みほとけE−豊橋・普門寺の阿弥陀如来坐像・釈迦如来坐像− 浜松市美術館場所の地図
「みほとけのキセキ」展覧会における仏像の写真、第6回目は、豊橋市にある普門寺の阿弥陀如来坐像と釈迦如来坐像です。
修復後寺外初公開・愛知県外初出展・重要文化財
木造(一木割矧造り)、漆箔 平安時代後期・12世紀
阿弥陀如来坐像
頭部は盛り上がって2段となり(肉髻相:にくけいそう)、朱色の玉をつける(肉髻珠:にくけいしゅ)。縮れ毛を粒状に彫り出す(螺髪:らはつ)。耳たぶは環状で、首には3本の筋(三道)を彫り出し、左肩から衲衣(のうえ)をまとう。両手とも人差し指を親指につけて輪をつくる(定印:じょういん)。人差し指と親指の間には、水かきのような膜(縵網相:まんもうそう)が確認できる。右足を上にして結跏趺坐(けっかふざ)する。
流れるような衣文の線、体薄く平坦な造りから、平安時代後期の定朝様をもとにしたものと考えられる。脚部の衣文は、本来本像が座っている裳懸座(もかけざ)の衣文と連続するように掘られている。
釈迦如来坐像
頭部は盛り上がって2段となる(肉髻相:にくけいそう)。縮れ毛を粒状に彫り出す(螺髪:らはつ)。耳たぶは環状で、首には3本の筋(三道)を彫り出し、左肩から衲衣(のうえ)をまとう。左手を上にして前方を差し出し(与願印:よがんいん)、右手を前に出し、第3・4指を軽く曲げる(施無畏印:せむいいん)。左足を外にして結跏趺坐(けっかふざ)する。
平安時代後期特有の優美な姿を見せるが、頭と体を一材から彫り出している点が、この時期としては珍しい。東三河地方の山間部には巨木が多く、大きな仏像を一材から彫る風潮が平安時代後期においても残ったのだろう。
漆や金箔の下に眉や髭、唇の朱色が確認でき、もとは素地の仏像であった可能性がある。一旦首を割り離さない点も、元が素地像であったためと考えられる。
阿弥陀如来 | 釈迦如来 | |
≪令和3(2021)年4月24日撮影≫ |