身体に効く栄養成分・食材・調理方法
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食塩
作り方
塩の原料は地中の岩塩がもっとも多く、次いで海水、三番目に塩湖や塩泉の濃い塩水と
続くが、日本国内には岩塩も塩湖もなく塩の原料は海水だけである。
海水塩は昔から塩田で海水を乾燥させて作っていたが、昭和四十六年に廃止され、昭和
四十七年からは天日に代わるイオン交換膜法という方法で海水を濃縮して食塩濃度を高め
、それを煮詰めて結晶させるようになった。
塩田法もイオン交換膜法も、海水を濃縮するところまでが異なるだけで、あとの結晶化
は同じである。
濃縮液中の不純物はイオン交換膜法のほうが少なく、純度の高い塩を製造
しやすい。しかしその分、昔ながらの素朴な味を失ったという声も大きい。
種類・特性
塩の品質規格
生産・流通を政府が管理する専売制は廃止の方向に向かっているが、現在は表のような
規格があり、それぞれ純度や用途が異なっている。
食卓塩から特級精製塩までは原塩の再溶解・再製加工品、食塩から並塩ま
でがイオン交換膜法による濃縮・煮詰め品、粉砕塩が原塩の加工品である。
食卓塩とニュークッキングソルトは卓上用、二五kg入りの塩はだいたい業務用と味噌
、醤油、漬けものなど工業用、特級精製塩はバターなど高級な加工食品用で、あとはさま
ざまな調理に使い分ける。
表の専売塩以外に一部販売特例塩という日本たぱこ産業を経由しないで売られるもの、
さらに待殊用塩という専売塩を再製・加工したものがある。
旨味料を加えたもの、コショ
ウの入ったもの、にがり成分を混合して自然の塩に近い味を出そうとするものなど、いろ
いろな製品がある。
いろいろな塩
食塩・並塩
海水からとった普通の塩で並塩は純度が九五%、それを精製した食塩は九九%以上、多
少の水分やにがり成分を含み、料理用、漬けもの用などいろいろな用途がある。
漬けもの
、焼き魚などには素朴な並塩の方がよいといわれる。
特級精製塩・精製塩
原塩(海水からとる輸入天日塩)を再溶解し再製・加工したもの。
成分そのものは食塩・並塩と変わらないが、九九・八%以上と純度は高く、粒度(粒の大
きさ)は細かい。
素朴な食塩の味より純粋な塩味そのものだけを求める調理や加工食品に
用いる。
とくに特級精製塩は、なめらかさが品質のカギになるマヨネーズ、バター専用で
ある。
食卓塩
精製塩に卓上で湿気を帯びるのを防ぐように、塩基性炭酸マグネシウムを加えてある。
サラサラしているが、調理に使うとすまし汁が濁ったりする。
塩化ナトリウムの純度は高
く、その分にがり成分が少ないので味には食塩のようなこくは乏しい。
キッチンソルト・クッキングソルト
食卓塩と同系列の、塩基性炭酸マグネシウムを加えた製品で、やはり吸湿性を防ぎなが
ら食卓塩よりは厨房でも使いやすいよう、純度を高く、粒度を細かく、クッキングソルト
では塩基性炭酸マグネシウム量も減らし、包装単位も大きくしてある。
漬けもの塩
食塩の純度は低く、にがり成分が多い。
漬けものの味の成分でもあるリンゴ酸、クエン
酸を加えてあり、普通の食塩より漬けものの味をよくすることが期待できる。
基礎的調理と使い方のコツ
塩の特微
食品を動物性・植物性に分けるとそのどちらにも入らない、いわば唯一の鉱物性の食品
である。
あらゆる料理の味を作る基礎的な調味料で、甘味、酸味など他の味をつける料理
にも塩味は欠かせない。
栄養的にも味の上でも他の物質で代用できないが、それでいて味
の主役を務めるより、むしろ脇役あるいは陰の力として不可欠な存在であることが多い。
味つけの適量は、口に入るときの濃度が0.8〜1.0%ぐらいだが、味つけ以外に表2
のようにいろいろな調理上の働きがあるので、味つけの適量を超えて使うことが多く、そ
