身体に効く栄養成分・食材・調理方法
Welcome
Welcome
筋肉が健康を支配している。
人間は誰しも40歳の前後で、一週間くらい体調が今までと違うことを感じるものである
。
これは基礎代謝が急降下し始めたという生理的な変化を感じていると思ってよい。
しか
し、まだ基礎代謝は高めなので、この頃に少々食べすぎて太っても、一週間くらい努力す
れば元の体重に容易に戻れる。
そして人間はもう一度、50歳の頃に、自分の体の調子が
変わったのではないかと感じるものである。
50歳前後になって食べすぎて太ると、いく
ら努力しても体重が元に戻らない事態を迎える。
自分の体は、復元力を失って老化の坂を
一気に下り始めたのではないかと、大いにショックを受ける。
その頃、基礎代謝はすでに
かなり抵下しているため、食べ過ぎて体に沈着してしまった脂肪は、いくら努力しても融
け去らず、そのまま根雪となって定着してしまう。
あとは、その上に脂肪がバウムクーへ
ンのように層状に重なっていき、中年肥満が成立することになる。
そのために、世の女ど
もは(失礼!)45歳頃まではタイトスカートでびしっと引き締めて生きてゆく努力をす
るが、45歳をすぎる頃になると〃努力してもムダッ!〃とあきらめて、ついに伸縮自在
のゴムバンド入りスカートにはき替えて一気にだらしなくなり、間もなく女まで捨ててし
まう(ふたたび、失礼!)。
その屈辱はすべて、基礎代謝の抵下によるものである。
基礎
代謝は体温生産のための代謝なので、これが低いと24時間にわたってエネルギー消費が
小さくなる。
夜8時間の睡眠中のエネルギー消費の90%は、体温維持のための基礎代謝
で占められている。
日中も8時間は、TVを見たり、食事をしたり、新聞を読んだり、談
笑したり、会議をしたり、事務をとったり、電車で座って居眠りをしたり、自動車を運転
したりする安静下で生活する。
その安静下でのエネルギー代謝の80%前後も、体温維持
のための基礎代謝でエネルギーが消費される。
睡眠と安静生活は一日の24時間前後を占
めるが、この全体の安静代謝によるエネルギー消費は、一日の総エネルギー消費の70%
前後に及ぶ。
その80〜90%が基礎代謝で占められている。
したがって基礎代謝が低い
と、一日のエネルギー消費量が小さくなってしまう。
さて、あと残された8時間が立って
いたり、歩いたり、階段の上り下りなど、活動のエネルギー代謝で占められている。
その
量は一日の総エネルギー消費の20%前後と小さい。
そして、歩行や上り下りのエネルギ
ー消費も50%前後は基礎代謝で占められているので、基礎代謝が低いと活動によるエネ
ルギー消費も小さくなってしまう。
もう一つ、一日のエネルギー消費の残り約10%を占
める食事誘発性エネルギー代謝がある。
これは食事をとると体温生産が活発化し、エネル
ギーの一部が熱に転換して放散される現象である。
一種のエネルギーのムダ遣いであるが
、基礎代謝が低くなると同じ食事を食べても、食後の体温生産と放散が小さくしか出ない
。
そのために摂取エネルギーが効率よく体内に蓄積することになってしまう。
その基礎代
謝の低下を防ぐには、筋肉の増量と活性化に努めることが大切である。
それは安静状態下
で筋肉が体内最大(35〜40%)のエネルギー消費をする組織であるためである。
すな
わち、筋肉は体温生産に最も大きな役割を果たしているのである。
筋肉は、さらに加えて
ニつの重要な役割を果たしている。
それは、血中を流れる脂肪とぶどう糖のいずれをも、
その70%前後を筋肉が取り込んで分解するという仕事である。
まず、脂肪の分解に果た
す筋肉の役割の大きさを認識させる事実として、
子どものときから筋肉を失っていく筋萎
縮症の人たちの健康状態がある。
