身体に効く栄養成分・食材・調理方法
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味噌
作り方
味噌は蒸した大豆に米麹、または大麦麹と食塩を混ぜ合せて仕込み、緩やかに発酵・熟成
させて作る。
大豆たんぱく質が麹かびの酵素で加水分解され、ペブチドやアミノ酸に変化
して旨みが出る。
また酵母や乳酸菌の作用で、米や大麦のでんぷんから生じた糖類、有機
酸、アルコールなどが、複雑な味や香りを生み出す。味噌も醤油と同様に、塩味料である
と同時に旨味料でもある。
気候風土や生活習慣、嗜好の違いにより、発酵条件も地域ごとに異なるので、各地に土
地の名を冠したさまざまな味噌が作られている。
味噌汁は古来日常食に欠かせない副食で
あると同時に、日本人の重要なたんぱく質源でもあった。
味噌汁のほか、吸着作用で鍋も
のや煮ものの魚臭を消すのにも用いる。
種類・特性
味噌の種類
味噌にはまず大豆が不可欠で、ほかにでんぷん質の原料として米または麦のどちらかが
使われる。
一部の地域には豆だけの味噌もある。
そこでまず原料により米味噌、麦味噌、豆味噌の三
種があり、次に味噌の色の濃さにより、白味噌、赤味噌(その中間の淡色味噌)に分けら
れる。
味噌の色は大豆と麹の比率と熟成期間によって決まり、大豆が多く熟成が長いほど色が
濃い。
逆に大豆に対して米麹の多いほど(麹歩合という)、また熟成期間の短いほど、味
噌の色は白く、味は甘い。
わずか一週間そこそこの熟成で作る京都の白味噌(西京味噌)
がその代表である。
逆に大豆だけで作る味噌は色が黒く、旨みが強い。
味噌の特徴
醤油と違ってたんぱく質分子の大部分が、分解されてアミノ酸になる途中の、ペプチドと
いう状態に止まっている。ペブチドはアミノ酸に比べて分子量が大きいコロイド粒子の状
態になっていて、いろいろな物質を吸着する作用がある。また酸やアルカリが加わっても
、液の性質が変わりにくい緩衝作用がある。連用しても飽きない味を持ち、日常的な味噌
汁に用いるほか、たんぱく質の給源兼調味料として利用範囲が広い。
いろいろな味噌
米味噌
味噌全体の八○%を占めるもっとも普通の味噌である。
このなかを表にもあるように、
色で赤と白、味で甘口、辛口などに分ける。
地域的には辛味噌の範囲がもっとも広く、米
味噌の七五%を占める。
普通の料理にはそれぞれの用途にあまり細かく使い分けるより、むしろ適当に混ぜ合せて
多様な味を楽しむほうがよい。
麦味噌
九州独特の味噌で、麦の風味と濃厚な味が特色である。
薩摩汁、からしれんこんなど九
州の料理に用いられている。
豆味噌
愛知、岐阜、三重の東海三県で作られ利用される典型的な地域食品である。
濃い赤褐色
で味も香りも濃厚である。
八丁味噌はその代表で、熟成期間は数年にわたる。
基礎的料理と使い方のコツ
味噌汁は合せ味噌
味噌は発酵によって作られるので、でき上がりの味や香りは、初めの材料配合が同じで
も必ずしも一定ではなく、昔は地域やそれぞれの家に独特の味噌が作られていた。
人々は
生まれ育ったときから自分が味わってきた味噌の味を好み、これが手前味噌の言葉の元に
なった。
しかし味噌汁のように味噌そのものを味わう汁ものは、いつも同じ単一な味噌の味を味
わうだけでなく、数種類を合せて使うと多様な味を楽しむことができる。
味噌煮は赤味噌を
白味噌は素材の持ち味を生かしたり、味噌そのものを味わう料理に用いられる。
味噌煮
のように味つけと同時に、臭み消しや有害物質の吸着まで期待される料理(例えばサバの
味噌煮)では、十分に熟成が進みコロイド性の物質を多く含む赤味噌を用いるほうがよい
。
臭気の少ない白身魚、たとえぱサワラには白味噌が合う。
サバはアレルギーを起こしやすく、昔は中毒しやすい魚だつた。
その魚臭を抑え、有害物質を吸着し、風味を高めてくれる味噌の存在は貴重だったといえ
る。
味噌汁の香り
味噌は味が濃厚なため、だしも日常的な煮干しでよい。
その代わり味噌の味や香りを生
かすためには、加熱の仕方に注意が必要である。
味噌汁を長く加熱すると粘性が低下し、
しっとりした舌ざわりが損なわれる。
またよい香りを失い、香りのよくないアルデヒド類
が増加する。
さらに糖とアミノ酸がアミノカルボニル反応を起こして結合し、一部のアミ
ノ酸の旨みが減ってしまう。
このため味噌は最後に加え、入れた後は煮立てない。
具に下
味をつけておくと、味噌の味が具になじむまでの時間を短縮できる。
味噌は少なめに入れる
味噌汁に味噌を入れ過ぎたとき、水や湯で薄めると、だしの味ばかりでなく、味噌の風
味も薄まってしまう。
必ず控えめに入れ、味を見て、もし薄ければ味噌を追加するほうが
よい。
また味噌を長く煮すぎたり、汁を温め直したりすると、香りがなくなり味噌の粒子
はざらついて舌ざわりもよくない。
余分に作らず、なるべく一回の人数分の汁を用意し、
食卓に出す直前に味噌を入れて温め、沸騰直前に火を止めて香りのよい状態で食卓に出す。
味噌汁のだしは濃い目に
味噌汁はすまし汁のように具が中心ではなく、味噌が主役になる。
味噌の濃い味と釣り合うように、だしはかつお節、煮干しなどで濃い目にとる。
長い加熱
が必要な具は、味噌を入れる前に煮てからその汁で味噌を溶いて入れご豆腐のように温め
ればよい具は、味噌を入れた直後に入れて、煮立つ直前に火を止める。
臭み消しの味噌は二度に分ける
煮ものに使う味噌は、味噌汁と違って素材の引き立て役である。
したがって味噌を使った煮ものは、味の浸透のためにも、匂いを取るためにも、加熱の初
めに加えておく必要がある。
しかしせっかく使う味噌の香りも失いたくない。
そこで豚汁
、鯉こくのように味噌で長く煮る汁ものや、肉や魚の煮込み料理は、初めに半分量の味噌
を入れ、ゆっくりと加熱して材料が十分に煮えたところで残りの半量を加え、香りが失わ
れないうちに火を止める。
サバの味噌煮なども初めに味噌を加えて材料を煮含め、仕上げ
に酒やミリンで風味を出す。
あくの強い野草と味噌
味噌は調味料の中では味が濃く、香りも複雑なので、持ち味の淡白な豆腐やサトイモな
どの味つけには最適で、味噌をぬって串に刺し、さっとあぶった物が田楽である。
味噌に
はあくや香りの強い野草などを入れると、濃い味噌味によく合う。
木の芽やユズを味噌に
合せたり、フキノトウをつぶして混ぜたりする。