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砂糖






作り方





 さとうきび(甘庶)、甜菜(ビート)など、しょ糖を含む原料の汁を濃縮・精製して純 度の高い結晶にして製造する。

産地で原料を細かく切り、圧搾した汁に石灰乳を加えて中和し、加熱して不純物を凝固さ せて除き、濾過した上澄みを濃縮してできた結晶を含蜜糖といい、しょ糖以外の挟雑物や 結晶母液を含む。

ここから母液を分離して乾燥させた粗製の糖を粗糖という。

粗糖は分蜜糖で、分離された 母液が糖蜜である。

 この粗糖がわが国に輸入され、石灰乳などで不純物を除き、これを繰り返して純度一○ ○%に近い精製糖まで、さまざまな段階の製品がある。

また現地で白糖の状態にまで精製 するものを耕地白糖という。

ビートを原料とする甜菜糖はその代表である。





種類・特性






砂糖の種類





含蜜糖の代表は黒砂糖で、しょ糖含有量は約八○%前後と低く、カルシウム、鉄、ナトリ ウムなど不純物が多い。

 分蜜糖は粗糖を原料として精製糖にする。

精製糖はその後の精製状態で、ざらめ糖、く るま糖、液糖、加工糖に分かれる。

それぞれ純度、結晶型、結晶の大きさなどが異なり、 用途によって使い分ける。

通常の砂糖の大部分は、精製糖のくるま糖に属する白糖、ざら め糖に属するグラニュー糖などである。




砂糖の特微




 調味料であると同時に速効性のエネルギー源となる栄養素でもあり、菓子類では本体を 構成する原料ともなる。

 しょ糖は水溶性で甘味が強く、しかも安定で温度により甘味が変わることもない。

また 原料の甘庶、甜菜(ビート)が、そのままでは食べられない食品であることも、かえって 抽出精製品が調味料として利用されやすい理由でもある。




いろいろな砂糖




くるま糖


 精製の度合いによって上白糖、中白糖、三温糖がある。そのうち半ば以上は上白糖で、 これが一般に使われる普通の白砂糖である。

粒の細かい結晶(0.1〜0.2mm)で、精製の仕上げに少量のブドウ糖・果糖の混合 液を加え、しっとりした柔らかさとこくのある味を持たせている。

ソフトシュガ−とも呼 ばれ、料理、菓子、飲料など用途は広い。

 中白糖、三温糖と順に不純物による赤みを増し、三温糖は赤砂糖とも呼ばれる。




ざらめ糖


 純度が高い大粒の結晶(1〜3mm)で、精製度合いによって白双糖と中双糖、それに やや結晶の細かいグラニュー糖(0.2〜0.7mm)の三種がある。くるま糖と違って しょ糖以外何も添加されていないので、結晶がサラサラと固くハードシュガーとも呼ばれ る。

甘味も純粋でグラニュー糖は卓上の飲みもの用、白双糖(白ざら)は高級ケーキなどに適 している。

日本料理では高級な和菓子の小豆あんなどによい。




加工糖


 おもにグラニュー糖を角型に固めた角砂糖、一度溶かして大きい塊にした氷砂糖、粉末 にして少量のでんぷんを加えた粉砂糖、多孔質の顆粒にしたフロストシュガーなどがあり 、それぞれの用途に用いられる。




その他の砂糖


ビートから産地で精製まで行なう耕地白糖、日本古来の独特な製法で作り、特殊な高級和 菓子に使う和三盆、日本独自の合蜜糖である黒砂糖などがあり、それぞれ独自の用途があ る。




基礎的料理と使い方のコツ






砂糖の使い方




砂糖にも甘味を提供するほかに、いろいろな調理上の役割がある。

 このため味つけの適量(水溶液で五〜八%)を超えて使われることが多く、水ようかん でも二○〜三O%、煮豆、練りようかんでは五○〜六○%もの砂糖が含まれている。い  塩味や酸味と違って、甘味はかなり濃い味の刺激でも味覚的には受入れるので、取り過 ぎになりやすく、エネルギー過剰(体脂肪の蓄積・肥満)、虫歯、糖尿病、ビタミン欠乏 などを招きがちなので注意が必要である。




