みほとけI−浜松市北区・長楽寺の馬頭観音坐像−  浜松市美術館場所の地図

 「みほとけのキセキ」展覧会における仏像の写真、第10回目は、浜松市北区にある長楽寺の馬頭観音坐像です。

 浜松市指定文化財
 木造(一木割矧造り)、漆箔 鎌倉時代・13〜14世紀

 髪は炎のように逆立ち焔髪(えんぱつ)、頭に馬の全身像をいただく。顔は3面で激しい怒りの表情を表す(忿怒相:ふんぬそう)。3面ともに額に縦向きの目がある。首には3本の筋(三道)を彫り出し、胸飾りをつける。胸の前で親指、中指、小指を立て、人差し指で薬指を曲げて合掌する(馬口印:ばこういん)。全てのひじと腕に飾りを表す(臂釧:びせん・腕釧:わんせん)。右ひざを立て、左右の足の裏を合わせる(輪王坐:りんのうざ)。
 起伏のある鋭く緊張した顔、彫りの深い複雑な衣文表現、脇手の力強さ等から、鎌倉時代の製作と考えられる。
 馬頭観音では、馬は頭部のみ造像されることが多く、全身像である点は珍しい。持物の斧に竜の頭と蛭巻き(太刀の柄・鞘などを細長い金属の板で螺旋に巻き続けたもの)が施されている点も特徴的である。

 
  ≪令和3(2021)年4月24日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題ウェブ日記 【令和3年5月14日(金):第3680号】