浜松市北区・鈴木家住宅  場所の地図

 浜松市北区引佐地区をドライブ中、国指定建造物・鈴木家住宅という案内がありましたので、訪れてみました。
 静かな田舎町の中、鈴木家住宅は、ひっそりとたたずんでいました。そこには、次の説明文がありました。

 国指定建造物 鈴木家住宅 平成19年6月18日指定
 鈴木家住宅は,天竜川流域から浜名湖北岸、東三河地方に分布していた分棟型釜屋建(ぶんとうがたかまやだて)の農村民家で1821年に建築された。
 分棟型とは構造的にはまったく別になる二棟の建物の間に大きな雨樋を架け、平面上では一般の直屋(すごや)と類似した構成になる形式をいう。なかでも主屋と釜屋からなる形式の民家は、古くから遠江における唯一のものとされており、この地方ではこれを釜屋建あるいは撞木造りと呼んでいる。
 平成11年から13年にかけて修理工事を実施し釜屋建特有の大樋を復原し間取りを前広間型の平面にするなどの現状変更が行われ建設当初の姿に戻された。また、これに伴う調査により釜屋の柱枘(はしらほぞ)から「文政三辛巳年」の墨書、主屋の敷居からは、「天保拾己亥年立春造作」という墨書が発見され、この建物の建設年代が確定し、初期の改造時期までが判明した。
 江戸末期から大正にかけては紙漉(かみすき)を、大正から昭和初期にかけては養蚕を盛んに行い、その作業はすべて家の中で行われていた。また、釜屋の「うまや」では、馬や牛も飼われていた。農村民家の素朴で合理的な構造に庶民の知と美が漂っている。
     文化庁・静岡県教育委員会

≪令和3(2021)年3月8日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【令和3年3月14日(日):第3619号】