萬福寺の普茶料理  場所の地図

 黄檗山萬福寺でいただいた普茶料理についてのいただいた解説書の内容です。
 普茶料理は、黄檗宗の開祖隠元禅師が中国から伝えた精進料理です。「普茶」とは「普く衆に茶を供する」という意味を示すところから生まれた言葉です。中国文化の香りがし日本の山野に生まれた自然の産物を調理し、すべての衆が佛恩に応え報いるための料理です。席に上下の隔たりなく一卓に四人が座して和気藹藹のうちに料理を残さず食するのが普茶の作法です。 禅宗では「五観の偈(ごかんのげ)」という食事の前に唱えられる偈文があり、食事をいただく事も修行のうちのひとつです。その事を踏まえ、素朴・幽遠な禅味のある三百数十年の伝統と風味をご賞味ください。
 和食の会席料理のように、順番に出される料理の名前が決まっており、全体の献立を、菜単(ツァイタン)いいます。
 私たちがいただいた料理は、次の順番で出ました。
 ①笋羹(シュンカン・野菜煮合)-旬の野菜や乾物の煮物などを大皿に盛り合わせた一皿で、普茶料理の中の華ともいえます。
 ②麻腐(マフ・胡麻豆腐)-ごま豆腐の元祖ともいうべき洗練された逸品です。ゴマの旨味と香りが口の中に広がります。
 ③寿免(スメ・唐揚げ汁)-清湯(チンタン)ともいわれる澄まし汁。具に唐揚げが入っていてなんとも珍しい一品ですが、淡味で非常にあっさりしています。
 ④雲片(ウンペン・野菜葛懸)-調理の際に残ったへたなども余すことなく、細かく刻んで葛でとじ、雲に見立てています。普茶料理の代表的な料理です。
 ⑤油茲(ユジ・味付天麩羅)-一見てんぷらのようですが、素材や衣自体に味がついており、唐揚げに近い料理。梅干しや饅頭などの変わり食材もあります。
 ⑥飯子(御飯物)
 ⑦醃菜(エンツアイ・香の物)
 ⑧果菜(クワツアイ・果物)

笋羹・麻腐 雲片 油茲
醃菜 飯子・寿免 果菜
≪令和7(2025)年10月6日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【令和7年10月8日(水):第5207号】