れが食習慣となって過剰摂取を招きがちである。
使用濃度
調味料の適量は人体の体液の濃さとほぼ同程度が良いといわれる。
これは口の中で約0
.8〜1.0%前後になるような濃度である。
食べ物には梅干しや塩辛のように食塩が2
0〜30%も含まれるものがあるが、ご飯に添えて食べるといわば口の中で希釈された形
になる。
表3のようにそのままの姿で口に運ぶ料理は1%前後、煮ものの汁のようにその
まま飲むのではなく、具と合せて食べるものは二%と、いずれも口に入る最終濃度が約1
%になるように味つけする。
塩味を濃くつけ過ぎると、薄めても直りにくいし、湯や水で薄めるとだしの味まで薄く
なるので、まず控えめにつけて、味をみてから調節することが大切である。
かくし塩
調味料の味は単独で口に運ぶことはまずない。
塩味だけの焼き魚でも魚の旨みと塩の味
の複合である。
二種以上の異なる味を同時に味わったとき、一方または両方の味が強くな
る現象を味の対比効果という。
スイカに塩をつけると甘くなるのは、甘味と塩味の対比効
果の例である。
塩は甘味や旨みを強める対比効果があり、お汁粉などに塩味を感じない程
度に加えると、甘味を引き立て全体の味を引き締める。
これがかくし塩である。
二杯酢、三杯酢をはじめ、いろいろな合せ調味料は塩を主体とする対比効果を目的とする。
塩の添加時期
野菜やイモなどを煮るとき、塩分は後から加える。
よくいわれる「さしすせそ」の順で
ある。
塩を先に加えると水分を引き出して組織を引き締め、後から加えた旨みが入り込み
にくい。
また、塩と砂糖を一緒に加えても塩のほうが先にしみ込んでいく。ただしこれは
味をじっくり材料内部まで含ませたい煮ものの場合で、すっかり柔らかくなったところで
まず砂糖を入れ、しみ込んでから塩や醤油を加える。
ふり塩
キュウリに塩をふると水が出てくる。
生野菜の組織は水を自由に通すが、塩や砂糖など
水以外の分子はなかなか通過できない。
野菜に塩をふるか(ふり塩)、または、濃い食塩
水に漬ける(立塩)と、水が細胞の外へ引き出され、野菜はしおれてくる。酢のもののキ
ュウリやサンドイッチのレタスはあらかじめ塩をふって、水を引き出しておく。和えもの
に早くから和え衣をかけると脱水が起こるのも同じ理由からである。
変色防止
リンゴ、モモ、レンコン、ゴボウなど、いろいろな果物や野菜の皮をむいたり切ったり
して放っておくと切り口が褐色になる。
しかしむいたあと食塩水に漬けておくと色が変わ
らない。
これは褐変が空気中の酸素と植物中の酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)
によって起こるためである。
切った野菜をすぐ水に放つと、酸素を一時的に遮断して褐変
を抑える。
また食塩は酸化酵素の作用を抑えるので、リンゴなどは食塩水に浸すと褐変も防ぎ、味も
良い。
熱変性促進
食塩はたんぱく質の熱凝固を促進する。
焼き魚の塩は並塩のほうが良いといわれる。
並
塩は食塩(塩化ナトリウム)純度九五%以上、つまり精製塩にはない天然のにがり成分を
、4〜5%分多く含んでいる。
純粋な塩化ナトリウムの塩味に微量のマグネシウムなどの
味が加わると味の対比効果などが起こって、魚の風味もより複雑になることが期待できる。
魚の姿焼きはひれに塩を
姿焼きの魚は化粧塩といってひれの部分に塩をつける。
ひれは表面に突出して直火にさ
らされるので、五○○〜六○○℃に強く熱され、すぐに焦げる。
これを防ぐために塩をま
ぶす一種の防壁である。
塩は魚体から水分を引き出して、魚臭を除き、焼いたとき、早く
表面を凝固させて内部の旨みを保護する。
塩はご30分〜1時間前にふるが、皮が厚く脂
肪層の多い魚は多少早めに、その逆の場合は直前に塩をふるのがよい。
白身魚は早く塩を
ふると締まり過ぎて固くなるので必ず直前にふる。