みほとけA−浜松市北区・摩訶耶寺の千手観音立像− 浜松市美術館場所の地図
「みほとけのキセキ」展覧会における仏像の写真、第2回目は、浜松市北区にある摩訶耶寺の千手観音立像です。摩訶耶寺は、すでに訪れたことがあり、修復前の千手観音は拝観したことがありました。しかし、光背があるかないかで、仏像の姿も大部違うように感じます。【第1304号】
修復後初公開・寺外初公開
木造(一木造り)、彩色 平安時代中期・10世紀
頭上に髪の毛を束ね(髻:もとどり)、その上に頂上仏面を掘り出す。天冠台を掘り出し、その上に頭上面をいただく。眉間には白い円形の突起(白毫相:びゃくごうそう)が見られる。首には3本の筋(三道:さんどう)を掘り出している。条帛(じょうはく)、天衣(てんね)をかけ、裙(くん:黒色でひだのある、腰にまとうもの)、腰布をまとう。第1手は合掌し、第2手は腹前で宝鉢(亡失)を持つ。脇手を含めた42本の腕には飾り(腕釧:わんせん)を掘り出す。
頭と体をカヤと思わせる一材から掘り出している。内側をくりぬいていない。頭上面と脇手は別材であるが、頂上仏面は頭、体と一材から掘り出しており、貴重である。唇と体の左側面に朱色の彩色が確認できる。左脇手前列の最下部の手に、目が描かれた痕跡がある。
やや形式化しているが、平安時代前・中期に流行する翻波式衣文(大きな波と小さな波がくり返すような文様)が足元の衣に見られる。
≪令和3(2021)年4月24日撮影≫ |