筋肉を失うために血中の脂肪を十分に分解できずに慢性
高脂血症となる。
その脂肪は脂肪組織に貯蔵されて体脂肪となり、体重の50%前後も占
めるようになって肥満をもたらす。
また、動脈壁への脂質の沈着が進むため、心臓の冠動
脈硬化が進む。
結果として、20歳代の若い年代で肥満して心不全で命を落としてしまう
。
人間は、筋肉を失うと脂肪の処理能力を著しく低下させて、肥満と動脈硬化を進めるこ
とになることが、よくわかる。
次に血中のぶどう糖の分解に筋肉が果たす役割が大きいこ
とについてであるが、50歳代になると、筋肉が滅量し代謝活性を落としてしまう。
その
結果おじさんやおばさんたちの3人に1人は、高血糖だ、糖尿病だ、境界域にある糖尿病
予備群だなどと、定期検診で指摘され、慌ててしまう。
このことも、筋肉が血中ぶどう糖
の処理に最も重要な役割を担っていることを示すものである。
したがって、筋肉を、脂肪
とぶどう糖を分解する体内最大の内臓だと認識することが大切である。
そして、このよう
な筋肉の仕事は、運動中ではなく、安静状態の筋肉で行われていることを理解することが
きわめて大事である。
なぜなら、多くの人は24時間のうち約8時間を睡眠で過ごし、残
り16時間中の8時間前後を、座るなどの安静状態で過ごしている。
そして残り8時間の
活動時間にあっても、せいぜい歩くことと階段の上り下りなど、3〜4時間筋肉を便うに
すぎない。
このように、血中ぶどう糖や脂肪の大部分は、安静下に筋肉で分解されている
のである。
しかし、血中のぶどう糖や脂肪を分解するために、一生懸命に筋肉を動かして
運動をしなければならないと考える必要はない。
むしろ、寝ながらでもぶどう糖や脂肪を
活発に分解してくれる筋肉を保持することが必要なのだと考えるべきなのである。
もし、
運動をどんどんしなければ、ぶどう糖も脂肪も分解されないとしたら、運動をしないのが
一般的な生き方になっている大部分の人間は、肥満して糖尿病になって冠動脈硬化による
心疾患で死ななければならないことになる。
まだ、毎日1時間も2時間も運動しなければ
ならないとしたら、貴重な人生が運動のためにムダになってしまう。
そういう必要はない
。
筋肉の量を減らさぬようにし、筋肉の代謝活性を高く維侍するように努力すればよいの
である。
その一つの方法としてダンベル体操が役に立つ。ダンベル体操は一日10〜15
分の時間をムダにするだけで、誰にでも、どこででもできる体操であるが、筋肉の増量と
活性化に確実に役立つ。
さて、改めて筋肉が健康づくりに果たす役割について、整理して
みることにしよう。
中年になると、肥満、糖尿病、動脈硬化、高血圧、心臓病などの成人
病が発生しやすくなる。
その基本的な原因は、筋肉の減量とエネルギー代謝活性の低下に
ある。
筋肉が減弱化すると、基礎代謝が抵下し、具体的にはぶどう糖と脂肪の分解が悪く
なる。
ぶどう糖の分解がうまくいかなくなった場合、体は必ずしも大変な事態を迎えるこ
とにはなりにくい。
なぜなら、ぶどう糖は分解されるほかに、グリコーゲンになったり、
アミノ酸に変化してタンパク質になったり、脂肪酸に変化して脂肪になったり、糖尿をお
こして尿に捨てられるなど、5つもの系統で処分されるからである。
しかし、脂肪の分解
が悪くなると、脂肪は体内の2カ所、脂肪組織と動脈壁に沈着して、体を不健康にする。
脂肪は他の物質に転換されない物質であり、尿への排泄系もないためである。
脂肪が脂肪
組織に蓄積すると肥満をもたらし、動脈壁に沈着すると動脈硬化を進める。
肥満すると糖
尿病が起きやすくなり、動脈硬化が進めば高血圧、心臓病が起きやすくなる。
これはすべ
て、筋肉の減弱化を主因としておこるのである。
だから、ダンベル体操で筋肉を増量し活
性化することが、健康づくりに役立つのである。