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介護に疲れはてる・・・

介護殺人、老人虐待の悲劇








〃だれに託しますか、超高齢社会の介護〃

と題する新聞の連載記事があった。

61歳の妻 が脳内出血で倒れ、植物人間と化した。

2年余りの入院。

その間、66歳の夫は朝8時か ら夕方6時まで付き添って介護した。

病院から「病状が安定した」と通告され、自宅に戻 した。

長男の妻が午前5時から午後1時半まで、その後午前0時半まで夫が介護するとい う生活が3ヶ月に及んだ。

3時間おきにオムツを替え、流動食を1時間かけて食べさせる 。

一日2回マッサージする。

床ずれしないよう3時間おきに体の向きを変える……。

自宅 での介護は間断なく、だんだん疲れた。

特別養護老人ホームに申し込んだが、約20人が 入所待ちをしていた。

夫は、自分も糖尿病を患っているため、インシュリン注射をしなが ら介護に努めた。

そして、検査で膵臓に影が見つかり、入院して精密検査が必要な状態に あった。

もし、ガンだったら……。

絶望的になった夫は、検査入院を翌日に控えて市長あ てに手紙を書いた。

「たいへん面倒なことと思いますが、一言書き残していきます・・・ 」遺書である。

妻が3ヶ月前に退院を申し渡されて、自宅に帰って家族で看病を始めたが 、日夜にわたる激務で、自分のみか嫁まで心身ともにくたくたに疲れてしまった。

身体の 各部も苦しさと痛さで自由にならず、明日にも共倒れの状態となっている。

関係施設に申 し込みをしているが、この2ヶ月何の通知も来ない。

自分たちのような立場の人間がたく さんいるはず。

福祉に十分な心置きを願いたい。

こんなことで死にたくはない……。

この市長あての手紙を書き残したあと、夫は妻の首にひもをかけて静かに絞め、自分も除 草剤を飲んで、首を切った。

しかし、夫は死に切れなかった。

これは実話である。

病気で 倒れる、寝たきりになる、それは高齢になると襲ってくる問題だが、それを看病したり介 護する夫・妻も、病気を持った高齢の身であることが多い。

寝たきり者にも介護者にも、 何の明るい未来が見えないとき、心も体も疲れ切った介護者がフッと考えること・・・介 護殺人。

〃妻も私も共倒れです〃と題したこの新間記事を、他人事として読み過ごすこと はできない(毎日新聞、1996年3月18日)。




介護殺人とまではいかずとも、介護疲 れが原因する要介護者と介護者の間に発生する悲劇に、家庭内虐待がある。

高齢者の膚待 を調査した東京都医療社会事業協会の報告に、その悲惨な実態が示されている。

47件の 虐待例が分析されている。

虐待を受けた高輪者は女性38人、男性9人。

年齢は、70歳 以上が44名で、そのうち21名が80歳以上、最高齢は96歳(女性)であった。

80 %の高齢者が介助を必要としており、病名は脳梗塞が最も多く、痴呆症、パーキンソン病 が続いている。

被害者の80%は、親族と同居していた。




虐待者は、

同居の息子(15 人)、

息子の妻(10人)、

娘(8人)、

夫(7人)となっており、

息子の暴力が目立つ。




虐待の中身は次のようなものである。

@身体的虐待(殴る、つねる)

A介護拒否・放置(オムツを替えない、食事を与えない、外に追い出す)

B経済的膚待(年金を渡さない)

C心理的虐待(暴言や皮肉を言う)



トイレを汚すから公園のトイレを使うようにと言われ、猛暑の中、公園で倒れてしまった 父親。

入浴中、息子の妻(嫁)に浴槽に突き倒され、おぼれかかった姑。

娘に熱湯をかけ られた老母。

虐待の内容は多様である。

高齢者が家庭内で虐待される原因としては、




@介護疲れ(24%)

A嫁姑関係(15%)

B独身の息子のアルコール依存症による暴力(1 1%)

C人間関係の不和(9%)などがある。




介護疲れから息子の妻や娘が世話を放棄す る例が多い。

息子の暴力も目立つが、介護を押し付けている嫁さんに愚痴を言われ、負い 目からカッとなるためらしい。

女性だけに介護をまかせず、男性も積極的に介護に参加す べきだ、という指摘もある。






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