に霧が立ち込めている。このままだと今日は楽なのだが・・・・。昼間は出来るだけ曇ってほしいと願うのだが。
『さぁて,今日はどこまで行こうかな、美深,名寄、士別までか?』と地図を見ながら自問する。
『いや,その前に朝食にしよう。』、すぐに考えが変わり、行動する順番にものごとを考えるようになる。メニューは昨夜と全く同じ。米をコッフェルに入れ炊事場に砥ぎに行く。そして、コーンスープ。しかし、これが実に美味いのである。
霧に抱かれた天塩川畔の緑濃きキャンプ場。炊事場までの芝はしっとりと露が降りていて歩くと足跡がつく。もちろん靴はびしょびしょに濡れる。草原を歩いて足跡がつくくらい露の降りたところを歩くのなんて何年振りだろう。そんな中での朝飯である。不味いはずがない。
ゆっくりしながら荷物を整理したりしているうちに、6時半となる。少し霧が晴れてきた。ヤバイ、今日も暑くなりそうである。これはまずいと、早速、撤収にかかる。しかし,テントは露でまだびっしょりと濡れている。
『えーい、面倒くさい,このまま畳んでしまえ!!』
と全くテントの処理をしないままたたんでしまった。寝袋もマットもかなり水分を含んだままである。荷物を持って下の駐車場にいく。自転車に荷物を積みこむ。そして、午前7時20分出発。
最初は若干の下りの中を気持ち良く天塩川に架かる橋を渡る。まだ、朝霧の名残が川面に残っていて遠くあるいは近くに薄い霧がかかって深山幽谷の風情がある。
橋を渡り切ると同時に登りにかかる。しかしここはまだ楽である。別にスピードを出す必要もないのでゆっくり登っていき、右に折れるとJR天塩川温泉駅。無人駅である。
ここは宗谷本線の駅のひとつである。単線の駅のホームに上がると時刻表が待合小屋の中に張ってある。ここに止まる電車は・・・と見ると、上り・下りともに日に5本。さすがに自動車道が良いわけだ。
ここでは写真を4枚撮った。左の写真は、電車が来ないことを確認の上線路に降りて、というよりも踏み切りがすぐに線路となっているので踏み切りから撮った1枚である。
天塩川温泉駅に別れを告げ、今度は本格的な登りにかかる。これは国道40号までの我慢である。天気は抜群に良いのだが、朝の風が冷たくて快い。日の光の強さに対抗できる涼しさである。しばらく登り続けたところで大きく開けた場所に出る。国道まではもう少しである。
左手を見ると一面に蕎麦畑が広がりその向うに木が並んで立っている。『おぉ〜、北海道!』と思い,ここでも写真を1枚撮ってしまった。
そう言えば,昨日,音威子府に着くころから道のあちこちに「蕎麦」とか「手打ち」とかの看板が目立っていたのだが,ここら辺は、蕎麦の産地なのだ。昨日も蕎麦畑は見ていたがそれほど大きくもなかったのであまり気にならなかったが、これだけ広大なものを見せ付けられると『やっぱり,北の大地で育てた蕎麦を食べるしかないかなぁ』などと思いながら、再び自転車を進める。
考えてみると、蕎麦の産地の長野の高原地帯は標高も高く気候も冷涼である。一方、ここは冷涼な気候に加え1日の温度の高低差が大きい。ここの蕎麦はかなり美味いのではないかと思う。
長野県は
「信州は月と仏とおらが蕎麦」
というコピーで売っている。
ここだって
「道北は星と自然と熊と蕎麦」
と言うコピーで宣伝をしたら結構いい線いくのかなぁ、なんてことを考えながら気がつくと、もう40号に入っている。
アップダウンのある道を1時間も走ると、道の駅「びふか」に到着。かなり足に疲れがきている。上り坂がきついのだ。自転車からは降りたものの歩く気力がない。原因は食事かな、と思い,ここで少し栄養をつけることにする。ところがまだ8時45分である。残念ながら食堂は開いていない。入り口の看板は10時開店となっている。駅の道の入り口のところで焼きトウキビの準備をしている。早速焼きあがる時間を聞いてみると、あと20分以上かかるという。
やむを得ず、売店に入ると入り口に一番近いところでコロッケを揚げていて、とても美味しそうな香りがする。早速コロッケを買う。ジャガイモとヤサイとジャガカボチャの3種類である。揚げたてのアツアツを紙袋に入れてくれる。これと店の奥で買った「羊乳」が栄養補給用の食事である。
道の駅の売店前に設置されている白いテーブルと椅子にたどり着き、ここで食べる。
揚げたてのコロッケほど美味いものはない。最初にジャガイモコロッケを食べる。そして,羊乳をゴクリ。コロッケのジャガイモの甘さに羊乳のやや酸味の効いた味の取り合わせがたまらない。
野菜コロッケ、ジャガカボチャコロッケと食べつづけた後、再び羊乳を飲む。この濃さだと,手で振ればバターが出来るのではないかと思うほどである。酸味があるのでこれはそのままでバターやチーズにしても最高である。もしかしたら,牛乳よりもこくがあって美味いのかもしれない。
食事を済ませて、再び売店の中をうろついていると,左側に郵便局の出張所がある。先ずここで風景印をもらい、次に郵パックの取扱いの有無を聞く。取扱っているというので、ここで少し楽をしようと思い,持っていた荷物の中で使わないGパンと綿のTシャツ、それに帰りには必要のない自転車のエンド金具などを自宅に送ることとした。荷物の軽量化を計ったのである。
