浜松市西区・龍雲寺 地獄極楽図@ 場所の地図
浜松市西区にある龍雲寺【第3899号】は、金沢翔子の代表作である「世界一大きい般若心経」が奉納されている寺院でした。
この寺院には、地獄極楽図の16巻の掛け軸が展示されていました。撮影、ネット掲載フリーとのことでしたので、掲載することにしました。
全体の説明が次のようにされていました。
〈作者〉宗庵 1784年 複製
私たちの心は文字通りころころと転がりずめに転がります。その転がり先の一つが「地獄」です。十世紀の天台宗の学僧、源信の著『往生要集』によると、地獄は大地の底深くにあります。
しかし、地獄を地下に限定する必要はないし、生前とか死後とかに制約するのも無意味でしょう。あるかないか不明な世界ではなく、私たちの悪い行いを端的に示しているのが地獄の世界です。よって【地獄絵図】は作り話どころか、ノンフィクションの私たちの実体です。
描かれている鬼の形相をご覧なさい。私たちの醜悪な怒りの面相そのままではありませんか。血縁につながるもの同士が争い、殺傷に報いる殺傷するのを”血で血を洗う”といいます。これが、地獄絵に「血の池」が画かれるゆえんです。奔放な性(不倫)に生きた人が落ちる「衆合地獄」の亡者に現代人の横顔を感じます。自分の行いを反省し、自分の行動を戒め、地獄の心を静める、それがこの地獄絵図です。
その第一図です。解説は次のようにされていました。
第一図 人が亡くなった場面
下図を見ると、今まさに人が亡くなりそうである。家の中で医者を呼び、枕元で二人が遺言をまとめているような姿が見える。別室には病状を案じた人の姿が見える。縁側に遊ぶ二人の子供は一向に屈託がない。まさしく子供は、いつでも無邪気である。
図の中央では、死者に戒名が付けられ、僧が位牌の前で読経している。
右側の衣装掛の裏手には死者が安置され、そこから霊魂が今まさにぬけ出しつつある場面で、庭先には、まさに「草場のかげ」に地獄の死者、牛頭(牛頭人身)が荷車を引き、死者の霊を迎えに来て待ち構えている。
地獄の死者が火の車を曳いて迎えに来るという思想は、阿弥陀様が雲に乗って、死者を極楽浄土に迎えるという来迎思想の逆をいくものであろうが、わが国では、すでに平安時代の今昔物語集に、地獄の死者についての記述が見える。
≪令和3(2021)年10月26日奉拝≫ |
釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【令和4年2月12日(土):第3954号】