現代文学大系㊿-長與善郎・野上彌生子集-

 文学全集の50冊目は、共に大正から昭和時代に活躍した長與善郎・野上彌生子集です。
 長與善郎は白樺派の一人で、代表作の「青銅の基督」は、歴史的な題材、「竹沢先生と云う人」は、人生観や自然観をおおいに展開している内容でした。
 100歳近くまで生きた野上彌生子の作品は、長編の「真知子」と短編の「明月」です。「真知子」は、昭和初期のマルキシズムの嵐の中で、自分なりの生き方を見つけようと模索する主人公が描かれています。「明月」は、母の危篤から死にいたるまでの経緯が描かれています。共に2作品のみの収録でしたので、他の作品も読みたいと感じる選集でした。


釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【令和6年8月31日(土):第4849号】