いしまる君の菊花賞観戦記

世の中気合いである。気合いがあれば何とかなる事というのは非常に多い。普段からそう考える私であるが、今回ばかりはちょっと気合いが入りすぎていたようだ。「前日追い」とか言いつつ、昨日から淀入りし、当然の様に最終レースまで観戦した後、夜の街へと繰り出した。それで結局、昨日は家に帰り着く事ができず、サウナで一泊する羽目になった。今思えば、これが全ての始まりであったのだ、今日の悪夢の...。
サウナで、オヤジどもの喧騒に目を覚ましたのが8時半ごろ。今頃、高柳さんは寒い中、座席確保のため体を張って頑張っているだろうと思うと、心苦しくないこともない。しかし、今日の私はちょっと違った。そんな事はすぐに忘れて、コンビニに入り朝食とスポーツ新聞を買い、電車に飛び乗る。新聞を読んでいると、あっという間に淀に着いた。この時点で9時50分である。昨日、高柳さんに「できるだけ早く行きますので、頑張って下さい」と言って別れた事を思い出した。高柳御大、本当にごめんなさい。

駅から競馬場へと歩く途中、携帯電話が鳴る。
  石丸:「もしもし。」
  谷川:「あ、いしまるさん? たにがわですけど。」
早いなぁ。取り敢えず、高柳さんを捜すよう伝える。そして私は走った。責任感にかられて、つい足が動いた訳でも何でもなく、1レースが見たかっただけ、ただそれだけである。...が、見れなかった。ちょっと動揺しつつも、所定の場所へと急ぐ。高柳さんを見つけた。なんだか機嫌が悪そうである。まるで、秋天でスーパークリークに負けた時のオグリキャップのようだ。やはり、もっと早く来るべきであった。
  石丸:「おはようございます。遅くなって、すいません。」
  高柳:「ど〜も。いらっしゃい。」
  石丸:「えっと、たにがわさんは?」
と言うと、高柳さんの後ろに女連れで座っていた、ガラの悪そうなお兄サンがサングラス越しにキッと私の方を睨んだ。ま、まさか、この「怖い人」がたにがわさんなのかぁ???
高柳さんは、一瞬ニヤッとした後、すかさず後ろを向いて、「たにがわさんです」と、その「怖い人」を私に紹介した。や、やっぱり〜ぃ。(^^;;; あぁ、大丈夫だろうか、何かされないだろうか、と不安が募る。
  谷川:「『人相悪い』って言っておけば良かったですね」
全く、その通りである。(^^; しかし、たにがわさんはメールを読む限り「いいひと」なので、大丈夫だろうと楽観もしていたのだが。
そして、私が後ろを気にしながらも2レースの予想をしていると、今回の紅二点(のつもりが、結局紅三点になったが)である、田崎・柴田両女史の登場である。実はお二人とは、前日にもお会いしていたのであるが、その経緯には日没先生が絡んで来てややこしい話になる。これはオフレコであろう。

さて、つつがなく(はなかったが...)2レースも終了した時点で、関東より来襲の日没先生、有芝さん、かとうさん、戸谷さん、えちごさん、なかむらさん、そして当時はまだダービー卿でしかなかった久賀さんが、どしどしとやって来た。幹事としては、紹介が大変である。(^^; おや、何故か日没先生が指定席入場券を持っている。いつの間に入手されたんだろう??? ...と、ここで恐ろしい事実が発覚した。

