輪島・上時国家  場所の地図

 輪島市に、時国家という古い屋敷があるというのを知っており、今回やっと訪れることができました。時国家は、本家である上時国家と、分家である下時国家と2つの豪邸があるのですが、下時国家の見学は土日のみになっていました。
 そのため、今回は上時国家だけの見学になります。上時国家については、輪島市観光協会のHPに次の記載があります。 
 祖先は、800年前に能登に流された「大納言である平清盛の義弟」と伝えられ、その子を初代として現在で25代目です。江戸初期から300石の豪農として天領大庄屋を務め、江戸後期に21代当主が現在の巨大で格式高い屋敷を28年かけて建造しました。現存する近世木造民家では最大級です。
 大庄屋屋敷として公用部分と私用部分を分割した構造で、公用部分の中心に大納言格式を示す「縁金折上格天井」の「大納言の間(別名 御前の間)」を配しています。広間の襖には、家紋でもある平家定紋の「丸に揚羽蝶」を金箔で描いて連ねていおり、座敷の境上部には両面彫りの欄間を飾り、御前の間の欄間は蜃気楼を描いた珍しいものです。
 広い空間を占める土間は、この巨大な建物を支える柱・梁組と、萱ぶき大屋根の内側構造を見ることができます。総欅造り唐破風の正面玄関も民家では珍しい構造です。
 私用部分の部屋には、現在は展示品を陳列しています。大庄屋の公務用品、千石船用品、日用品などで、極初期の輪島塗の器は美術品としての評価も高くなっています。
 鎌倉風の池泉回遊式庭園は、背後の山を自然に組み込んだ巧みな構成で、素朴ではあるが力強い作風であり、国の名勝に指定されています。
 この解説どおり、一見の価値あるすばらしい建築物でした。

総欅造り唐破風の正面玄関 上広間 平家定紋の「丸に揚羽蝶」を描いた襖
大納言格式を示す「縁金折上格天井」 蜃気楼を描いた欄間 庭園
台所 松の芯材を使った巨大な梁 玄関にある鶴亀の欄間
≪平成29(2017)年6月6日撮影≫ 

                  釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成29年6月8日(木):第2244号】