今月の掛軸 №127-【蘭】

 土蔵から出てきた掛軸の第22回目は、「蘭」です。蘭の墨絵とともに、讃として漢詩が書かれています。蘭の作者の落款は読めません。讃は、落款に永保とありますがよくわかりません。
 漢詩は、唐代の詩人・崔護の漢詩(題都城南莊)の一部で
  人面不知何処去        人面は知らずいずれにか去る
  蘭(桃)花依旧笑秋(春)風  蘭花旧に依って春風に笑む
 意味は
  あの人はどこへ行ったのだろう
  蘭の花は去年と同じように秋風を受けて嘆いている
 漢詩の元文は、桃花と春風ですが、墨絵の蘭にあわせて蘭花と秋風として書いたと想像されます。 

≪令和3(2021)年10月1日撮影≫ 

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【令和3年10月3日(日):第3822号】