豊川市・亥子角(いねずみ)  場所の地図

 豊川市一宮地区に、難読地名の亥子角があります。砥鹿神社【第295号】の西側を走る国道151号線の交差点にこの地名の表示があります。先日その近くの公園を通った際に、この地名に関する説明がありましたので、注目しました。

 『「亥子角」とは』いう説明文に次の記述がありました。

 現在の一宮泉・栄のあたりは、一宮中部土地区画整理事業に伴う地名変更が行われるまでは、「亥子角」という小字名でした。
 「亥子角」は「イネズミ」と読んでいましたが、ほかでの例から、本来は「イヌイズミ」であり、「乾(戌亥)角」の意ではなかったかと考えられます。
 この戌亥は方角を表しており、一宮の人々の暮らしと切り離すことができない砥鹿神社の里宮からみて北西方向に位置することからできた地名であったと思われます。すなわち、干支を用いて方位を表す場合、戌亥は、現在の方位では北西を意味することとなります。仮に文字のとおり亥と子の中間をを意味した場合でもやはり北西から北よりの方位を示すことにかわりはありません。
 このように、地名が方位に基づいている場合、例えば村の中心のように、ある場所との位置関係を示すことが多く、つまり戌亥の方位の逆となる、南東の方向にある場所からみた方角ということになります。これを一宮の亥子角で考えると、南東とは砥鹿神社をおいてほかには考えられません。宮前や宮裏のように、砥鹿神社にちなんだ地名のひとつであったとはいえ、おそらく明治のある時期から宮裏の一部を表す地名として正式に用いられるようになっていったと考えられます。

亥子角北の交差点表示 左下が砥鹿神社で中心が亥子角 亥子角アップ
≪令和元(2019)年8月6日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【令和元年8月13日(火):第3040号】