今月の掛軸 bW7−【狗子仏性(くすぶっしょう)】

 本年2月28日に遷化されました、前方広寺管長である大井際断老師の津送儀が、5月25日に執り行われました。その際、末寺の一住職として参列したわけですが【第2596号】、その津送の記念品に、前管長が揮毫された色紙が入っていました。早速、庫裡の床の間に飾りました。
 色紙に難解な説明文がついていました。
 
 『無門関』第一則「趙州狗子」の項に曰く、「狗子仏性/全提正令/わずかに有無に渉れば/喪身失命(そうしんしつめい)せん」(狗(いぬ)に仏性有りや無しやと面前に差し出され、うっかり有無の話と受け取れば、忽ち命を奪われる)と。仏典には「一切衆生悉有仏性」(生きとし生けるもの全てに仏としての本性がある)といい、「衆生本来仏なり」とある。存在するものの有る無しにこだわっていては、誰しも備わる仏性そのものを見失うであろう。

≪平成30(2018)年6月9日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成30年6月11日(月):第2612号】