みほとけH−湖西市応賀寺の毘沙門天立像他−  浜松市美術館場所の地図

 「みほとけのキセキ」展覧会における仏像の写真、第9回目は、湖西市にある応賀寺の毘沙門天立像1躯と長者妙相夢想造立記1巻です。

 毘沙門天 静岡県指定文化財・寺外初公開
        木造(寄木造り)、彩色及び漆箔、玉眼 鎌倉時代・永文7(1270)年
 長者妙相夢想造立記 静岡県指定文化財・寺外初公開
        紙本、墨書 鎌倉時代・永文7(1270)年

 毘沙門天像は、頭上で束ねた髪(髻:もとどり)を三束に分ける。天冠台、頭飾を付ける。甲冑を着け、靴を履く。右手を腰に添える。左手で戟(げき)の柄を握る。腰を右に捻り、左脚を前方に出し、邪鬼の上に立つ。
 目尻が吊り上がり、玉眼が嵌入(かんにゅう)されているためか、表情に引き締まった印象を受ける。やや前傾姿勢の体、左右の腕の向きや天衣(てんね)・袖の形が躍動感を高めている。
 像内から発見された「長者妙相夢想造立記」によると、この毘沙門天を寄進したのは妙相という僧だという。伝承によると、妙相は、新居橋本の長者の娘で、上洛中に橋本宿に立ち寄った源頼朝の寵愛を受けたとされる。しかし、毘沙門天造像の1270年は、源頼朝上洛から80年を経過しており、伝説の域を出ない。

≪令和3(2021)年4月24日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題ウェブ日記 【令和3年5月15日(土):第3681号】