身体に効く栄養成分・食材・調理方法
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肉の素材と料理法は肉料理の原点。







◎多用される子牛肉や子羊肉






日本の肉料理は米国や中国の影響を受けながら、独特の調理方法を発達させてきました。

肉は軟らかくて脂身の多いものが好まれ、全体としては肉の脂を逃がさない料理法に特徴 があるといえましょう。

霜降りの牛肉を使ったスキヤキ(肉から落ちた脂を野菜が吸う) 、豚のロースカツ(肉の脂を衣をつけることで逃がさない)などはその典型です。

この肉 の脂の成分は飽和脂肪酸が多く、一価不飽和脂肪酸は適当量含みますが、多価不飽和脂肪 酸はわずかに含まれるにすぎません。

またコレステロールの含有量も多いために脂身の多 い肉をとりすぎると、肥満や動脈硬化を助長することにつながります。

一方、イタリアで の肉料理についてみると、われわれ日本人が学ぶべき点が多いことに気づかされます。

イ タリアの肉料埋には、仔牛肉や仔羊肉といった若い肉がよく使われます。

この若い肉とは どのようなものなのでしょうか。




牛肉はイタリアでは法律に基づいて次のように分類され ています。




●ヴィテロ(vitello 雌vitella)……雌雄の区別なく、門歯が生えそろ った230キログラム未満の仔牛。

●ヴイテロー・ネ(vitellone)・・・・雌雄の区別なく、乳歯が生えそろった 230キログラム以上の成牛になりきらない若牛。
ただし、雌の場合は妊娠、出産の経験 がないもの。

●マンヅォ(manzo)…去勢された3〜4歳の雄牛で、永久歯が6本生えそろった牛 。
雌牛の場合は永久歯が4本生え、出産経験もなく、妊娠6力月未満の牛。

●ブエ(bue)……マンヅォ以上に育った大きさで、5〜6歳で、永久歯が8本以上生 えそろった去勢雄牛。




・こうした厳密な分類の中で仔牛肉とは、一般的にヴィテロ、ヴィレ ローネを指しています。

ヴィテロは白みがかったバラ色の肉で、新鮮な牛乳のようにいい 香りを持っています。

南イタリアでいろいろな料理に利用される仔牛肉は、脂肪分が少な くて味もあっさりとしています。

日本で珍重される脂肪分の多い霜降り肉を使うような料 理は存在しません。

そこで仔牛、成牛の和牛、成牛の輸入牛それぞれのリブロース脂身な し肉(Ribloin separalbe lean)を例に、100グラム当たりの エネルギー量と成分を比較してみました。

それによると、和牛は脂質が22.6グラムを 占め、289キロカロリーであるのに対し、仔牛は脂質がわずか3.6グラムでエネルギ ー量も118キロカロリーとかなり低いことがわかります。





◎動物性脂肪の摂取を少なくする自然の工夫




南イタリアではマンヅォなどの成を使う場合、網焼きにして食べています。

生肉を網焼き すると脂肪分を減少させることができるのです。

タンパク質の量は変化しませんが、脂肪 は熱によって下に落ち、100グラムで255キロカロリーある肉が220キロカロリー まで減るというデータがでています。

本書では仔牛を使った料理として低脂肪牛肉料理を 紹介しました。

この料理では仔牛自体が低脂肪なので、油脂を加えて料埋してもカロリー はさほど気にならないのです。

仔牛の他に仔羊や鶏肉も使いますが、仔羊料埋は脂肪分か ら発する羊独特の臭いをとるために、本書で紹介した、仔羊のローストのようにオーブン で長時間焼いたり、網焼きにして脂肪を落とす調埋法が、広く行われています。

仔牛は脂 肪を十分に落としてこそ、肉本来に味が伝わってくるのです。

鶏肉を使う時にも、鶏肉の オーブン料埋などのように、皮をはがしてその下の脂肪をとってから料埋しています。

南 イタリア料埋には、動物性脂肪の摂取を減少させる工夫が自然に凝らされているわけなの です。

日本ではこれまで仔羊、仔牛の肉はなかなか手に入りませんでした。最近になって アメリカ、オーストラリア、ニ一ュージーランドなどから盛んに輸入されるようになりま した。

霜降りの牛肉よりはるかに安い値段で肉本来の味を楽しめますから、ご家庭でも大 いに料理されてみてはいかがでしょうか。








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