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ミリン




作り方




 焼酎か約四○%の醸造用アルコールのなかに、米麹と蒸したもち米を交互に加えて混合 し、約二○℃で二〜三カ月熟成した後、圧搾・濾過する。

その間に麹菌の作用でゆっくり とでんぷんの糖化が進み、甘味と複雑な香り、味が作り出される。

アルコール発酵によら ずに製造した混成酒である。

これが本ミリンで、アルコール約一四%と糖分四○〜五○% 前後、ほかにエキス分、有機酸などを含み、調味料に用いる。これにアルコール分二二% 程度まで原料アルコールを加えたものが本直しである。




種類・特性






甘味料と旨味料の役割




 清酒と並ぶミリンは、強い甘味ととともに複雑な旨みを持つ。

砂糖が普及しなかったこ ろ、日本料理に不可欠な調味料だった。

アルコールの作用のほか、甘昧の呈昧成分である 糖分ば、同時に粘性とつやを与える。

糖とアミノ酸のアミノ・カルボニル反応による色と 香りもミリンの特徴である。

それぞれの成分は料理の色や光沢(つやと照り)、香りを作 り出している。

また濃い糖分やアルコールは料理の粘り、固さ、弾力などの物理性を支配 している。




基本的料理と使い方のコツ






本ミリンを調味料に




 ミリンはその味の強さからも、そのまま飲用するためには作られていない。

江戸時代前 半にミリンが発明されたころは、アルコールもエキス分も薄く、飲用されたというが、元 禄のころからエキス分の濃いミリンになり、もっぱら調味料になった。

 ミリンを直接飲むのは、正月に飲む屠蘇を口当たりの良いミリンに入れて新年を祝うと きぐらいである。

ただしアルコール濃度を高めた本直しは、もっぱら飲用にする。




味つけには煮切り




 ミリンのアルコールは、調理では動物性食品の保水力を高めるなどいろいろの働きをす るが、料理によっては強いアルコールの作用を排除したいこともある。

そこで煮切りとい う煮沸処理でアルコールを揮発させ、残った甘味と風味を利用する。

つや煮、炒め煮、甘 辛煮などのほか、丼ものにもミリンは不可欠である。




ミリン入りのたれは濃く色づく




 酒、ミリン、砂糖、醤油などを合せて作る照り焼きのたれは、糖分やアミノ酸が多量に 含まれ、加熱すると両者が結合して特有の色と香りを持つメラノイジンという褐色物質が できる。

これはアミノ・カルボニル反応と呼ばれて、焼き魚に限らず、糖分やたんぱく質 を含むいろいろな食べ物に起こる反応である。

 ミリンを使った料理が濃く色づくのは、このアミノ・カルボニル反応によるものである 。

褐色物質のメラノイジンは、特有の香りも持っているので、かば焼きや照り焼きのよい 香りもこの反応によるところが大きい。




照り焼きのたれは仕上げの段階で




 たれが焦げてしまっては風味を損なう。

魚がちょうどよく焼けたとき、この反応が適度 に起こっていることが望ましい。

またたれをかける目的は味つけだけではなく、照り焼き という名の通り、表面に適度の粘り、光沢(照り、つや)を与えることにもある。

焼いた 魚の表面が乾燥してしまうのを避けるためにも、仕上げの段階でかけるほうがよい。






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