実は、高柳さんは日本中央競馬会の回し者だったのである。2レースは、皆さん御存じの通り20万馬券の出た、恐ろしいレースだったのであるが、このレース、サイン派の人には1点で取れる馬券であった。日没先生が、やって来るなり「レープロ見て、『シェイプアップガールズ来るらしいなぁ、そしたらエレガンスステージかも』って言ってたんだけどなぁ」とおっしゃった。これが2着馬。その後を継いで、私が「高柳さんのメールの書き出しの中に『コバ徹夜』ってありましたよね。あれもサインだったのでは?」と、これが1着馬オンワードフラッグである。しかも、高柳さんがきっちりと『コバ徹夜』の複勝を買ってらっしゃったのが、ますます怪しい。(^^;;;
そして、4レースの新馬戦にも触れなければなるまい。私の予想では、高橋亮キュンティアが本命、対抗は武豊ホッコーアンバーだったのであるが、一応グリグリの本命、四位ダイイチレーサーにも印を打つ。さて、レースでは私の本命対抗が抜けだして、そこにダイイチレーサーが襲いかかる。ここで、それまでクールにキメていた日没・有芝両氏が声を荒げる。
  日没:「四位、差せ!差せ!」
  有芝:「ダイイチ、ダイイチ!」
私が、横で小声で「差さんでええ、差さんでええ」って言ってたのはバレてないのだろうか? 後で聞いた話では、お二人はダイイチから1・2着馬に買っていたとの事。特に日没先生は、結構な額を購入されたようで、絵に描いたようなタテ目を食らったご様子。それでも、晴れやかな笑顔が消えないのは、さすが。これは人徳の賜物であろう。また一つ感心したものである。
そんなこんなで午前中は過ぎ去り、正午近くとなる。1回目の集合を正午にシンザン像前としたのである。風貌が一番特徴的である私が目印であり、その特徴は先に皆さんには伝えてある。誰かいるかなぁ〜? どきどき、どきどき。

シンザン像前に着いた。誰も来ていないのか? と思っていると...。あれ? 戸谷さんがやって来たゾ。そして、しばらく戸谷さんと話していると、おおたさん、原田さん、品濃さん、よしながさん、大須賀さん、と次々に声をかけて頂けた。戸谷さん、どうもありがとうございました。しかし、正午待ち合わせは失敗だった。5レースの発走時刻と重なってしまい、レースが見れなかった。残念。

6レースは、今日最初の特別戦である「かえで賞」。当然、予想にも気合いが入る。しかし、こういう気合いは、おおむね空振りに終わるもので、地方馬スバルマドンナに本命を打ったまでは良かったが、相手にスイングボーイまでピックアップできず、轟沈。しかし、レース自体は、スバルマドンナが鞍上の安部騎手の「風車ムチ」に応え完勝。良いレースだった。
  日没:「風車ムチ、凄かった」
  石丸:「まさか、淀でアスムッセンが見れるとは思いませんでしたね」
ここで、話が終われば良かったのだが、さすが一筋縄では行かない連中。「風車ムチといえば、桑島やろ」とか言ってみたり、おおたさんから東海のジョッキーの話を聞きだそうとしたり、会話はどんどんディープになっていった...。
  日没:「風車って英語で何でした? windなんとか、って言うの?」
  石丸:「wind〜でしたっけ? あ、そういえば、windmillでは?」
全く以て、意味の無い会話である。ここからMill Reefの話へとなだれ込む展開にならなかったのが不思議といえば不思議だが...。ちなみに、この直後、畑中さんが現れた。カッコいい人だ。

7レースは「逢坂山特別」。関西在住でない方は、レース名だけ聞くと「何故、おおさかやま特別が京都で?」と思われるかもしれないが、逢坂山は実は「おうさかやま」で、京都と滋賀の県境にある山の事である。4レースの事もあるので、今度はグリグリでも四位タマモプロモーターに本命を打つ私。ちなみに、ヒモは小島貞博ウララファミリー、柴田善臣ダイワゴウシュウである。で、結果は1着ダイワ、2着ウララ。今度は私がタテ目を食らう番となったが、横でガッツポーズをしている人がいる。に、日没先生! お取りになられたんですかぁ??? う〜む。笑顔のままで、さっきの恨みを晴らされてしまった。しかも万馬券で...。 (^^;;;

2度目の集合は午後2時であり、もう一度シンザン像の前へ行く。すると、また戸谷さんがやって来た。返す返すも、ありがとうございます。で、最後の一人、樋口さんが私を発見してくれた。皆さんに紹介する。
  石丸:「こちらがIKの方です」
  樋口:「いや、別にIKの方っていう訳ではないんですが...」
席に帰ってみると、日没先生がいない。多分、指定席の方へ行ってしまわれたのだろう。馬券を買うのに並ぶのが嫌になったのであろうか?

