現代文学大系⑫-梶井基次郎・堀辰雄・中島敦集-

 文学全集の12冊目は、梶井基次郎・堀辰雄・中島敦集です。
 梶井基次郎(1901-1932)、堀辰雄(1904-1953)、中島敦(1909-1942)は、共に明治後半生まれで、大正から昭和初期にかけて活躍した文人です。3人とも病気で短命でした。そのため、死後に彼らのすばらしさが見直された作家たちです。
 「檸檬」に代表される、梶井は、ほとんどが短編で、自身が肺病だったため、病気に関する暗い作品が多いという感想です。「風立ちぬ」に代表される、堀は、美しい日々や自然の描写に優れ、ソフトタッチな文体は好感が持てましたが、やはり彼も肺病だったために暗い作品が多いのが印象です。「山月記」に代表される中島は、漢文調に基づいた硬質な文章の中に美しく響く文体が大変印象的です。高校の教科書で扱われていた「山月記」を、読み直し、あらためて内容を思い出しました。

ケース 目次② 目次①
≪令和3(2021)年11月5日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【令和3年11月19日(金):第3869号】