砂糖は初めに入れる




 煮ものの砂糖や塩は拡散という現象で材料にしみ込むが、拡散速度は分子量が小さいほ ど速い。

食塩の分子量は五八.五、砂糖は分子量三四二で食塩の六倍近い。

だから砂糖と 塩を比べると、塩のほうが材料にしみ込む速度がずっと速い。

 砂糖はでんぷんやたんぱく質など食品の成分を柔らかくするのに対し、塩は一般に固く 引き締める作用がある。

塩を先に加えると速くしみ込んで材料を引き締め、後の砂糖の浸 入を妨げる。

砂糖と塩を同時に加えても塩のほうが先に吸収されて結果は同じである。

だ からまず砂糖を入れてよく吸収させ、その後で必要量だけ塩や醤油を加えるのである。




卵焼きを軽く仕上げる砂糖




 卵料理はほとんどすべてといっていいくらい「うまく熱凝圃させること」がポイントに なる。卵焼きはその代表である。

しょ糖は水に溶けやすく、とくに一○○℃近くでは、一 ○○gの水に五○○g近くが溶け込むことができる。

 卵を加熱するとたんぱく質は熱凝固する。

卵焼きに塩を入れると変性が促進され、凝固 物は固くなる。

逆に砂糖はたんぱく質の分子と結びついて分子同士の結合力を弱め、水の 働きを抑えて熱変性を遅らせ、凝固物を柔らかくする。

卵焼きに砂糖を加えると軽くふわりと固まるのはそのためである。




栗の甘露煮や黒豆は砂糖を分けて加える




 甘露煮や煮豆は、材料と同量近くかそれ以上の砂糖が入っている。

これだけの砂糖を一 度に加えると、砂糖が周囲の水と急速に結びつくため、栗や豆から水分が引き出される。

いったんそうなると材料の組織は引き締まり、砂糖の溶けた汁はなかなか材料のほうへ戻 らない。

したがって栗は固くなって煮くずれしやすく豆にはしわがよってしまう。

 砂糖を分けて加えると、汁の砂糖濃度が少しずつ上昇していくので、材料からの急速な 脱水は起こらず、汁の成分と材料の成分とはゆっくり交代していく。

どうしても一度に加 えたいときは加熱前の汁に砂糖を入れてひと晩置く。

温度が低ければ成分の交代は遅く、 加熱前の組織はくずれにくいので、煮くずれやしわも起こりにくい。




砂糖が入ったようかんや、あんが乾燥しない




 ようかんには約五○〜六○%、小豆あんには約二○〜三○%の砂糖が入っている。

この 砂糖は当然ようかんやあんの中の水分をとらえて離さない。

これが乾燥しにくい理由であ る。

水分を保持する力を保水力という。砂糖はようかんや、あんの中のでんぷんの保水力 を高める。

 でんぷんは水と共に加熱されると糊化が起こり、分子のすき間に水が入り込んで消化の よい状態になっているが、糊化でんぷんを水のある状態でそのまま放置すると、糊化前の 生でんぷんの状態に戻ろうとする(でんぷんの老化という)。

大量の砂糖があると、水の 働きが奪われて乾燥と同じ結果になり、この老化が起こりにくい。

これもようかんや、あんが乾いてしまわない一つの理由である。




梅酒を作るとき氷砂糖




 梅酒は青梅に焼酎と氷砂糖を加えて作る。溶けやすい粉末の砂糖を使うとすぐに濃度が 上がり、甘露煮や煮豆に白い砂糖を一度に加えたときと同じ理由で梅にしわがより、しぼ んで梅の香りや味も十分に引き出せない。

氷砂糖を使うと入れた直後は塊の状態で、何日 もかかってゆっくりと焼酎に溶けていくので、何回にも分けて加えたのと同じ結果になり 、味の複雑な風味のよい梅酒になる。




ワサビは砂糖を少しつけておろす




 ワサビをなるべく細かくすりおろした後、少量の白砂糖とともに包丁で叩くと、砂糖が ワサビの組織の水分に溶解して砂糖液の状態になり、おろしたワサビの細胞から、浸透圧 によって残った水分を吸い出そうとする。

その結果、配糖体シニグリンに対する酵素作用 がいっそう盛んになり、辛味がよく出る。

同時に組織から引き出された香りも高まる。









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