続いて8レース「天王山特別」。「も一度、四位クンや!」と言う訳で、本命の印を四位ゴールデンチェリーに打つ。ここまでは良かったのだが、大穴狙いに走り過ぎたようだ、あろう事か対抗を幸英明ターボインパルスに打ってしまった。そして、前走の強さをこの目で見てしまった原田聖二テンパイが3番手の評価。テンパイが出負けして、ハナを切れなかった時点で波乱の予感はしたが、それにしてもサウンドカスケードとは。春の阪神でトシマキバオーと同じレースに出ていて話題になった(?)馬であるが...。いわゆる「しいたけ馬券」でこれだけ荒れたというのは、あまり記憶にない。ちなみに、ダービー卿・久賀氏もターボインパルスを買っていたようで、この辺りから既に、ダバイ卿(*1)への昇華が始まっていたようである。(^^;;;

あれれ? ふと周りを見ると、今度は、おおたさんがいないや。...どうやら、よだ君に頼まれた「ノーザンウェーの写真」を撮りに行ったようだ。「いいひと」だなぁ、おおたさん。あの混雑の中、ご苦労様でした。

9レース「清水ステークス」。このレース、実は全然記憶にない。多分真剣に見ていなかったのであろう。私の本命はカネトシシェーバーであったのだが、さすがは田原である。(^^; しかし、スカメール(*2)が惨敗した事だけは確認した。この馬が勝ってくれていたら、もうすこし盛り上がっていただろうが、まぁ仕方ない。

さて、メインの菊花賞。勝ったのはマチカネフクキタルであるが、高柳さんが客観的(?)に評価して18頭中12番目だそうで、今回は血統派(*3)の人が多かったこともあり、おそらく、あのメンバー内での人気もその位であったろう。ちなみに、かくいう私もトウジントルネード・ルールファスト・ニケスピリット・サードサンスリル・ノーザンウェー・シャコーテスコあたりと共に、最初に切った馬である。で、私の本命はトキオエクセレント。吉田豊の好騎乗(?)で4着だったが、内を突いていれば、何着だったかは分からない。菊花賞のゴールシーンというのは、今回のオフミの中で唯一と言っても過言ではない、とても静かな時間で、「サンデーサイレンスもブライアンズタイムも駄目だったのに、『静かな時間』とは?」と自問自答する結果となった。しかし、このレースから得たものは多く、中でも、えちご・日没両氏と私の3人で、「京都のBold Rulerライン」理論(*3)を完成させたのは、大きな成果であったと思う。

最終は500万条件の平場戦。とりたてて書く事のないレースだったが、白と赤の帽子が1・2着である事を確認し、「あぁ、1−3か。堅いなぁ」と思ったら、実は馬連が1ー4だったのには、ちょっと驚いた。しかし、今日は荒れた一日であった。1レースと5レースを除くと、一番安い馬連配当が菊花賞の3970円であり、私はその2つの堅いレースを見ていないので、なおさらそう思う。

残るは、「冬の散歩道」ならぬ「(懐が)冬の帰り道」であるが、これは強烈だった。どうやら11万人もの入場者があったようで、帰りの切符を買うだけで一苦労。関東ではこんな混雑することあるのかなぁ? 後から聞いた話では、ダバイ卿久賀氏はこの時間を利用して宝くじ屋のスピードくじを買ったらしいが...。見上げた根性である。(^^;;; とにかく、電車で押し潰されつつも、2次会へと向かう。

-*-**-*- Remarks for Terminologies -*-**-*-

(*1)ダバイ卿
MLで岡山@プータローさんが使われる「駄乗」が良い言葉なので、そこから日没先生が産み落とされた造語。その日(とその前日)はダービー卿久賀氏の馬券の調子が奮わなかった故、「駄買」の王様の称号を授かる事と相成った。

(*2)スカメール
MLではおなじみだが、高柳さんのPO馬スカーレットメールの事。父トニービン、母スカーレットブーケの良血馬で、彼が4号族であるこの馬を取ったという事は、おそらく字面の血統が最高なのだろう。...でもエアグルーヴは取らなかったらしい。(^^)

(*3)血統派
日没先生は競馬通信のライター、高柳さんは言わずと知れたファミリーナンバー研究家、えちごさんはHyperion至上主義者、樋口さんはIKの研究会の元会員。そして私は、偽血統論者である。

(*4)「京都のBold Rulerライン」理論
これは、Bold Ruler愛好家の私が、「今の京都の馬場の真ん中ら辺って、砂煙上げながら伸びてくるBold Ruler系の馬が、パワー全開できそうやなぁ」と呟いた事から生まれた理論で、菊花賞でロイヤルスキーを母父に持つダイワオーシュウがココを通って2着に来た事によって、早くもその日の内に理論の完成を見た次第である。