京都市西京区・松尾(まつのお)大社 場所の地図
京都市西京区にある松尾大社は、京都市の西部、松尾山(223m)の山麓にあり、全域が風致地区で約12万坪という広い境内をもちます。飛鳥時代の大宝元(701)年に、この地に社殿を建立したのがはじまりと伝えられ、京都最古の神社です。本殿は「松尾造り」と呼ばれる珍しい建築で、天文11(1542)年に改築されたものです。平安時代には皇城鎮護の神として、中世以降は醸造の神として人々の信仰を集めています。
境内には、「松風苑三庭」という3つの庭があります。「曲水の庭」、「蓬莱の庭」そして「上古の庭」とよばれており、どれも見応えがあります。また、曲水の庭と上古の庭の間にある「神像館」には、大社所蔵の神像21体が常時展示されています。
「曲水の庭」は、平安時代の貴族たちが行う、曲水の宴の舞台とされた庭を現代に表したものです。曲水の庭には小さな蛇行した川が流れており、貴族たちはこの川を囲み宴は繰り広げられていきました。上流から盃を流して盃が通るときに詩を読みあう宴を曲水の宴と言い、大変華やかなものでした。
「蓬莱の庭」は、浅めの水上にそびえ立つ石を蓬莱の島々とイメージした回遊式庭園です。水周りをぐるっと一周することができ、立つ位置によって庭は表情を変え、様々な美しさを与えてくれます。「蓬莱」とは、仙人が住むと言われていた仙境の一つで、不老不死で神通力を持つ千人を目指すといった蓬莱思想は鎌倉時代に最も流行していました。
「上古の庭」は、大社の裏山にある磐座には神が宿っていると信じられており、磐座信仰をモチーフにしています。この庭の見どころは、人の手を一切感じさせません。庭であるのに庭でない。もはや鑑賞の域を超えています。庭の正面から見ると左に転々と間隔が開いた林があり、その林の隙間から見る磐座(いわくら)が大変神秘的です。
その他、社務所裏手には、涸れることがない「霊亀の滝」や滝の近くに「亀の井」、参道手前には、醸造の神らしい「お酒の資料館」があります。
一の鳥居 | 楼門 | 拝殿 |
曲水の庭 | 神像館と上古の庭 | 蓬莱の庭 |
鳥居の奥が霊亀の滝 | お酒の資料館 | 朱印 |
≪平成31(2019)年1月9日奉拝≫ |
釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成31年1月25日(金):第2840号】