次に、今日は絶対にホテルに泊まるとの強い決意から、電話帳を借りて、名寄市内と士別市内のホテルを何軒かピックアップして携帯電話に登録する。ここから名寄までは距離としては30km程度である。すぐにでも行ける距離なのだが、足に疲れ来ている。こういうときは休むに限る。休む余裕があるということが中年力というものである。士別のホテルの電話番号は万が一、名寄で泊まれない場合の保険である。
先ず最初に「グランドホテル 藤花」に電話を入れる。空いている。すぐに予約をし、現在地を言ってから、「自転車で行くので午後2時ころまでにつくのだが,入れるのか」と確認すると、OKだという。これは嬉しい。後はゆっくりである。結局、道の駅「びふか」を出たのは,午前10時過ぎ。
−−− 名 寄 −−−
しかし暑い。今日も十分30度を越えている。美深大橋を渡ると10km近い直線道路である。汗が滅茶苦茶に流れる。額から流れる汗が目に入って痛い。これは日焼け止めクリームのためでもある。自転車のハンドルに巻きつけたタオルもかなり汗が染み込んできている。やっと直線道路が終わり左に大きく曲がると、今度は約4kmの直線。
しかし、ここはあまり登り坂がないので楽である。
智恵文のところのAコープで自転車を降りる。水分補給である。自動販売機を頼っての停車である。しかし,自転車を止めると暑さがなん倍にもなる。風が殆どないのだ。走っているときは、自転車の出している速さの分だけ風があるのだが,止まると風がない、それだけに暑さが増すわけである。
ここで水(お茶)を補給、水筒にも冷たいお茶をいれて出発である。出発前に汗を良くふいて、再度日焼け止めクリームを塗ってからの出発である。
午後1時に名寄の市街に入る。場所がわからないのでタクシー会社で道を確認する。運転手さんの一人が丁寧に道を教えてくれた。道が分かれば、ということで、途中でラーメンを食べる。これは今日の昼食である。
頼んだのは野菜醤油ラーメンだったし、おやじさんが「はい!野菜醤油ラーメン」と言って出てきたまでは野菜醤油ラーメンだったが、「野菜とはもやしのことと見つけたり」という感じで、はっきり言えば「もやしラーメン」である。こんなにもやしがあると麺に箸がとどくまでに、麺が伸びてしまう。今日は珍しく「汁」を残してしまった。
そして、ホテルには午後1時40分到着。フロントで手続きを済ませ、サイドバッグ二つを持って部屋に入る。
『おー、クーラーが効いている。』
このときほど幸せを感じる瞬間はない。クーラーの調整ツマミを見ると「Lo」となっているので、これを「Hi」にあわせる。風の強さを確認してシャワーに。
超熱いシャワーを十分に浴び、頭からつま先まで完全に汗を流す。日焼けが痛いなんてことは言っていられない。体中すっきりして、クーラーのビシッと効いた部屋に戻る。缶ビールをプシューと開けて、殆ど一気に飲む。汗がスゥッーと退いていく。ここでしばらく休息。
3時にフロントに電話をしてクリーニングの上がりの時間を確認した。ところが今日はお休みでやっていないという。その代わり、近くのコインランドリーを紹介してくれるという。早速、フロントに行くと歩いて5分程度のところにある。その足でコインランドリに行き約40分ほどで終了。再びホテルに戻りクーラーの良く効いた部屋へ。これで明日は、すっきりして走れる。
夕食は午後6時にホテル1階の和食処「福鶴亭」にいく。これはどうもチェーン店のようである。部屋でホテルの案内を見ていたら、「生ビール2杯、おつまみ5品 1000円」のサービス券が目に入り、『ビール2杯とは豪気な!!』などと思いながら、『おつまみ5品も侮れない』と確信を強め、5時にはここに来ることを決定してしまっていた。
店に入り入り口際のチョット隠れたところに座ったのだが、ここもクーラーが効いていて気持ちがいい。また、従業員の態度もきびきびとし、礼儀正しい。従業員の教育が実にしっかりと行き届いている。サービス券を出してビールをお願いすると冷たーく冷えた中ジョッキーが出てきた。先ず、これは一気である。
『うっ! しっしまった。まだおつまみが出ていない。』
これはみっともない。しかしすぐにおつまみ5品が来て一安心。おつまみを持ってきたときに2杯目のビールをお願いする。
おつまみは、
@ホッキの卵とじ:これは卵とじにする前にホッキ貝を軽く燻煙してある。わずかだが桜のチップの香りがする。最初の一口目のときにこれが生きる。
Aシシャモのフライ:まぁ、こんな感じかな!
B鮭の粕漬け:鮭自体は生に近い。この粕漬けにイクラが散らしてある。全体はやや甘い仕上げであるのだが、美味しい。これはビールではなく辛口の日本酒にぴったりの味である。
Cニシンの卯の花漬け:これは好きな料理のひとつである。美味しい味でこの味は北海道である。
Dマカロニサラダ:大好きで美味いのだが、おつまみとしては余分だった。
結局ビール2杯で終わるわけがなく、おつまみ5品で我慢できるわけがない。
追加で男山酒造の夏向きの酒「COOL」2本。おつまみは、鮭の粕漬けを御代り、あと帆立の空揚げと刺身の盛り合わせを追加してしまった。
満腹になって部屋に戻り,あとは、就寝。
[本日の走行距離:48.8Km、合計200.3Km]
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