みほとけJ−浜松市北区・方広寺の釈迦三尊坐像− 浜松市美術館場所の地図
「みほとけのキセキ」展覧会における仏像の写真、第11回目(このシリーズ最後)は、浜松市北区にある方広寺の釈迦三尊坐像です。方広寺は、臨済宗方広寺派の大本山で、釣月寺は、方広寺に末寺になります。当然、方広寺の本尊である釈迦三尊像は、何度も拝観したことがあります。この釈迦三尊像ですが、平成25(2013)年4月に、約310年ぶりに修復を行いました。【第908号】
実際の釈迦三尊坐像は、仏座の上に座り、そしてさらに普賢菩薩は象に、文殊菩薩は獅子に載っています。この展示と実際では、やや趣が異なります。
重要文化財
木造(寄木造)、金泥盛上彩色、玉眼 南北朝時代・観応3(1352)年
釈迦如来坐像(院吉、院広、院遵作)は、髪を高く結い上げ、宝冠をいただく。両肩に髪が垂れ下がる(垂髪:すいはつ)。眉間には白い円形の突起(白毫相:びゃくごうそう)が見られ、耳たぶは環状とする。首には3本の筋(三道)を彫り出し、胸飾りをつける。腹前で両手を重ね親指同士を触れ合わせ(法界定印:ほっかいじょういん)、左足を外に結跏趺坐(けっかふざ)する。釈迦の皇太子時代の姿を表した「宝冠釈迦如来」の好例である。
像底に「法印院吉:ほういんいんきつ、法眼院広:ほうがんいんこう、法橋院遵:ほうきょういんじゅん)」の仏師名が確認できる。箱を積み上げたような四角い頭と体、うつむき気味の背格好、脚部のうねる様な衣文等は院派仏師特有の表現である。
文殊菩薩坐像(右:院広作)、普賢菩薩坐像(左:院遵作)の姿や造りは基本的に釈迦如来坐像に順じている。文殊菩薩は、右手で剣を持ち、右足を外に結跏趺坐する。像底に「法眼院広」の銘が確認できる。普賢菩薩は、右手で如意を持ち、右足を外に結跏趺坐する。像底に「法眼院遵」の銘が確認できる。
三尊とも茨城県の清音寺より、明治時代に移されたものである。
≪令和3(2021)年4月24日撮影≫ |